Samsung Galaxy Flash Tool – Odinの使い方

Odinは、Samsung Galaxyシリーズ専用のファームウェアを書き込むためのフラッシュツールです。
一般ユーザー向けに公式配布されているわけではありませんが、開発・修理現場で長年使用されてきた経緯があり、現在も Galaxy端末のファームウェア更新や修復に利用されています。

Odinの概要

Odinは、Samsung Galaxyシリーズ専用のファームウェアを書き込むために利用される Windows向けのツールで、デバイスを「ダウンロードモード」でパソコンに接続することで使用できます。
公式のアップデート機能では対応できないケースに役立ち、システムが起動しなくなったデバイスの復旧や、キャリアや地域ごとに異なる公式ファームウェアの再インストールといった用途に用いられます。
また、TWRPなどのカスタムリカバリやカーネルを導入する場面でも使用され、Galaxy端末のメンテナンスやカスタマイズを行う上で欠かせないツールになっています。

用語解説

Flashは、ファームウェアやリカバリ、カーネルなどのデータを端末のストレージに直接 書き込 処理を指します。
通常のアプリの「インストール」がユーザー領域で行われるのに対し、Flashはシステムの中枢に近い領域に対する操作であり、端末全体の動作に影響を与える点が異なります。

スマートフォンやタブレットの内部ストレージはフラッシュメモリで(Flash Memory)構成されており、この領域に直接データを書き込むため、「Flash」と呼ぶようになりました。

アプリ情報

開発元

Samsung(社内利用ツールとして開発)

開発元の拠点

韓国

配布サイト(非公式)

https://www.odinflash.com/

バージョン

3.14.4

提供形態

非公開(公式に明示されていません)

ライセンス形態

公式ライセンスは存在せず、非公式に流通

OdinはもともとSamsung社内で利用されていた非公開ツールで、公式に一般公開されたことはありません。外部に流出した後、ユーザーコミュニティを通じて広く共有され、現在はXDA Developersなどのフォーラムや非公式サイトを通じて配布されています。
Odin自体には公式なアップデート主体が存在せず、社内から流出した新しいビルドがコミュニティを通じて公開され、最新版として非公式配布サイトで共有される形となっており、利用は自己責任になります。

USBドライバのインストール

デバイスをパソコンに接続してOdinで認識させるためには、Samsung USBドライバをインストールする必要があります。ドライバは Samsung公式サイトや信頼できる配布元から入手できます。

ADB 014

Samsungの公式サイト から USBドライバをダウンロードします。

ADB 015

ダウンロードしたインストーラーを起動すると、ユーザーアカウント制御のプロンプトが表示されるので[はい]をクリックして許可します。
セットアップウィザードが開くので、デフォルト設定でインストールしてください。

ADB 016

インストールが完了したら、パソコンを再起動します。

Odinのダウンロード

Odinの本体は odinflash.comから入手できます。

Odin 004

odinflash.com から「3.14.4 Download」をクリックします。

Odin 005

外部ストレージサービスの MEGAに移動するので、「ダウンロード」をクリックして Odinの最新バージョンをダウンロードします。

Odin 006

ダウンロードした Zipファイルを選択し、コンテキストメニューの[すべて展開]で解凍します。
解凍した[Odin3_v3.14.4]フォルダは任意の場所に保存してください。

ファームウェアのダウンロード

SamFw は Samsungデバイス向けの公式ファームウェアを提供する非公式サイトで、モデル番号・CSC(地域/キャリアコード)を指定して該当ファームウェアを検索・入手が可能です。

Odin 029

[設定]の[端末情報]を開いて、デバイスのモデル名とモデル番号を確認します。

Odin 028

デバイスの CSCは、[端末情報]の[ソフトウェア情報]を開き、[サービスプロバイダのソフトウェアバージョン]で確認します。

Odin 030

SamFw の検索バーに確認した[モデル番号]を入力し、サジェスト機能でリストアップされたモデルを選択します。

Odin 008
Odin 031

デバイス情報とCSC(地域・キャリアコード)が表示されるので、確認した CSCを選択します。

Odin 032

該当する CSCの[バージョン]をクリックします。

Odin 011

ダウンロードページが表示されるので、ブラウザで直接ダウンロードする場合は「Download on Browser」をクリックしてください。
ダウンローダー使用する場合は「Download SamFw server」を選択します。

