ダイナミックディスクはWindows2000から実装されたWindows独自のディスク管理形式で、パーティションの制限を受けず、複数のドライブをまたいだスパンボリュームや、RAID 0のストライプボリューム、RAID 1のミラーボリュームなどが構築できることが最大の特徴。
反面、ダイナミックディスクはWindows独自の管理形式で、プライマリーパーティションという概念がないため、複数のWindowsを使用したり、LinuxやAndroid-X86など他のOSとのマルチブートはできない。
パーティションやボリュームについては「ベーシックディスクとパーティション」を参照。

ベーシックディスクとパーティション
ハードディスクのディスク管理には、ベーシックディスクとダイナミックディスクがあるが、パソコンを購入した時点、もしくは普通 … “ベーシックディスクとパーティション” の続きを読む
ダイナミックディスクへの変換
普通にハードディスクやSSDを使用した場合は、自動的にベーシックディスクになっているため、手動でダイナミックディスクに変換する必要がある。
ダイナミックディスクへの変換は、フォーマットの必要が無いため、データを保持した状態で変換が可能。
ただし、変換したダイナミックディスクをベーシックディスクに戻す場合は、ディスクのフォーマットが必要なため、安易に変換してしまうと後から面倒なことになるので要注意。
ダイナミックディスクへの変換作業は「ディスク管理」で行う。
ディスク管理を開くには「コントロールパネル」→「システムとセキュリティ」→「管理ツール」→「コンピュータの管理」→「ディスク管理」。
Windows10なら「スタート」を右クリックして「ディスク管理」で直接開くことが可能。
ディスク番号が表示されている箇所でコンテキストメニュー(右クリックメニュー)を出して「ダイナミックディスクに変換」を選択。
ダイナミックディスクへ変換するディスクにチェックを入れる。
再度変換するディスク番号を確認。
メッセージのとおり、マルチブート環境であれば、変換すると現在起動しているボリューム以外のOSから起動できなくなる。
確認したら「はい」をクリック。
再起動することもなく呆気なくベーシックディスクがダイナミックディスクに変換される。
スパンボリューム
スパンボリュームは複数台のHDDの空き領域を結合して1つのボリュームとして扱う、ダイナミックディスクのボリューム形式。
ベーシックディスクの場合、320GBのHDDを3台接続すると、320GBのドライブが3つ表示されるが、3台のHDDをスパンボリュームで構成すると960GBのドライブとして表示される。
スパンボリュームと似た構成に後述するストライプボリューム(Raid 0)がある。
スパンボリュームもストライプボリュームも、ボリュームを構成するHDDが1台でも故障すると全てのデータがアクセス不能になるのは同じ。
両者の違いは、ストライプボリュームが複数台のHDDへデータを分散させて高速化を図るのに対し、スパンボリュームは結合した領域順にアクセスするため高速化が得られない。反面、ストライプボリュームは容量、回転率が異なるHDDを使用すると、最も低いスペックに合わせて構築されるため、80GBと320GBのHDDを使用すると80GBの領域を持つストライプボリュームになるが、スパンボリュームは400GBのボリュームが作成される。
スパンボリュームが構成できる場合は、任意のディスクを選択してコンテキストメニュー(右クリックメニュー)を出すと「新しいスパンボリューム」が選択可能な状態で表示される。
※構成できない場合はグレーアウトして選択できない。
コンテキストメニューから「新しいスパンボリューム」を選択すると、「新しいスパンボリュームウィザード」が開始する。
スパンボリュームを構成するディスクを「利用可能なディスク」から「選択されたディスク」に「追加」する。
ディスクを追加したら「ディスク領域」を任意で決定して「次へ」。
割り当てるドライブ文字をリストから選択して「次へ」。
「このボリュームを次の設定でフォーマットする」にチェックを入れ、ファイルシステムは「NTFS」、アロケーションユニットサイズは「既定値」、ボリュームラベルは任意に入力し、クイックフォーマットを使用する場合はチェックを入れ、ファイルとフォルダーの圧縮を有効にするはチェックを外した状態でて「次へ」。
設定を確認して「完了」
未割り当ての場合はメッセージがでるので「はい」。
フォーマットが完了するとスパンボリュームとして使用可能。
ストライプボリューム
ストライプボリュームは2つ以上の空き容量を利用して、RAID 0(ストライピング)を構成するボリューム形式。
