革製品のケア用品いろいろ


革製品のお手入れグッズは基本的にシューケア用品になる。
シューケア製品の国内メーカーではコロンブスが有名。他にサンエッチという大正年間に創業している老舗の靴クリームメーカーもあったが、2014年に自己破産している。

海外に目を向けると、「サフィール」「M・モウブレイ」「コロニル」の御三家があり、サフィールはフランス、モウブレイはイタリア、コロニルはドイツのシューケアメーカーで、それぞれ日本でも人気。
各メーカーの製品に対しては多くの論評があるものの、結局のところは好みと相性の問題。
マヨネーズの「キューピー」と「味の素」のようなもので、微妙に味が異なるものの、どちらもマヨネーズには変わりない。要は「微妙な違いに」こだわるか否かということ。
違いが分かる人が過敏なのか私が鈍いのか、個人的に違いを実感するには至ってない。

そんなわけでシューケア選びはブランドよりも、「素材に適したアイテム」を使用することが最も重要だったりする。

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必須アイテム

皮革製品の手入れで最も基本となるのが乾拭きとブラッシング。
乾拭きには専用のクロスもあるがTシャツなどの古着でも十分。ただ、ブラシは持っていて損はない。靴のホコリや泥を落としたり、鞄などの手入れにもブラシは役に立つ。
最も汎用性があるのは馬毛のブラシで、毛足が長く、結構な剛毛なので、意外としっかりブラッシングできる。

豚毛のほうが毛が硬いという印象があるものの、馬毛と比べて毛の硬さに大差はない。
ただ、一般的に豚毛の方が毛足が短いため、しっかりした感じになっている。



便利アイテム

化粧水をつけた後で乳液や美容液を付けるよりも、オールインワンと呼ばれる化粧水と乳液や美容液が1つになったものを使用したほうが効率は良い。
そんな手軽さ重視のケア用品が万能タイプ。

万能タイプの代表格といえばラナパー。
蜜蝋やラノリン(羊毛脂)、ホホバオイルなどのほか、鉱物油のワセリンを主原料にしているのが特徴。手軽に「保革、撥水、抗菌、艶だし」が行えるので、愛用者も多く、製品の手入れにラナパーの使用を推奨している販売店もある。
スエードやヌバックなどの起毛素材は使用不可。シープスキンやゴートスキンでの使用は要注意になっているものの、エナメルや爬虫類にも使用できると謳っている。
ただし、クリーナー成分は含まれていないので「汚れ落とし」の効果はなく、些か誇大広告気味のところがある。

サフィール レザーローションは「クリーナー」に属するが、「汚れ落とし」のほかに蜜蝋などの保革成分が入っており、スムース革全般で使用できる。
成分は「ろう、油脂、有機溶剤」で乳化性。
エナメル・起毛・爬虫類には使用不可。記載はないがアリニン染めなどシミになりやすい製品で使用する場合は、必ず目立たない箇所でのテストを推奨。
日焼けを終えて使い始めたばかりのヌメ革に使用すると、一時的にシミになったように見えるが、乾くと問題はない。
この製品は非常に使い勝手がよく、靴から鞄、レザージャケットまで、スムースレザーならほとんど使用でき、適度に汚れも落ち、革に潤いとツヤを与えるのだが、蜜蝋独特の匂いがキツいので、この手の匂いがダメな人は避けたほうが無難。

基本アイテム

シューケアはスキンケアに喩えられることが多いが、スキンケアの基本は「洗顔」。
汚れたままの肌に化粧水や乳液を塗ってもキレイにはならないのと同じで、革製品の手入れも基本は「汚れ落とし」と「栄養補給」になる。

M・モウブレイのステインリムーバーは水溶性のクリーナーで、多くのクリーナーが保革成分を含んでいるのに対し、この製品はクリーナーに特化した逸品。
ステインリムーバーの成分は、「有機溶剤、界面活性剤、油脂類、水」で、「水」が主成分なので革に優しいとか、水の力で汚れを落とすとか、誤解を招く表現もあるが、汚れを落としているのは「有機溶剤」と「界面活性剤」で、水が汚れを落としているわけではない。
また、クリーナーの後はクリームやワックスでの栄養補給や保革が必須になる。
爬虫類・オーストリッチ・エナメル・起毛素材には使用不可。

