個人輸入の基礎知識


個人輸入に抵抗がある人にその理由を聞くと、「注文した商品が届かなかったら」「注文した商品が破損していたら」などの回答が多い。
当然と言えば当然の回答で、同様に国内外を問わずクレジットカードの使用にも躊躇する傾向があり、言わばネット通販そのもののリスクを懸念している節がある。
一般的に国内・国外を問わず、ネット通販には「クレジットカードの不正利用」「決済後に商品が届かない」「粗悪品が送られてくる」というリスクがあり、個人輸入はこれらに「言語の壁」「関税が掛かる」「送料が高い」「輸入できない商品がある」「為替で価格が変動する」「購入後のサポートが受けにくい」というデメリット加わることで一気にハードルが高くなる。

一方、個人輸入のメリットは2つだけ。
国内では入手困難な商品が購入できること、また、その多くが国内販売よりも安くなる点にある。
そのため同じ商品が同じような価格で入手できるのであれば、敢えてハードルが高い個人輸入をする必要は全くない。



為替レート ~ クレジットカードの落とし穴

クレジットカード決済の場合、国内と異なって海外での使用にはクレジットの事務処理コストが加算される。
クレジットの事務処理コストとは海外利用の手数料で、VISAやMASTERでは外貨交換レートに1.63%の加算が目安になり、JCBが1.6%、AMEXが2.0%など各クレジットカード会社によって異なってくる。

そしてクレジットカードで最も大きな問題が取引レート。
取引レートは各クレジットカード会社で異なり、更に決済日ではなく処理日のレートが適用されるため、購入時に確認できるのは「おおよそのレート」になる。
ニュースなどで見聞きする外国為替情報(外為)は銀行間の取引実勢レートで、ある程度の指標にはなるもののクレジットカード決済で使用されるレートとは全く別物。
経験則でいうなら、クレジットカード会社のレートは取引実勢レートよりも米ドや英ポンドでは5円程高い。

基本的にクレジットカード会社のレートは「非公開」なのだが、VISA・JCB・Masterはウェブサイトで確認が可能。

import009

VISA  Exchange Rates link

VISAの場合は、「My Card Is in」の項目で「Japanese Yen」を選択し、「My Transaction Was In」の項目で商品購入先の国を選択する。
アメリカの場合は「United States Doller」、英国の場合は「British Pound」。
「Enter Bank Fee 」には「1.63」して、最後に「Date Requested」でレートを確認したい日付を選択後、「calculate exchange rate」をクリック。

import0102015年10月30日のVISAでは、1ポンドが188.952538円

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MasterCard Currency Conversion Tool link

MASTERカードは確認したい日付を選択し、「Base Currency」の項目で商品購入先の国を選択し、表示された一覧の中から「JPY Japanese yen」の箇所を確認する。
ただし、クレジット事務処理コストは加算されていないため、表示されたレートに1.63%を加算する。

JCB海外でのお取り引きにおける基準レートlink

JCBは目安として上記のページに当日のレートのみ記載がある。
ただし、クレジット事務処理手数料などは加算されていないようなので、表示されているレートに1.6%の加算が必要。

VISA・MASTER・JCBを比較すると、MASTERカードのレートが他の2社よりも円高の傾向が見られたが、実際に決済するまでは何ともいえないところ。

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PayPal 通貨の換算link

PayPalの場合はマイページにログイン後、「PayPal残高」→「通貨の管理」で支払い金額の試算が可能になっている。
「換算元の通貨」は日本円、「金額」には購入金額を現地通貨で入力し、「換算先の通貨」に商品購入先の国を選択して「計算」をクリックすると、換算された値が表示される。

単純に換算された値を比較するとクレジットカード会社よりもPayPalは高いのだが、PayPalの強みは複数のクレジットカードを登録できることと、支払いオプションで「その他の通貨換算オプション」が使えるところにある。
通貨換算オプションとは、決済にPayPalのレートを使用するか、クレジットカード会社のレートを使用するか選択できるもので、レートはPayPalもクレジットカード会社も日々変動しているため、PayPalサポートセンターから購入前の比較を推奨された。
※とても親切に教えてくれたPayPalサポートセンターのアマンダさんに感謝。

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PayPalで決済時に「Payment method」で「change」をクリックすると、配送先や支払方法などが変更できるページが表示される。

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PayPalのデフォルトカードがVISAやMASTERの場合は「その他の通貨換算オプション」のリンクが表示されるのでクリック。
JCBでは対応していないので、通貨換算オプションを利用する場合は支払い方法をVISAかMASTERに変更する必要がある。

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クレジットカード会社のレートを使用する場合、「売り手の請求書の記載されている通貨で支払う」のラジオボックスにチェックを入れて送信。
これでPayPalのレートではなく、クレジットカード会社のレートで決済が可能になる。

