個人事業主といっても、事業内容は9割以上が趣味で、収支に関しても家計簿の延長なので、1年間freeeを使用しても、はっきり言って経理処理をしている自覚が全く無い。
無論、会計ソフトとしての機能は十二分に備えているのだが、全く使い切れておらず、まるで初めてのExcelで取り敢えずオートサムだけ覚えて使っている感じ。
ただ、それでもfreeeが勝手に処理を行って、確定申告に必要な「確定申告書B」と「決算書」を作成してくれるので、経理初心者には非常におススメ。
世の中、ホント便利になった。

事前準備
青色申告の申請をする際、本業の会計士からアドバイスされたのが次の2つ。
- 銀行口座を個人用と事業用で分けること
- 現金などお金の出し入れも個人用と事業用で分けること
アドバイス通り事業用としてジャパンネット銀行(JNB)に口座を開設。
同時に事業用のクレジットカードも新規に作ってみた。
無論、どちらも新しく作らなくても、既存のもので全く問題はない。
freeeは登録することで口座の取引明細やクレジットカードの利用明細を自動で取り込む機能があり、事業用の口座とクレジットカードを予め作っておくと、後は勝手に取り込んでくれるので、登録するという最も面倒な作業を自動化できる。
証憑書類の保管
証憑書類とはレシートや領収書など、取引の内容が記載されている書類で、クレジットカードの利用明細も証憑書類になる。
ここで注意が必要なのはクレジットカードの利用明細とは、クレジットカードを利用した店舗で発行される控えのことで、月末に送られてくる請求明細ではない。
要は取引内容が正しく証明できる書類であれば良いわけで、もっと乱暴な言い方をすれば税務監査が入った際に、税務官を納得させられればOKということになる。
そのため一般的には認められていないクレジットカードの請求明細書でも、何かしらの方法で証憑として認めてもらうことができれば良いのだが、素人が真っ向から勝負して勝てるほど税務官は甘くないので、多少面倒でも証憑書類は正しく保管しておいた方が賢明。
ちなみに証憑書類は領収書やレシートだけでなく、契約書や請求書、送り状など、「事業上での取引内容が記載されている書類」は全て証憑書類になり、原則として7年間の保管義務がある。
また、今年(2016年)の1月1日より電子帳簿保存法の規制が緩和され、スキャナ保存された領収書や請求書は原本廃棄が可能になったが、スキャナ保存に対応するためには、電子帳簿保存法で事前申請が必要だと規定されている。
freeeの登録
freeeはクラウド型の会計ソフトなので、操作は全てブラウザ上で行うことになる。
そのため一般の会計ソフトにある簡易サーバの設定や、認証などの面倒なインストール作業は一切なく、会計処理もインターネットに接続された環境で、ブラウザが起動できればいつでも行える他、iOSやAndroidのアプリも提供されているので、スマホやタブレットからもアクセス可能。
freeeには無料お試しプランが用意されており、一部の機能制限があるものの、おおまかな操作感などを体験できる。
freeeのアカウントは法人か個人事業主かを選択し、メールアドレスとパスワードを設定するだけ。
登録したメールアドレスに認証キーが送信されてくるので、メールに記載されているURLからログインして認証完了。
時期にもよると思うが、確定申告の時期だとログイン直後に確定申告の必須入力項目が表示される。
事業所の住所や業種、最寄りの税務署、氏名、生年月日、屋号、開業日などなどを入力すればOK。
開始残高の設定
開始残高とは事業を開始した時点での資金で、「設定」から「開示残高の設定」を選択して、各項目を入力する。
事業開始といっても税務署に書類を提出しただけで、作業場は今までどおり自宅の1室、作業環境も全く変わらず自作PCのため、開業費はおろか設備費用も一切なし。銀行も口座開設したばかりで預金高はゼロ。
ただ開業残高がゼロのままだとログインするたびに入力を求められるので、取り敢えず手持ち現金として5万円で登録してみた。
口座の登録
freeeは多くの銀行やクレジットカード会社で自動同期に対応しており、口座登録すると取得したデータから予測して仕訳を行ってくれる。
口座登録はホーム画面にある左のナビゲーションメニューから「口座を登録」をクリックするか、上部メニューの「口座」から「口座を登録」を選択。
ただし、自動同期をするには銀行ならオンラインバンキング、クレジットカードも事前にクレジットカード会社のWEBサービスを申し込んでおく必要がある。
口座登録そのものは非常に簡単で、銀行の場合はオンラインバンクのログインIDとパスワード、クレジットカードも同様にWEBサービスのログインIDとパスワードを入力するだけで口座登録と同期設定が可能になっている。