コロニル レザーソープは界面活性剤を主成分としたムースタイプのクリーナー。
主成分が界面活性剤なので、水溶性と油性いずれの汚れにも効果があり、スムースレザー製品全般に使用可能だが、爬虫類・オーストリッチ・エナメル・起毛素材には使用不可。
保革効果もあるのでクリーナー使用後、乾拭きするだけでもOK。

サフィール ビーズワックスは商品名の通り、蜜蝋(ビーズワックス)ベースのクリームで、スムースレザー全般に使用可能。
成分はサフィール万能ローションと同じで、ろう、油脂、有機溶剤になっており、エナメル・起毛・爬虫類革などに使用できないのも同じ。

ビーズワックスは一般的な「乳化性の靴クリーム」と呼ばれるもので、サフィールはシリコンや樹脂を使わず蜜蝋などの天然成分にこだわっているのが特徴。
一方、コロニルは樹脂を使用しているが有機溶剤を使っていなかったりと、各社それぞれ特徴はあるものの、効果は保革(栄養補給)、ツヤ出しと、色付きのクリームには補色効果もある。

厄介なのはスムースレザーでも「アリニン染め」や「ヌメ革」「ゴートスキン(山羊革)」「シープスキン(羊革)」など、銀付き革の製品。
「銀付き」というのは、皮膚の表皮(銀面)を自然のまま活かしたもので、当然ながら表皮にキズ等が少ない原皮を使用し、銀面の表情を消さないために顔料ではなく、水溶性の染料を用いて染色される(本染め)のが特徴。
「アリニン染め」は染料の一種で、顔料を用いた製品と比較して「水に弱く」「シミになりやすい」というデメリットがある反面、樹脂などによる人工的な光沢ではなく、透明感のある革本来の自然なツヤと質感が得られる、言わば高級革の代名詞。

これらの高級革には通常のクリームではなく、デリケートクリームを使用する。
サフィール デリケートクリームの主成分はホホバオイルと小麦プロテイン。
動物性の油脂や有機溶剤など、シミの原因となる成分が含まれておらず、ワックス効果が薄いため「ツヤなし革」での使用が推奨されている。

作業がはかどる専用ブラシ

靴の手入れに関しては専用のブラシがあると非常に便利。

アプライブラシは靴クリームを塗るときに使用するブラシ。
普通に布に付けて塗っても同じじゃないか、と思っていたが、ブラシを使用すると靴全体にまんべんなく、薄く塗布できる。
ブラシについたクリームを放置するとガビガビになるので使用後は水洗いしておく。

ポリッシャーブラシはアプライブラシで塗布したクリームを靴全体に馴染ませるブラシ。
少しコツを掴めば布を使用してクリームを塗布するより効率がよくなる。

アプライブラシとポリッシャーブラシは使用する色を決めて、使い分けするのが定石。
個人的にはポリッシャーブラシが黒と茶、無色の3個、アプライブラシは黒・茶・キャメル・無色の4個を使用している。

スエード用

スエードなどの起毛素材はスムースレザー用のケア用品がほとんど使用できず、起毛素材専用のケア用品が必要になる。
日常的な手入れとしては専用のブラシによるブラッシング。

スエード素材の毛並みを整えるのがスエードブラシで、汚れを取るのがクレープブラシ。

スエードなどの起毛素材にはスムースレザー用のローションやクリームが使えないので、栄養補給にはスプレータイプの起毛素材専用品を使用するのだが、補色効果がある色付きのものは「黒:以外は避けたほうが無難。
色付きのものはラッカースプレーと似たような感じで、靴全体を塗装することになるので、「黒」以外のカラーでは思ったような仕上がりにならないことが多い。
そのため補色効果は切り捨て、革の栄養補給のみを行う「無色」がオススメ。

ハイポリッシュ

サフィールやコロニルを並べておいて言うのも何だが、個人的に靴墨といえばKIWI缶のイメージが強い。
KIWI缶は油性。
何が違うのかと言えば、乳化性の靴クリームは革の栄養補給とツヤ出しに使用されるが、ワックス効果が高い油性のものはツヤ出しと保革を目的として使われる。

