海外通販・個人輸入の基礎知識

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海外通販・個人輸入に必要な関税 や 為替交換レートなどの基礎知識

2000年頃に比べると ECサイトもグローバル化し、Amazon の存在などもあって 個人輸入は 随分と簡単になったが、グローバル企業では ジオブロック ( 地理的位置で制限を加える技術 ) を導入して 他国のサイトで購入できないよう規制しているケースも増えている。

個人輸入のメリット

・国内では入手困難な商品が購入できる
・( 円高の場合は ) 国内販売価格よりも安く入手できる可能性が高い

個人輸入のデメリット

・クレジットカードが不正利用されるリスクがある
・決済後に商品が届かない可能性がある
・粗悪品が送られてくる可能性がある
・言語の壁
・関税が掛かる
・送料が高い
・輸入できない商品(禁輸品)がある
・為替で価格が変動する
・購入後のサポートが受けにくい

個人輸入の際に必要なコスト

商品代金 + 送料 + 関税額 + 消費税 + 立替手数料

立替え手数料 以外 は 為替レートによって金額が変動し、クレジットカードで決済する場合は クレジットカードの事務処理コストも加算される。

為替レートとクレジットカードの事務処理コスト

個人輸入は為替レートによって商品価格が変動するため、基本的に個人輸入は 円高 に振れるほど 商品を安く購入することができる。

クレジットカードの事務処理コスト

クレジットの事務処理コストとは 海外利用のデータ処理手数料で、各クレジットカードの発行会社によって料率が異なり、従来は 1.63% のところが多かったが 2018年 頃 から 料率を 2.16 % まで引き上げる会社が増え、現在は 2.20 % が主流になっている。
SMBC「 外貨でのショッピングご利用に伴う事務処理手数料 」改定

仲値

金融機関の取引に使用される為替レートが 仲値 ( Telegraphic Transfer Middle Rate ) で、海外での クレジットカード決済は 商品価格に 仲値を掛けた値に「 クレジットの事務処理コスト 」が加算される。
三井住友信託銀行 マーケット情報

クレジットカードのレート

一般的にクレジットカード会社の基本レートは TTM事務処理コストを加算したものになっているが、実際の換算レートはカード会社が独自に設定するため クレジットカード発行会社によって異なり、レート換算日もクレジットカードを使用した日ではなく、カード会社の決済センターでクレジット処理 が行われた日になるので、正確なレートは把握しきれない。

経験則でいうなら クレジットカード会社のレートは 取引実勢レート( ニュースなどで報じされている為替レート ) よりも 米ドル や 英ポンド では 5円 程高いため、取引実勢レートを使用して商品を購入すると 2 ~ 3円 は下振れするので、思ったより高く付いた という印象を持つことになる。

クレジットカードのレート換算

クレジットカード会社のレートは 非公開のところが多いが、VISA/ Master は ウェブサイトでレート換算が可能で、JCB は 基本レートのみ公開している。

VISA

VISAVISA  Exchange Rates  のページで 指定日のレートを確認できる。

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AmountBank fee日付Card currencyTransaction currencyの 5項目を入力し、「 Calculate exchange rate 」をクリックすると、指定した日付で処理された場合のレートが表示される。

Amount:決済する金額(現地通貨)
Bank fee:2.20
日付:レートを確認したい日付
Card currency:Japanese Yen
Transaction currency:商品購入先の国を選択
MasterCard

MasterCard は Mastercard Currency Converter のページで 指定日のレートを確認できる。

Private import Basics 022

AmountBank fee日付Card currencyTransaction currencyの 5項目を入力し、「 CALCULATE  」をクリックすると Your Card Currency Amount に、指定した日付で処理された場合のレートが表示される。

Transaction Date:レートを確認したい日付
Bank fee:2.20
Select Transaction currency:商品購入先の国を選択
Select Your Card currency:Japanese Yen(JPY)
Transaction Amount:決済する金額(現地通貨)
JCB

JCBJCB海外でのお取り引きにおける基準レート で 当日のレートが公開されているが、値は 少数点第 3位で丸められており、過去のレートを参照することはできず、事務処理コスト ( 1.6% ) も加算されていないため、米ドルベースの JCB Base rateで確認する。

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JCB Base rateのページでは 米ドルベースで過去三ヶ月分の基本レートが表示され、JPY の Sell の値で基本レートを確認できる。

PayPal

PayPal の場合はマイページにログイン後、お支払い・決済の受け取り から 入出金管理 を選択し、通貨換算ツール で 試算できる。

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換算元の通貨 は日本円、 金額 には購入金額を現地通貨で入力し、 換算先の通貨 に商品購入先の国を選択して 計算 をクリックすると 換算された値が表示される。

送料と配送業者

国際輸送では FedEx・UPS・EMS・DHL・USPS などがメジャーで、特急 を希望すると 割高 になる。

配送料 は 荷物の 3辺合計の長さと 重さで決められる。
FedEx・UPS・DHL・USPS

一般的に FedEx・UPS・DHL などは 配送が早く、税関も自社の通関士が手続きを行うため 海外から日本に荷物が到着したら 1 ~ 2日で税関を通り抜けるが、配送業者が税関で手続きをする際に 関税と消費税を立替えて納付している場合は、立替手数料を請求されることもある。

EMS

EMS は 主要各国の配送会社が加盟して成り立っているサービスで、日本では 日本郵便 が取り扱っているが、日本郵便は EMS の荷物を 集荷・配達しているだけで 関税手続きなどは行わないため、税関を抜けるのに数日かかり、配達日数は 他の国際輸送会社と比べて長いが、コストが低く 稀に税関をスルーしたりもする。

