DVDリッピングの基礎知識


リッピングとはDVDやCDに記録されているデータを、抽出・変換してパソコンに取り込むことで、バックアップやコピーなどと同義。

 

Important
一般的なDVD-VideoにはCSS(Content Scramble)というアクセスコントロール技術で暗号化されており、コピーはできても再生できない仕組みになっている。
一方、コピーコントロールはコピープロテクトやコピーガードとも呼ばれ、コピーそのものができないようにする技術で、VHSで使用されていたマクロビジョンやBlu-rayなどで使用されているAACS、地デジで使用されているCPRMなどがある。
どちらも結果的には「再生できない」わけだが、再生する機器を制限するアクセスコントロールと、コピーそのものを防止するコピーコントロールは、似て非なる技術になる。

この微妙な違いにより、2012年以前はDVDのリッピングがグレーゾーンとして公然と行われ、リッピングの方法を記載したり、リッピングソフトを同梱したパソコン雑誌も店頭に並んでいたのだが、2012年10月 施行の改正著作権法で「アクセスコントロール技術を施したDVDやゲームソフトのリッピングの違法化」が盛り込まれ、これまでグレーゾーンとされてきたDVDのリッピングは完全に違法になった。

リッピングは個人で制作したものなど、暗号化されていないDVD-Videoであることが大前提。
映画などのDVDをリッピングすると「それ、違法です!」になるので要注意。



DVDの規格とリージョンコード

未だに「DVDの永久説」を信じている人は少なくないが、これはほとんど都市伝説に近く、全く根拠がない。
特にコピーしたDVDはメディアの善し悪しなどもあり、突然再生できなくなる事も多く、中には1週間ほどで再生不可能に陥る粗悪品もある。
そのため大切な動画はハードディスクなどにバックアップしていた方が無難。

DVDのブランクメディア

DVDには記録型のDVD-R・DVD+R、書き換え可能なDVD-RW・DVD+RW・DVD-ROMがある。
DVDの規格は海外でDVD+Rが普及しており、国内ではDVD-Rが一般的。
一時はDVD-RとDVD+Rで天下取りの争いがあり、今はコンボドライブの登場で共存しているものの、DVD+Rを目にすることは少なくなった。

DVD-R(片面一層):容量は 4.7GB
DVD-R(両面一層):容量は 9.4GB
DVD-R DL(片面2層):容量は8.54GB ※DLはDual Layerのこと
DVD-R DL(両面2層):容量は17.08GB

最近のDVDソフトは片面2層が多く、5GB~7GBの容量がある。
古いDVDには両面一層(両面とも記録面のもの)もあるが、現在ではほとんど見なくなった。
市販されているブランクメディアは片面一層のDVD-Rが多く、片面二層のDVD-R DLは片面一層に比べて割高になるものの、片面二層のDVDに記録されたものを可能なかぎり無劣化でコピーするには、片面二層のメディアが必要。

また、DVDを焼くには当然ながらDVD-RWドライブが必須で、再生専用のDVD-ROMドライブでは焼けない。
更に片面二層のDVDを焼くには、DVD-R DLに対応したドライブが必要で、古いDVD-RWのドライブでは非対応の可能性があるので要注意。

CPRM

CPRM(Content Protection for Recordable Media)はコピーワンスの制御信号を持つコピーガード で、DVDに採用されている日本独自の規格。
地デジ番組の録画データをDVDへコピーする場合には、DVD-RやDVD-RWなどのブランクメディアがCPRMに対応していなければならないが、リッピングしたDVDを焼く場合は、CPRM非対応でも問題はない。