冬場になるとカッチカチになったり、しばらく使わないと中でボロボロになったりと、決して使いやすい代物ではないが、磨くときに少量の水を使うのがポイント。
水の代わりにブランデーやウイスキーを使用するのも有りらしい。

乳化性の靴クリームにもツヤ出し成分が含まれており、磨き上げればそれなりにツヤはでるので、ハイポリッシュはあくまで最終的な鏡面仕上げ用。
また、ハイポリッシュは靴のつま先やカカトなどへの部分使用が基本になる。

防水スプレー

防水スプレーの是非については、使用を推奨するところもあれば、非推奨のところもあるのが現状。一般的な傾向をみると、靴好き、革好きは「防水スプレー否定派」が多いような気がする。否定する理由は明快で、「正しく手入れをしていれば必要ないから」。

また、「防水スプレーをかけると表面をコーティングするため革が呼吸できなくなる」という説をよく耳にするが、この防水スプレーは「シリコン樹脂」を主成分にしたもので、現在販売されている皮革用の防水スプレーはフッ素樹脂(フッ化炭素樹脂)を主成分にしているものが多く、革に浸透するため通気性に関しては損なわれることはない。
ただ、フッ素樹脂も合成樹脂であることに変わりはないので、クリーナーやクリームで天然成分にこだわってみても、最終的に防水スプレーを振りかければ台無しな感じもする。

十分に手入れが行き届いている靴や鞄であれば、防水スプレーを使用しなくても表面には油膜が形成され、少々の水なら弾くため、敢えて防水スプレーを使うまでもないが、手入れがなおざりになりがちなら、防水スプレーは強い味方になる。

コロニルのウォーターストップはヌメ革にも使用できる万能タイプの防水スプレー。
ただし万能タイプとはいえ、爬虫類革への使用は不可。
ウォーターストップだけではなく、防水スプレーは全般的にLPガスが充填されているので、室内での使用は危険。もちろん、火気のあるところでの使用は厳禁。

コロニルのレザージェルは室内でも使用可能な防水ジェルで、主成分はスプレータイプと同じフッ素樹脂とオイル、有機溶剤。
エナメルや爬虫類革へは使えないが、スムースレザーやスエード、ヌバックなどの起毛素材に使用できる。

ただしジェル状のなので、スエード素材に使用した直後は復元が怪しまれるほど残念な感じになり、完全に乾くまで冬場なら2日程度かかるのが難点。
乾いた後はブラッシングすれば元に戻るが、ヌバックならともなくスエード素材にはあまりお勧めしない。

クリーナーいろいろ

モウブレイのステインリムーバーのような汚れ落としに特化した製品は意外と少なく、しかも総じて期待より効果が薄いと思ったほうが良い。

コロニルのソフトガミは消しゴムのような感じで使用する部分的な汚れ落としで、汚れがある部分をこするだけだが、消しゴムのように汚れが落ちるわけではないので、過度の期待は禁物。

サフィールのリノマットはシリコンや樹脂などを根こそぎ除去する強力なリムーバーで、古い靴クリームなどを除去して、革の表面をリセットする。
強力すぎて加工がしっかりしていない製品に使用すると、くすみや色落ちの原因になるので注意が必要。

使い方はリノマットをよく振ってから、布に適量をとり、力を入れず円を描くようにこすり、完全に乾くまで15分以上放置し、必ず最後に保革成分の入った製品で栄養補給を行う。

ちまちまと布で汚れを拭き取るのではなく、ガッツリ水洗いしてしまうのがサドルソープ。
普通に石鹸で革を洗うので、ちょっと使い込んだ革を洗うと、ホントに汚れなのかと思うほど泡が濁っていく。

このサドルソープは革を水洗いするので、瀕死の革に使用するとトドメを刺すことになり兼ねない両刃の剣。パソコンで例えるならハードディスクのデフラグに似ている。
革に付着した手垢や汗など、水溶性の汚れに効果的で、雨シミや塩吹きなど水分が原因の症状にも通常のクリーナーやリムーバーより効果がある。

ただし、サドルソープを使用した後は、きっちり整形して陰干しして完全に乾燥させ、デリケートクリームなど浸透性の高いクリームで十分に栄養補給を行ってケアをしなければ、革が硬化するので要注意。





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