ZTEが窮地に立たされている


2018/04/28

中国の通信機器メーカー大手のZTEが米国の輸出規制を受けて、結構たいへんな事態に陥っている。
日本では数年前にXiaomi(シャオミ)、最近はHuawei(ファーウェイ)がメディアに取り上げられることが多く、ZTEの端末というかZTEという企業名を目にする機会は少ないものの、docomoのMONOや最近発売された2画面タイプの端末など、3大キャリアをはじめgooスマホやWiFiルーターなど、ZTEの製品は意外と多い。



米国では今年の1月にHuaweiとZTEのテレコム機器を使用した企業を、政府機関が利用を禁止する法案が提出され、それに追随する形でアメリカ電話会社最大のAT&TがHuaweiの端末発売をドタキャン。

政府契約企業のHuawei、ZTEの機器の使用禁止法案、米議会に上程

その後、3月26日には米連邦通信委員会(FCC)のアジット・パイ会長が「米国のネットワークをセキュリティの脅威から守るため」として、国内の通信会社に対してHuaweiやZTEの通信機器の調達を禁止する方針を明らかにした。
もし、HuaweiやZTEの通信機器を調達した場合、ユニバーサル・サービス・ファンド(USF)からの補助金が受けられなくなるため、中小の通信会社には死活問題。

FCC chairman confirms plan to dissuade carriers from using Huawei and ZTE equipment

そんな風当たりが強くなっている状況下、4月16日に米商務省はZTEが虚偽の報告を繰り返したとして、7年間の部品輸出禁止を発表した。

Secretary Ross Announces Activation of ZTE Denial Order in Response to Repeated False Statements to the U.S. Government

今回の措置は、ZTEが輸出規制されているイランや北朝鮮に違法輸出し、更に虚偽の報告をしたため、2017年3月に11億9000万ドルの罰金と、幹部社員4名の解雇や社員35名の賞与減額、懲戒処分などの条件で合意していたものが、減額されるはずの社員35名に賞与が全額支給され、更に虚偽の申告が繰り返されたことが原因らしい。

この規制には、ハードウェア・ソフトウェアが含まれるため、Snapdragonをリリースしているモバイル向けSoCの大手メーカーQualcommを始め、米国に本社のある企業からの部品調達が禁止され、第三国を経由しての間接的な輸入もできなくなる。
当然、米国に本社があるGoogleのサービスも利用が禁止されるため、オープンソースのAndroidは使用できても、Google PlayストアやGmailなどGoogleのサービスを実装できなくなる可能性が高い。

これにより日本国内でもdocomoなどからリリースされているZTE製品の今後のサポートが問題になっている。
また、すでにZTEのデバイスでシステムのアップデートを実行すると、サーバが利用できないという情報もある。

ただでさえ米国は保守主義が台頭して、米中の貿易問題が激化しているのに、その相手国の行政機関のメンツを潰すような真似をすれば、吊るしにかかってくるのは当たり前。
米商務省の発表が真実なら、ZTEは商務省にナメた対応をした報いといったところか。

ZTEは今回の措置を不当だとして、中国の商務部も「中国企業の利益を保護するため」として対抗する姿勢を見せている。
賞与が満額支払われた35名の件は、ZTEの内部調査で明らかになったことで、ZTEはその事実を商務省に報告し、是正措置を講じたというのが不当という理由らしい。
内部調査も何も、すでに個人が確定している35名に対し、賞与が全額支払われることがそもそもおかしいと思うのだが。。。

また、ZTEの通信機器使用に関しては、米国だけでなく英国でもNational Cyber Security Centre(国家サイバーセキュリティセンター)が、国家安全保障上のリスクがあると警告を発表。

NCSC advice to telecommunications sector about ZTE

英国の場合は、NCSCのイアン・レヴィ博士のアドバイスという形でしかなく、実際にZTEの通信機器が排除されるわけではないが、風当たりが強くなっているのは事実。

更にZTEだけでなく、Huaweiもイラン制裁措置違反の疑いで司法省の調査を受けている模様。

Huawei is reportedly under investigation for allegedly violating Iran sanctions

吊るし上げられているHuaweiやZTEの通信機器には、過去にバックドアが発見されているものの、現行機種からは何も見つかっていない。
まるで魔女狩りのような感じがしないでもないが、通信機器の怖いところは「後からバックドアを仕込むことが可能」だということ。

通信機器ではないが、2年前にはパソコンがある日突然、Windows10になってしまった人が続出した。
オンラインであれば通信機器メーカーはファームウェアのアップデート時に、バックドアを忍ばせることが可能で、万が一の時には何十万、何百万台という端末が、一気にスパイウェアを搭載したデバイスに変化する可能性を秘めている。
ましてや中国は政府が国民を監視するためにバックドアの設置を要求しており、中国のIT企業は政府から資金援助を受けている国営企業のようなものなので、米国の行政機関やFCCが懸念するのも無理がない。

アメリカ国内では、スノーデン氏の内部告発で発覚したNSAのPRISMを引き合いに出し、一連の中国企業への圧力を揶揄する声も多いが、今回のZTEに措置に関しては理不尽というよりは自業自得といった感じがする。

グローバル企業としての意地を見せるのか、ケツを捲くるのか、今後のZTEの対応によっては、Huaweiなど他の中国企業もかなりの影響を受けると思われる。






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