Topic
DVD-Rには「データ用」と「録画用」の2種類あり、いつの間にかCPRMに対応しているものが「録画用」になっているが、もともとは違っていた。
まだアナログ全盛だった1992年の著作権法改正によって導入された「私的録音録画補償金制度」は、デジタルで録音や録画する場合に一定の補償金を徴収し、著作物の権利者へ還元するというもので、デジタルの録画機器を始め、1998年にはCD-R、RWで「データ用」と「音楽用」が、2000年にはDVD-R、RWも「データ用」と「録画用」が販売されるようになった。
データ用も録画用も実質的には同じもので、補償金が上乗せされている分だけ録画用のほうが価格が高くなっていた。
その後、地デジへ以降しデジタル全盛の時代に突入すると、コピーワンスやダビング10によって私的複製が制限されることになり、東芝が私的録音録画補償金の支払いを拒否。
訴訟は最高裁までもつれ込んだものの、2012年11月に東芝の勝訴が確定し、各メーカーがこぞって補償金の支払いを止め、これを機にDVDなどのメディアに上乗せされていた私的録音録画補償金もなくなった。

補償金を管理していたSARVH(私的録音補償金管理協会)は財源を失い破綻、2015年3月末に解散している。

市販のDVDブランクメディア

使用するデバイスとメディアには相性があり、最悪の場合ほとんど使いものにならないといったことも起こり得る。
「安物買いの銭失い」であまりにも安価なメディアは避けたほうが無難。

TDKの商品はDVDの容量ではなく時間で表示されているが規格は他社と同じ。
DVD-RWはデータを消去して繰り返し書込が行えるが、DVD-Rと比較すると再生できるデバイスが狭まるので、汎用性を重視するならDVD-Rを推奨。

Topic
国内生産「That’s」ブランドで有名な「太陽誘電」の商品は、品質が安定して良かったのだが、市場縮小により2015年12月で光ディスク事業から撤退する。

 

リージョンコード

DVDにはリージョンコードという地域情報が設定されており、アメリカやカナダはリージョン1、日本や欧州はリージョン 2、東南アジアはリージョン3など、各国でリージョンコードが決められており、プレーヤーに設定されているリージョンコードとメディアのリージョンコード が一致しなければ、再生できない仕組みになっている。

初期のプレステ2やSamsonのDVDプレーヤーなど、一部リージョンフリーのプレーヤーも存在するが、多くのプレー ヤーはリージョンコードがしっかり設定されている。
PCの内蔵ドライブも同様にリージョンコードが設定されているが、内蔵ドライブはリージョンコードの変更が可能になっており、通常のプレーヤーでは再生で きないリージョン1のメディアを挿入すると、リージョンコード変更を促すメッセージが出る。

内蔵ドライブのリージョンコード変更

「コントロールパネル」→「デバイスマネージャー」→「DVD/CD-ROM ドライブ」から、リージョンコードを変更するドライブをダブルクリック。
ドライブのプロパティが開くので、「DVD地域」タブを選択。
ここで変更したい地域を指定すればリージョンコードが変更される。ただし、リージョンコードの変更 回数には制限があるため、安易な変更はしない方が賢明。

リッピングをする際は、デフォルトがリージョンフリーになる。もちろん、リージョンコードを設定することも可能。

vsoinspector010

光学ドライブ対応メディアやリージョンコードの確認にはVSO Inspectorが便利。

リッピングとシュリンク

DVDをリッピングする際のポイントはデータのサイズ。
元データのサイズがDVD-R DLを使用して7GBあるものを、片面一層のDVD-Rに収めようとすると、約50%ほどの圧縮(シュリンク)する必要がある。

圧縮という表現は何となくデータを凝縮させるようなイメージをだが、実際のところデータは削除されている。
1秒間に送受信するデータ量を「ビットレート」といい、「bps」という単位を使用する。
DVD-Video形式での最高画質は9800kbps(9.8Mbps)で、このビットレートでは片面一層のDVD(4.7GB)に1時間程度の動画しか保存できないが、DVD-R DL(8.5GB)を使用することで2時間程度の動画をDVDの最高画質に近いビットレートで保存することができる。

動画のデータは動きの早い箇所などに多くのビットレートが使用される一方で、ビットレートが余っている箇所も存在している。
容量の大きいメディアを使用すれば、ビットレートの振り分けに余裕があるため、安定した画質を維持できるが、容量が少なければビットレートの割り振りに無理が生じてくる。
シュリンク(圧縮)処理は、振り分けられたビットレートを、「ここなら減らしても大丈夫っぽい」と予測しながらカットしていく1Passエンコーディングと、一旦データを全て解析しビットレートの割当を確定させてから処理を実行する2passエンコーディングが一般的。
当然1passよりも2passの方が画質は向上するが、処理速度は非常に遅くなる。