仕訳
経理経験者なら「仕訳」がどのような作業か理解できるが、未経験者であれば民主時代の事業仕分けくらいしか頭に浮かばない。
仕訳とは事業で発生する取引を、「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」という5つの属性ごとに、勘定科目という決められた項目名を使用して、金額を記録すること。
ただ、使用した勘定科目から「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」に振り分けられるため、freeeで仕訳入力する際は、5つの属性を気にすること無く、勘定科目のみを選択することになる。
クレジットカードを登録して同期していれば、利用明細を取り込んだ際に予測して勘定科目を振って自動的に仕訳し、上図のようにホーム画面で「未処理」として表示される。
「未処理」をクリックすると自動仕訳された項目が表示され、「編集」をクリックすると仕訳の内容を変更できる。
追加修正を行ったら「登録」で仕訳が完了。
毎回同じ内容であれば「自動化」にチェックを入れることで、freeeが自動で処理を行うようになる。
税区分
よく分からなかったのが税区分。
この税区分とは消費税のことなのだが、GoogleのAdSenseが非課税という情報があったりするので、どうもややこしい。
ところが、売上高が少ないと消費税で悩む資格すらないことが判明。
消費税の納税義務の免除
消費税法の第9条第1項では、「小規模事業者に係る納税義務の免除」が規定されており、課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除される。
年商1000万円ということは、月商83万円以上。
いっぱしに税区分がどうのこうのと考えるのは、月商80万円くらいになってからで良いらしい。freeeのサポートにも問い合わせたが、年商が1000万円に満たないのが確実であれば、税区分は課税でも非課税でも問題ないという回答だったので、取り敢えず月商が80万円を超えるまでは全て「課税」で処理することにしている。
按分(あんぶん)
freeeでは上部メニューの「確定申告」から「家事按分」の設定が可能になってる。
按分とはおそらく個人事業主に特有の項目で、個人と事業で共用している経費を、一定の比率で振り分けること。
例えば、作業場は自宅の1室だが、この部屋がなければ作業ができないわけで、自宅の中に事務所があるとも言える。
作業中は常にデスクトップPCが2台稼働し、ファイルサーバは常時稼働、フリーソフトなどの記事を書く際には、テスト用のPCも起動したりするので、電気代もバカにならない。
電話はまず使うことがないので、携帯料金も自宅の電話代も個人での支払いで、水道代もガス代も事業には無関係だが、通信費に関してはメインが事業での使用だったりと、共用部分を見直して按分を行うのだが、個人的に家賃の場合は自宅全体対しての自室の広さを大まかに計算し、事業の家賃按分は30%にしている。
電気代も個別に算出するのが困難なので同じく30%。
ただ、これが税務監査の際に通用するかは別問題なので、按分率に関しては所轄税務署に問い合わせたほうが無難。
登録後の修正
意外と初めの頃に分かり難かったのが自動仕訳後の修正。
過去の自動仕訳で後から間違いに気付いた時など、該当の仕訳項目は探せても、修正の方法が今ひとつ分からない。
自動仕訳の内容を修正する際は、上部メニューの「口座」から「取得した明細の一覧」で自動取得した内容を表示し、修正が必要な項目のチェックボックスのチェックを入れ、上図赤枠部分の「登録解除」をクリック。
登録解除された取引は「未処理」に戻されるので、内容を修正してから再度「登録」すればOK。
クレジットカードの返金
クレジットカード購入した後、何らかの理由により返金処理がされた場合、freeeの自動仕訳は勘定科目を「仕入れ」にして、金額をマイナスで計上してしまった。
もともと「仕入れ」は発生しないので、確定申告の書類で仕入れがマイナス計上されているのを見て、初めて間違いに気づいた。
クレジットカードでの返金では、返金対象の取引が仕訳登録されていなければ、相殺して処理すれば良いらしく、すでに取引が仕訳登録されている場合は、登録された取引の勘定科目で再登録することになる。
ただし、該当の取引を登録解除して編集する際、勘定科目の選択肢は「入金」に関するものしか表示されないため、勘定科目を直接入力する必要がある。
確定申告
確定申告の期限は3月15日。
期日までに書類を揃えて税務署に申告する必要がある。
青色申告で提出するのは次の書類。
- 所得税及び復興特別所得税の確定申告書 B
- 所得税青色申告決算書(一般用)
- 貸借対照表