ストライプボリュームを構成した領域にデータを分散させて処理を行うため、構成する領域数に比例して高速化を図れるが、同様に故障率も増加するため、バックアップ等でデータ消失のリスクヘッジは不可欠。
また、ストライプボリュームの性質上、各領域は回転数や容量などが同一でないと構成できないため、スペックが異なるドライブを使用した場合は、最も低いスペックに準じることになるので、基本的には同一メーカーの同一ドライブの使用を推奨。
RAIDについては「RAIDの設定」を参照。
同一ドライブ内に作成された領域では、ダイナミックディスクにしてもRAIDは構成できないので、最低でも2台以上のドライブが必要になる。
構成手順はスパンボリュームと全く同じ。
ストライプボリュームが構成できる場合は、任意のディスクを選択してコンテキストメニュー(右クリックメニュー)を出すと「新しいストライプボリューム」が選択可能な状態で表示される。
※構成できない場合はグレーアウトして選択できない。
コンテキストメニューから「新しいストライプボリューム」を選択すると、「新しいストライプボリュームウィザード」が開始する。
ストライプボリュームを構成するディスクを「利用可能なディスク」から「選択されたディスク」に「追加」する。
ディスクを追加したら「ディスク領域」を任意で決定して「次へ」。
上図はは500GBのHDD3台でストライプボリュームを構成しているが、ディスク領域を1台でも300GBにすると、作成されるボリュームの合計サイズは900GBになり、各ドライブに未割り当ての領域が200GBずつ生じる。
割り当てるドライブ文字をリストから選択して「次へ」。
「このボリュームを次の設定でフォーマットする」にチェックを入れ、ファイルシステムは「NTFS」、アロケーションユニットサイズは「既定値」、ボリュームラベルは任意に入力し、クイックフォーマットを使用する場合はチェックを入れ、ファイルとフォルダーの圧縮を有効にするはチェックを外した状態でて「次へ」。
設定を確認して「完了」。
未割り当ての場合はメッセージがでるので「はい」。
フォーマットが完了するとRAID 0のボリュームが使用可能になる。
ボリュームの混在
良い悪いは別として、ダイナミックディスクではスパンボリュームとストライプボリュームを混在させることも可能。
はじめに作成するボリュームの領域を調整し、各ドライブに生じた空き領域で別のボリュームを作成する。
推奨はされないが、サイズの違うディスクでストライプボリュームを構成し、使用されていない領域をスパンボリュームとして集約したり、ストライプボリュームのディスクを複数用意したいときなどには便利かも。
ただし、スパンボリュームとストライプボリュームの場合は、ディスクが1台でも故障すると全てのボリュームで、保存されているデータへのアクセスが不能になるため注意が必要。
ディスクエラー
ストライプボリュームやスパンボリュームで、構成しているディスクが損傷して読み込めなかった場合、ディスク管理では読み込めなかったディスクに「不足」と表示され、状態が「失敗」になる。
ディスクが1台でも「不足」の状態になれば、そのボリュームにはアクセスすることができなくなり、スパンボリュームもストライプボリュームも冗長性はないため、新しいドライブに差し替えても再構築はできない。
不足の原因が単に接続の問題であれば、再接続することでボリュームは回復するが、ドライブが損傷していると復旧は困難なので、データのバックアップは必須。
ミラーボリュームとRAID 5
Windowsの「Home」ではダイナミックディスクで作成できるのは「シンプルボリューム」「スパンボリューム」「ストライプボリューム」の3種類だが、「Professional」では「ミラーボリューム」「RAID-5 ボリューム」と冗長性のあるボリュームが作成できる。
作成手順はスパンボリュームやストライプボリュームと同様、ウィザードで構成を設定することになる。
ミラーボリュームやRAID-5 は冗長性があるため、1台のドライブが「不足」状態になっても、残りのディスクがデータを保持しているので、新しいディスクをボリュームに追加することで再構築が可能。
HomeでRAID1(ミラーリング)やRAID 5を構築したい場合は、マザーボードが実装しているRAID機能を利用するか、使用しているハードウェアがインテル・ラピッド・ストレージ・テクノロジーの要件を満たしているのであれば、Windowsを起動した状態からRAIDを構成できる。
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