平均ビットレートが7000kbpsで2時間ある動画データを、片面1層4.7GBのDVD-Rに収めるには、ビットレートを4000kbps程度にする必要があるため、シーンによってはビットレートが足らず、ブロックノイズなどが発生してしまう原因になる。

DVDフォルダとISOイメージファイル

DVDプレーヤーで再生できるDVDは、パソコン上で中を開くと「AUDIO_TS」と「VIDEO_TS」、2つのフォルダが存在している。

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この「AUDIO_TS」と「VIDEO_TS」は通称「DVDフォルダ」と呼ばれており、再生に必要なのは「VIDEO_TS」のみ。
そのため「VIDEO_TS」のみのDVDでも問題なくプレーヤーで再生できる。
また、DVDフォルダを指定できるメディアプレーヤーでは、「AUDIO_TS」と「VIDEO_TS」が格納されている親フォルダを指定しても、親フォルダ内の「VIDEO_TS」を指定しても再生できる。

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DVDフォルダはISOイメージファイルにすることで1つのファイルとして取り扱うことが可能になる。
ISOイメージファイルは、CDやDVDなど光ディスクのディスクイメージで、ディスク内の全データを含んでいる。データは圧縮されないため、ISOファイルのサイズは元データと同じ。
ディスクの内容をISOファイルとして保存していれば、ディスクが破損した際もライティングソフトでブランクメディアに書き込めば複製が容易に行える。
また、PC上ではVirtual Clone Driveなどの仮想ドライブを使用することで、通常のメディアと同様に取り扱うことが可能になる。

リッピングソフト

コピー元DVDの容量が4.7GB未満であれば、手っ取り早いのが「VIDEO_TS」フォルダを任意の場所(デスクトップ等)に一旦コピーして、そのデータをライティングソフトでブランクメディアに書き込めば良い。無論、映画DVDのようにCSSで暗号化されているものは、コピーできても再生できない。

DVDの容量が4.7GBを超えており、片面1層4.7GBのDVDに収めたい場合は、データの圧縮が必要なのでDVD ShrinkAmoK DVD Shrinkerなどのリッピングソフトを使用する。

リッピングソフトは主に、コピー元DVDの分析を行い、エンコード(変換)を行いながら目的のサイズに合わせたファイルを生成する。
また、ソフトによってはDVDの内容を編集でき、メニューを無くして本編だけを抽出したり、字幕や音声の選択も可能になっている。
圧縮率が高い場合は、メニュー等を省略することで、本編で使用する容量を増やすことができるため、画質の劣化対策としては最も効果的。

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DVD ShrinkはリニアPCM音源の圧縮ができないため、圧縮しきれないケースがある。
2回エンコードすることでサイズを縮小する手段もあるが、エンコードに関しては上述の通り、ビットレートを割り振ってカットしていくため、エンコードの回数に比例してデータ消失量が増加し、確実に画質は劣化する。

このような場合は、無理にDVD Shrinkを使用せず、圧縮処理に優れたAmok DVD Shrinkerでリッピングすることで対応できる。

CSSの解除

CSSは再生する機器を限定するための技術で、DVDプレーヤーはCSSの暗号を解除して再生している。つまり著作権法30条で定める「技術的保護手段を回避」しているわけだが、同条項には「著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。」と記されており、CSSで保護されている映画など一般的なDVDの場合、著作権者は家庭で再生して楽しむことを前提としており、その目的以外での使用は禁じている。

リッピングソフトの多くは、DeCSSというCSS解除プログラムを搭載しており、プレーヤーと同様に暗号化を解除、内容を復元しながらエンコード処理を行うことが可能になっているため、この機能を使用すると著作権法30条二項に抵触してしまう。
ただ、リッピングソフトの使用そのものが禁じられてるわけではなく、「CSSを解除してエンコードする」ことが禁じられているので、暗号化されていないDVDをリッピングする行為については、私的使用の範囲内であれば全く問題がない。





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