ただし、前述のようにクレジットカード会社のレートは購入日ではなく、処理日のレートが適用されるため、購入時に確認したレートがそのまま適用されるわけではないので要注意。

ちなみに、2000ポンドの商品を購入した場合、ある日の各社のレートを比較すると次のようになる。(1円未満は切り捨て)
VISA:38,021円
JCB:38,055円
MASTER:37,988円
PayPal:38,411円

最安値はMASTERカードで、最高値はPayPal。
差額にして423円。
カード会社は当日決済ではないので実際のレートは異なるだけでなく、日によってはPayPalが最安値になることもあり得るので一概には言えないが、高額になるほど各社のレートが重みを増してくるため、PayPalも含め使用するクレジットカードは比較検討した方が良い。

送料と配送業者

国際輸送でメジャーなのはFedEx、UPS、EMS、DHL、USPSなどがある。
輸送業者はこちらで指定できないが、配達を「特急」で希望すると当然ながら割高になる。

一般的にFedEx・UPS・DHLなどは配送が早く、税関も自社の通関士が手続きを行うため、海外からi日本に荷物が到着したら1~2日で税関を通り抜ける。
トム・ハンクス主演のキャスト・アウェイでは、FedExが如何に速いかをアピールしていたが、これらの輸送手段はきっちりと関税手続きが踏まれるため、商品受け取り時に関税と消費税を支払うか、または後から請求書が送られてくる。
また、これらの配送業者は税関で手続きをする際に、関税と消費税を立替えて納付している場合は、立替手数料を請求されることもある。

EMSはFedExやUPSと異なり、自社で全てを行うのではなく、主要各国の配送会社が加盟して成り立っており、日本では日本郵便が取り扱っている。
日本郵便はEMSの荷物を集荷・配達しているが、それは国内に限られており、関税手続きなども行わない。そのため税関を抜けるのにも数日かかり、配達日数は他の国際輸送会社と比べて長い。ただ、その分コストが低く、稀に税関をスルーしたりもする。

ただ、EMSが低料金とはいえ、当然ながら国内配送料のようにはいかない。商品そのものが安価でも、送料が高ければ合計金額で国内販売の商品よりも高く付くことも多い。

配送料は国内配送と同様、3辺合計の長さと重さで決められるため、かさばる物や重たいものを輸入する際は注意が必要。

関税と消費税 ~ 個人輸入最大の難関

為替や送料に比べ、極端にややこしいのが関税。
関税とは言うまでもなく、国内産業を保護するため輸入商品に課せられる税金で、その税率は商品によって異なる。

商品区分ごとの税率については税関の実行関税率表のページlinkを参照

輸入についての規制は、各法令によって定められており、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)により拳銃・小銃・機関銃・空気銃・刃渡り15cm以上の刀・刃渡り5.5cm以上の剣などは禁輸。
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)により、鳥及びその加工品、獣及びその加工品、鳥類の卵も規制され、当然ながらワシントン条約で定められた絶滅危惧種も禁輸。
また、薬事法により医薬品と医薬部外品、化粧品などの輸入には厚生労働大臣の承認が必要だが、個人輸入に限り特例があり、税関の確認を受けた上で輸入が認められている。無論、輸入した医薬品などは本人使用が条件で、他人への譲渡・販売は一切認められていない。そのため個人で医薬品や化粧品の代行輸入はできない

課税標準価格

個人輸入の場合、課税標準価格は小売価格の60%(卸売価格)に送料と保険料が加算された価格で算出され、1000円未満を切り捨てた値が使用される。
また、算出の際に使用される為替交換レートは関税定率法で定められており、財務省貿易統計のページに各国の通貨レートが週別で公表されている。

財務省貿易統計 外国為替相場link(課税価格の換算)

185米ドルの商品を輸入し、$1= 123円だとした場合。
185 x 0.6 = $111
$93 x 123円 = 13,653円
1000円未満切り捨てなので課税標準価格は13,000円。

個人輸入に限り課税対象額が1万円以上20万円未満(平成26年度改正)の場合は少額輸入貨物に対する簡易税率が適用され、課税対象額が1万円未満の場合は免税になる。
ただし、革靴など商品によっては簡易税率対象外のものもあるので要注意。

簡易税率については税関の少額輸入貨物の簡易税率のページlinkを参照

どのような商品であれ、購入価格が16,666円以上(課税標準価格10,000円以上)の場合は、関税がかかると思っていたほうが無難。
また、輸送時に商品へ保険をかけると、その保険で保証されている金額が課税標準価格の加算要素になるため、仮に購入価格が16,000円以下であっても、16,000円相当の保険を200円程度でかけることで、32,000円 x 0.6 = 19,200円という計算式になり、課税標準価格は19,000円で関税の課税対象になってしまう。

