音声の基礎知識


音質にこだわればキリがない。
デジタルの場合、数値で表すことができるため、どうしても数値に捕らわれてしまうが、実際のところ体感できるほどの変化があるかと言えば、そうでもないことが多く、音質はデータのクオリティもさることながら、再生環境に大きく依存するので、必要以上に理論や理屈に拘る必要はなかったりする。

高音質の条件はいくつかあるが、元データを超える音質は基本的には得られない。
ただ、AudaCityのようなソフトを使用してノイズ部分を低減したり、波形 を操作してデータを編集加工することで、元データの質を上げることは可能だが、編集するには更に専門知識が必要になる。



CDの規格と寿命

CDが発売されてから30年ほど経過し、そろそろ発売当初のCDが経年劣化する時期だと言われている。
CDもDVDも発売 当初は「半永久」を謳っていた記憶があるが、後から経年劣化することが判明し、CDは概ね25年が目安と言われている。

保管状態によりメディアの寿命は変化し、再生できなくなる原因が反射膜やポリカーボネイト(CDの素材)の劣化のため、全てのCDが一定期間で再生不能になるわけではない。現に手元にある1986年に購入したCDは今も再生できる。
ただ、これらのCDはいわゆるCD-ROMのことであり、2000年前後から急速に普及したCD-Rとは別物。

CD-ROMとCD-Rではデータの記録方法が異なり、CD-RはCD-ROMと比較して劣化しやすいため、直射日光が当たるところなど、保管状態が悪ければ数日でデータが消失するケースもある。
DVDに関してはCDより長寿で30年が目安だが、これもDVD-ROMのことであって、DVD-Rになると状況はCD-Rと同じ。

DVD-ROMとDVD-R、CD-ROMとCD-Rを同一視している人は意外と多く、DVD-RやCD-Rのデータが半永久だと思っている。
この勘違いは「大切な思い出はDVDで保存」といったPRを展開した製造メーカーや販売店の訴求が原因。もし大切なデータをDVD -Rのみで保存しているなら、手遅れにならないうちにバックアップしておいたほうがいい。

再生環境

高音質なデータも再生環境が整っていなければ、本来の音質を得ることができない。
市販PCでの音楽再生はほぼマザーボードのサウンド機能を使用す る。
AC’97の頃に比べればHigh Difinition Audio(HD Audio)になり、パソコンの音質は格段に向上したが、HD Audioは高音質なデータを扱えるだけで、HD Audioだから高音質になるわけではない。

音楽CDはCD-DA(Compact Disc Digital Audio)と表記され、データ形式は原音に最も近いとされている無圧縮のリニアPCM(LPCM)。
CDや音声ファイルを一般的なスピーカーで再生する際にはDACと呼ばれるD/A(デジタル/アナログ)変換が行われ、 サウンドカードを増設した場合はサウンドカードで処理され、オンボードのサウンド機能を使用するとオンボードのチップで変換処理される。

デジタルからアナログに変換された信号は、出力端子からケーブルを通ってアンプに送られ、そこで増幅されてスピーカーから出力される。

音質はDACの変換性能やノイズ、アナログ出力時の劣化などで左右されるため、オンボードのHD Audioが高音質なデータを取り扱えても、高音質での入出力に特化しているサウンドカードや外付けのオーディオコンバータと比較すると音質に差が生じてく る。

 

最近は内蔵型のサウンドカードよりも外付けのユニットの方が需要があるようで、D/Aコンバーター などDACに特化した製品の人気も高い。

スピーカーは前述のようにD/A変換されたアナログ信号をアンプで増幅して出力する。パソコン用のスピーカーはアンプ内蔵型のパワードスピーカーが多く、最近はBluetoothを使用した無線タイプも増えてきている。

 
通常タイプのスピーカーはD/A変換が音質劣化の一因になるが、クラリオンからD/A変換を必要としない、フルデジタルスピーカーが販売されている。
このスピーカーは再生されたデジタル信号を処理し、デジタル信号でスピーカーからサウンドを出力するらしい。

理論的にはD/A変換による音質劣化や、ノイズの影響を受けにくいため、通常タイプのスピーカーより高音質になる。が、サウンドは好みもあり、再生するサウンドによっても異なってくるため、一概にはなんとも言えない。

ファイルの形式とエンコード

音楽CD(CD-DA)は前述のように原音に最も近いとされるリニアPCM(LPCM)音源で記録されており、圧縮されていない、つまり データが削られていないため、品質的には最高の状態になっている。
当然、無圧縮なので1分で9MB弱のサイズになり、700MBのCDで最大約80分の収録が可能。

このデータを変換して取り込む際、データの変換(エンコード)には3通りある。

  • CD-DAのデータをそのまま圧縮加工せずに取り込む「無圧縮」。
  • CD-DAのデータを圧縮して取り込むが、圧縮する前と圧縮後のデータが完全に一致している「可逆圧縮(ロスレ ス)」。
  • CD-DAのデータを取り込む際にデー タを削って圧縮するため、圧縮前と圧縮後でデータが一致しない「非可逆圧縮」。

無圧縮のファイル形式にはWAV(Wave)やAIFFがあり、可逆圧縮にはOgg FLAC(オッグ・フラック)やApple Lossless、非可逆圧縮にはMP3やAAC、Ogg Vorbis(オッグ・ボルビス)などがある。