関税 と 消費税

関税 は 国内産業を保護するため 輸入商品に課せられる税金で、税率は商品によって異なる。

商品区分ごとの税率については 税関の実行関税率表のページ を参照
輸入品の規制

輸入についての規制は、各法令によって定められている。

銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)
拳銃・小銃・機関銃・空気銃・刃渡り15cm以上の刀・刃渡り5.5cm以上の剣などは禁輸。
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)
鳥及びその加工品、獣及びその加工品、鳥類の卵も規制され、ワシントン条約で定められた絶滅危惧種も禁輸。
薬事法
医薬品と医薬部外品、化粧品などの輸入には厚生労働大臣の承認が必要だが、個人輸入に限り特例があり、税関の確認を受け 本人使用が条件で 輸入が認められている。
輸入した医薬品・医薬部外品・化粧品などは 他人への譲渡・販売は一切認められていなため、個人で医薬品や化粧品の代行輸入はできない。

課税標準価格

課税標準価格 は 関税の算出に使用される 課税対象額 で、個人輸入では 小売価格の60%(卸売価格)に 送料 と 保険料 が加算された価格の 1000円未満を切り捨てた値 が使用され、課税対象額が 1万円以上 20万円未満(平成26年度改正)の場合は、穀物・履物など一部の対象外を除き 少額輸入貨物に対する簡易税率 が適用され、課税対象額が 1万円未満の場合は免税になる。

複数の商品を輸入する際は 商品の合計金額から課税標準価格が算出され、輸送時に商品へ保険をかけると 保険で保証されている金額 が 課税標準価格の加算要素になる。
算出の際に使用される為替交換レートは 関税定率法で定められており、財務省貿易統計のページ に各国の通貨レートが週別で公表される。

$1= 120円で、100米ドルの商品を 送料 20米ドル、5米ドルで 100米ドルの保険を掛けて 輸入した場合。
100 x 0.6 + 30 + 100 = $190
$190 x 120円 = 22,800円
1000円未満切り捨てなので 課税標準価格は 22,000円になり、保険を掛けなければ 課税標準額は 9,600円で免税だが、保険をかけると関税の課税対象になる。

消費税

一般的に 消費税 として括られているが、消費税 は 内国消費税 と 地方消費税 を合わせたもので、現在の消費税率 10% の内訳 は 内国消費税 7.8%、地方消費税 2.2% になっており、個人輸入の際は 内国消費税 と 地方消費税を合わせた額から 100円未満を切り捨てた金額 が 消費税として徴収される。

内国消費税は( 課税標準価格 + 1000円未満を切り捨てた関税額 ) x 0.078。
地方消費税は( 課税標準価格 + 1000円未満を切り捨てた関税額 ) x 0.022。

185米ドルの衣類を輸入し、$1= 123円だとした場合。
課税標準価格は13,000円
衣類の簡易税率は 10%なので関税額は14,000 x 0.1 = 1,300円

内国消費税は (13,000 + 1,000) x 0.078 = 1092円
地方消費税は (13,000 + 1,000) x 0.022 = 308円
合計1,400円で、100円未満が0なので徴収される消費税は1,400円。

住所の入力

個人輸入の住所入力で 最も重要になるのは Country の項目、次に State/ Province/ Regionで、この項目を 正しく入力すれば 最寄りの 税関まで荷物は届き、City 以下の 住所については 国内の配送業者 が 見るので 住所 が 不完全でなければ 問題はない。

海外通販 個人輸入の基礎知識 8

入力は 全て ローマ字。

Full Name : 姓名を入力。
サイトによってはFirst Name(名) Last Name(姓)とに分かれていることもある。
Address Line1 : 住所の◯◯市以降の部分を番地から入力する。
Address Line2 : マンション名などを入力。
City : 市 を入力。
State/Province/Region : 都道府県 を入力。
ZIP : 郵便番号を入力。
Country : 国名を入力 するか リスト から選択。
Phone Number : 日本の国番号 81 を先頭に付け 固定電話の場合は 市外局番の先頭の 0 、携帯電話も先頭の 0 を省いた番号。( 090 1111 1111 → 81 90 1111 1111 )
State/ Province/ Region がドロップダウンリストになっていて 県名が入力できない場合は、Other などを選択して City に 都道府県 Address Lineに 市 以降の住所を入力。

転送サービス・代理購入

海外発送 を 行っていなかったり 海外からの受注を拒否しているサイトで買い物をする際に便利なのが 転送サービス代理購入サービス

米国の 転送・代理購入サービス はSales tax(州税)が無料のオレゴン州を拠点にしているところが多く、PLANET EXPRESS のように LA に拠点があると 州税 が 商品代金の 9.5% も 加算されるため、手数料や送料だけでなく 現地住所の場所も重要。

転送サービス

転送サービス は 現地住所を取得し、海外サイトでの 購入時に商品を現地住所へ配送し、転送サービス会社が届いた荷物を日本に発送するというもので、ジオブロックなどで直接購入できない場合 や 複数箇所での購入で送料が嵩んでしまう場合での利用が想定される。

近年は 転送業者宛の注文を強制的にキャンセルするサイトも増えている。

代理購入

代理購入 は自身で購入できないサイトから商品を購入したい時に利用するサービスで、転送サービス を行っている会社が同時に提供していることが多い。

一般的に代理購入は 商品情報・商品URL・価格・数量などを入力し、商品代金に手数料を加算した金額を入金後、サービス提供元が指定された商品を購入して配送するという流れになっている。

個人輸入をするにあたって

クレジットカードの 外貨交換レート や 関税の為替交換レート など 細かな計算をすればウンザリするので、初めは日本円での決済が可能な  米国 Amazon で 関税が免除される 16,666円以下の商品を輸入するのがオススメ。

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