また、複数の商品を輸入する際は、商品の合計金額から課税標準価格が算出され、本来は「送料」と「保険料」も課税標準価格の対象なのだが、「送料」に関しては加算されないことが多い。
無論、送料が課税対象価格に含まれていないのはラッキーであって、送料が加算されていても税関の不手際ではない。

消費税

一般的に消費税として括られているが、消費税は内国消費税と地方消費税を合わせたもので、現在の消費税率8%の内訳は内国消費税6.3%、地方消費税1.7%。

内国消費税は(「課税標準価格」+「1000円未満を切り捨てた関税額」) x 0.063
地方消費税は(「課税標準価格」+「1000円未満を切り捨てた関税額」) x 0.017

内国消費税と地方消費税を合わせた額の100円未満を切り捨てた金額が消費税として徴収される。

185米ドルの衣類を輸入し、$1= 123円だとした場合。
課税標準価格は13,000円
衣類の簡易税率は10%なので関税額は14,000 x 0.1 = 1,300円

内国消費税は (13,000 + 1,000) x 0.063 = 882円
地方消費税は (13,000 + 1,000) x 0.017 = 238円
合計1,120円で100円未満が切り捨てになるので、徴収される消費税は1,100円。

個人輸入の際に必要なコストは、商品代金 + 送料 + 関税額 + 消費税 + 立替手数料 ということになり、立替え手数料以外は為替レートによって金額が変動する。

住所の記入

商品を注文時には当然ながら住所と指名を入力する必要がある。
これができなければ、関税や外貨交換レートを計算できたとしても、個人輸入はできない。

import8

上図は米国Amazonの注文ページ。
入力は全てローマ字でOKだが、唯一Countryの項目だけは「Japan」と入力する必要がある。
ただ、多くの通販サイトでは、Countryの項目はドロップダウンリストになっているので、「Japan」を選択するだけ。

Full Name

姓名を入力。サイトによってはFirst Name(名) Last Name(姓)とに分かれていることもある。

Address Line1

住所の◯◯市以降の部分を番地から入力する。

Address Line2

マンション名などを入力する。マンションやアパートでなければAdress Line2は空欄でOK。

City

「市」を入力する。

State/Province/Region

「県」を入力。

ZIP

郵便番号を入力。

Country

国名を入力。この項目は多くのサイトでドロップダウンリストになっているので、その場合はリストから選択する。

Phone Number

日本の国番号「81」を先頭に付け、固定電話の場合は市外局番の先頭の「0」を外した番号。携帯の場合も「81」を先頭に付け、携帯番号の先頭にある「0」を省いた番号になる。

海外で最も重要になるのは「Country」の項目で、次に「State/Province/Region」。これさえ間違いがなければ、最寄りの税関ま で確実に荷物は届く。
その他の住所については国内の配送業者、つまり日本人が見るので、あまり神経質になる必要はなく、住所が不完全でなければ問題はな い。また、State/Province/Region の項目がドロップダウンリストになっていて県名が入力できない場合は、「Other」などを選択し、Cityに県名、Address Lineに「市」以降の住所を入力すればOK。

記入例:
野原しんのすけ
〒344-0000
埼玉県春日部市双葉町904-1-1 アクションマンション606
電話番号:090-1111-2222

上記の住所・氏名を英語で入力すると下記のようになる。

Full Name:Shinnosuke Nohara
Address Line1:904-1-1 Futaba-cho
Address Line2:Action Mansion 606
City:Kasukabe-shi
State/Province/Region:Saitama-ken
ZIP:344-0000
Country:Japan
Phone Number:81-90-1111-2222

個人輸入をするにあたって

クレジットの事務処理コストや外貨交換レート、関税の為替交換レートなど細かな計算をすればウンザリするが、初めは関税が免除される16,666円以下の商品を輸入するのがベター。
化粧品などは関税が無税なので個人輸入ビギナーには最適。と、円高の時はそれだけで良かったのだが、円安が進行すると状況が変わってくる。

2015年のマクドナルドで販売されているビッグマックの価格は、日本が370円、アメリカが4.79ドル。この価格をベースで考えると1ドル77.2円の超円高。
前述のクリニークの化粧品は日本で4,500円、アメリカで40ドルで、1ドル112.5円換算。
2015年7月末現在のTTMは 124.02円なので、送料を考えるまでもなく国内で購入したほうが確実に安い。仮に36ドルで販売していても送料分がマイナスになる。

個人的な感覚では、1ドル100円を切ると個人輸入はメリットがあり、110円~100円では見極めが必要、120円~130円は国内で入手困難なもののみ輸入、130円~は個人輸入お休み、といった感じ。
120円台の現状では、ある程度計算してからでなければ、個人輸入は結構リスキーなので、輸入する場合は日本円で決済可能な米国Amazonなどがオススメ。





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