これらのファイル形式にはそれぞれメリットとデメリットがあり、ベストなファイル形式というものはない。
強いて言うなら、非可逆圧縮ファイルのファイルサイズで無圧縮の音質を維持し、更に汎用性のあるファイル形式が最善なのだが、現在のところそのようなファイル形式は存在しない。

無圧縮のWAVファイルはファイルサイズが大きく、可逆圧縮のファイルは無圧縮に比べるとサイズは小さいが再生できるプレーヤーが限られて汎用性がなく、 非可逆圧縮のファイルはファイルサイズが小さく汎用性も高いが音質が損なわれる。
ただ、音質が損なわれると言えば聞こえは悪いが、それは理論的な話であり、全ての非可逆圧縮ファイルの音質が劣悪なわけではない。

無圧縮や可逆圧縮、非可逆圧縮などの各形式に変換するプログラムや機材をエンコーダといい、無圧縮や可逆圧縮は別として、圧縮によってデータを損失する非可逆圧縮は、使用するエンコーダによって音質が左右すると言われている。

最も汎用性の高いMP3のエンコーダはWindowsにデフォルトで搭載されており、Media Playerを使用すれば手軽にMP3ファイルにエンコードできる。
ただ、音質にこだわるならWindowsやiTunesのMP3エンコーダではなく、 高音質として定評のあるLame(レイム)を使用したほうが良いとされている。
MP3だけでなく、AACやOgg Vorbisなどのファイルも、使用するエンコーダによって音質が左右されるため、CD-DAからの取り込み時には使用しているエンコードを把握しておいたほうが良いかも。

コーデック

ファイル形式と混同しやすく、ややこしい感じになるのがコーデックで、データの圧縮復元を行うプログラムの総称。

音声コーデックには無圧縮のLPCM、可逆圧縮のApple Lossless、FLAC、非可逆圧縮のMP3、AAC、Ogg Vorbisなどがあり、前述のファイル形式と重複しているが、MP3ファイルは文字通りMP3コーデックを使用したファイルで、AACなども同様。

ただし、コンテナフォーマットと呼ばれる「WAV」「MP4」「Ogg」など、ファイル形式だけではコーデックが判別できない場合もある。
これらのファイル形式は文字通りコンテナ(容器)のようなもので、中に格納することができる。
ファイルの拡張子がmp4の場合、使用されているコーデックはAACの可能性が高いものの、MP3なども格納できるためファイルの拡張子だけでは判別でき ない。

ビットレート形式とファイルサイズ

ビットレートとは「1秒間に送受信するデータ量」のことで、単純にビットレートが高ければ1秒間に多くの情報を送ることができる。
MP3やAACなど非可逆圧縮のファイルは、エンコード時にビットレート形式とビットレートを設定し、その設定により音質やファイルサイズを調整できるようになっている。

ビットレート形式にはCBR(Constant bitrate)固定ビットレート、VBR(Variable bitrate)可変ビットレート、ABR(Averate bitrate)平均ビットレートなどがある。
厳密に言えばABR(平均ビットレート)はVBR(可変ビットレート)の一種なのだが、リッピングソフトなどではCBR・VBR・ABRを選択できること が多い。

★固定ビットレート(CBR)
その名のとおりデータ量が固定のため、転送データが少ないときは無駄が発生し、データが多いときは不足する可能性がある。

★可変ビットレート(VBR)
転送する情報量に合わせてビットレートが変化するため、固定ビットレートのようなムダがない反面、最終的なファイルサイズやビットレートの予測がつかない というデメリットがあるものの、固定ビットレートと比較すると同じファイルサイズであれば可変ビットレートは品質が向上する。

★平均ビットレート(ABR)
可変ビットレート(VBR)のデメリットであるファイルサイズの予測がつかない点を補いつつ、可変ビットレートと同様にデータ量に合わせてビットレート の調整を行う。
通常は複数パス方式(1度全体を解析する処理を行い、その後にビットレートを調整する)をとるため、1パスのVBRと比べて処理に時間を要 する。

エンコード後のファイルサイズは固定ビットレートの場合のみ算出することが可能で、数式は以下のようになる。

★1秒あたりのビットレート数(KB) =  ビットレート(kbps)÷ 8
★曲の長さ(秒) × 1秒あたりのビットレート数 = 1曲のファイルサイズ(B)
★1曲のファイルサイズ(MB) = 1曲のファイルサイズ(B) ÷ 1024

192kbpsの固定ビットレートでは、1秒あたりのビットレートが24KB、256kbpsでは32KBで、1分あたり192kbpsでは 1.41MB、256kbpsで1.88MB、320kbpsで2.34MBのファイルサイズになる。
ただし、算出した数値は理論値であり、実際にエンコードしたファイルサイズは若干異なってくる。

ビットレートと音質

聴くジャンルによっても異なってくるが、ロックやポップスなどでは、MP3でビットレート256kbps以上、サンプルレート44.1KHzあれば、リニアPCM の音源と比較しても遜色はない。
一般的にMP3のビットレートが128kbpsと198kbpsの差は判別がつきやすく、128kbps以下では音質の悪さを感じてしまうレベルになる。

MP3のダウンロード販売が始まった頃は、iTunesストアなどではビットレートが128kbpsのものも多く、音質ではCDに遠く及ばない音源が、CDと同額で販売されていたのだが、最近は音質も随分と改善されている。





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