※貸借対照表が作成できない場合は簡易簿記での申告になり、その場合の控除額は10万円。freeeは自動的に貸借対照表を作成するので通常の青色申告になる。
単に自分が無知なだけなのだが、申告の際には保管している証憑書類も必要だと思いっていた。申告に必要だから、少々面倒でも適切な管理が求められているものだと勝手に納得していたのだが、証憑書類は7年間の保管義務があるだけで、申告の際には必要ない。
ただ、税務署から申告内容を問われた際、その数値の証拠を明示するために必要なので、正しく管理していないといざという時に痛い目に遭うということらしい。
freeeでの青色申告は基本情報を入力した後は◯X式で必要な部分だけを入力する、比較的分かりやすい形式になっているが、初めて確定申告をする際には、そもそも何をどう入力していいのかさえ分からない。
本業では給与所得者なので、生命保険などの控除は年末調整で行っており、何をどこまで記入して良いのかも分からなかったので、本業でお世話になっている会計士に尋ねると、やはり色々と入力が必要なことが分かった。
給与所得者の場合、源泉徴収票に基いて入力する必要があるので、画面右上にある「直接入力編集へ」をクリック。
直接編集の画面が開いたら「確定申告書B」のタブを開き、「第一表の内容を編集」から「収入金額等を編集」をクリックするか、左に表示されている確定申告書Bのイメージ画像の「収入金額等」の部分をクリックする。
表示された入力項目で「給与」の箇所に源泉徴収票に記載されている給与・賞与の「支払金額」を入力して保存。
続いて「所得金額の編集」を開き、「給与」の項目に源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を入力。ちなみに「区分」は空欄で良いらしい。
次は「確定申告書B 第二表」を移動。同じ画面で下へスクロールすると第二表がある。
第一表の「所得から差し引かれる金額」の「社会保険料控除」「生命保険控除」「扶養控除」の各項目は直接入力できず、第二表で入力したものが反映するようになっている。
「所得の内訳」では所得の種類と支払者の氏名や場所、収入金額と源泉徴収額を入力する。
所得の種類は「給与」。
「種目・所得の生ずる場所・・・」の項目には、勤め先の会社名と住所。
「収入金額」は源泉徴収票の「支払金額」。
「所得税及び復興特別税の源泉徴収税額」には源泉徴収票の「源泉徴収税額」。
以上を入力して「保存」をクリック。
次に「所得から差し引かれる金額に関する事項を編集」で、社会保険や生命保険の金額を入力する。
「社会保険料控除」の項目では、「社会保険の種類」に「源泉徴収票のとおり」と入力し、支払保険料に源泉徴収票の「社会保険料等の金額」を入力。
生命保険料控除も同様に、源泉徴収票の「新生命保険」「新個人年金保険料の金額」「介護医療保険料の金額」に記載されている金額をそれぞれ入力。
扶養家族がいる場合は、「配偶者(特別控除・扶養控除)」の項目に、扶養家族の氏名・続柄・生年月日・控除金額を入力。
これらの項目は年末調整の際に記入しているのと同じ。
その他、医療費控除などがあれば入力して保存。
後はこれらを出力して、源泉徴収票の原本を添付して税務署に持ち込むか、郵送すれば完了。
今回は本業の会計士という力強い味方がいたので難なく終わったが、初めて申告する場合は専門家に確認してもらうか、最寄りの税務署に相談した方が賢明。
サポート
最近になって急激に普及しているのがチャットでのサポート。
freeeのサポートも基本はチャットで行うのだが、ggrks と書かれそうな問い合わせにも応じてくれるだけでなく、チャットでのやり取りが後からメールで送信されてくるのが非常に便利。
電話の方が話しは早いのだが、まず電話が繋がるまで時間がかかり、対応策を聞きながらメモをとっても、後からメモを取らなかった部分で悩むことになったりする。
それがチャットだと先ず、文章にするため質問の内容を整理するので「何が聞きたいか」が自分自身で明確になり、その点についてのやり取りが後から確認できるため、個人的にはかなり使いやすい。
証憑書類が確定申告の際には必要ないことや、売上が年商1000万円未満であれば消費税が免除されることなども、freeeのサポートセンターから教えてもらったことだったりする。
もちろんサポートセンターは会計士でもなければ税理士でもないので、「税務判断」に類することは「税務署にお問い合わせ下さい」と言われてしまう。
ただ、freeeの操作だけでなく、一般的な経理処理についてもアドバイスしてくれるので、経理初心者にとってはとても心強い。

青色申告します!

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