Odin 012

ダウンロードした Zipファイルを選択し、コンテキストメニューの[すべて展開]で解凍します。
解凍したフォルダは任意の場所に保存してください。

USBデバッグと OEMロック解除の有効化

パソコンから USB接続で Androidデバイスのコマンド操作を可能にするため、Androidデバイスで[USBデバッグ]を有効化します。

Odin 025

Androidの[設定]から[端末情報]の[ソフトウェア情報]を開き、[ビルド番号]を 7回タップして[開発者オプション(デベロッパーモード)]を有効にします。

Odin 026

[設定]に[開発者オプション]が追加されるので、[開発者オプション]を開いて[USBデバッグ]を有効にします。

Odin 027

[OEMロック解除]もタップして有効にします。

ダウンロードモード(Odinモード)の起動方法

Odinで Galaxyデバイスにファームウェアを書き込む際は、ダウンロードモード(Odinモード)でデバイスを立ち上げる必要があります。
ダウンロードモードにすると、デバイスとパソコン上の Odinが通信可能になり、ファームウェアの書き込みや復旧作業を実行できるようになります。

Odin 003

Galaxy端末をダウンロードモードで起動する方法は機種によって異なります。一般的には、電源をオフにしてから[音量DOWNボタン+Bixbyボタン+電源ボタン]を同時に長押しします。
ただし、Galaxy S10など一部の機種では、電源をオフにしてから[音量DOWNボタン+Bixbyボタン]を押しながらUSBケーブルでパソコンに接続する操作が必要なモデルもあるため、公式マニュアルや信頼できる情報源で事前に確認してください。

Galaxy S20以降の Bixbyボタンが廃止されたモデルでは、電源オフ状態から[音量DOWNボタン+音量UPボタン]を同時に押しながらUSBケーブルでパソコンに接続する操作が一般的です。

Odin 013

警告画面が表示されたら、[Device unlock mode]があるか確認してください。
[Device unlock mode]がある場合は[音量UPボタン]を長押しします。[Device unlock mode]がなければ[音量UPボタン]を押します。

Odin 002

[音量UPボタン]を長押しした場合は[Unlock bootloader]の画面になるので、[音量UPボタン]を押してブートローダーをアンロックします。

Odin 014

ダウンロードモードの警告画面で[音量UPボタン]を押すとデバイス情報が表示されます。
Odinを使用する場合は、デバイスをこの状態にしておきます。

公式ファームウェアのフラッシュ

Odinを使用して、ダウンロードした公式ファームウェアをデバイスに書き込みます。
書き込み時のエラーを回避するため、以下の項目を確認してください。

Odinを使用する前の確認事項
  • パソコンに Samsungの USBドライバがインストールされているか
  • USBドライバをインストール後にパソコンを再起動したか
  • インストールするファームウェアとデバイスの CSCは合致しているか
  • デバイスの[開発者オプション]で[USBデバッグ]と[OEMロック解除]は有効になっているか
  • デバイスは「ダウンロードモード」で起動した状態になったいるか
  • Galaxyデバイスとパソコンは品質の安定している USBケーブルで接続されているか
Odin 015

Odinフォルダにある[Ordin3]を選択し、コンテキストメニューから[管理者として実行]をクリックします。
ユーザーアカウント制御のプロンプトが表示されたら「はい」で許可してください。

Odin 016

警告が表示されたら「OK」をクリックします。

Odin 017

デバイスを認識すると、[ID:COM]が青色になって接続している COMポートが表示されます。
また、[Log]にも[ <COMポート> Added!!]と表示されます。

Odin 018

「BL」をクリックし、解凍したファームウェアのフォルダから[BL_xxxxxxxx]のファイルを選択します。
パスが表示されるのを確認してください。

Odin 019

同じ要領で「AP」「CP」「CSC」のファイルを指定します。
「AP」はファイルを認識するまで時間がかかるので、[Log]に「Leave CS… 」と表示されてから「CP」を設定してください。

各ボタンは「BL:Boot loader」「AP:Android Partition」「CP:Core Processor」「CSC:Consumer Software Custamization」を表しています。

Odin 020

設定が完了したら「Start」をクリックして処理を実行します。

Odin 021

インストールが完了すると、Odinに[PASS]と表示されます。

Odin 022

デバイスは再起動してリカバリーモード になるので、音量ボタンで[Wipe data/factory reset] を選択して電源ボタンで確定します。

Odin 023

[Factory data reset]を選択して、電源ボタンを押して処理を実行します。

Odin 024

ファトリーリセットが完了したらリカバリーモードに戻るので、[Reboot system now]で電源ボタンを押してデバイスを再起動します。
再起動後に Anroidの初期セットアップが開始するので、設定して完了です。

ブートローダーのロックを解除しているので、デバイス起動時には警告画面が表示されます。
公式ファームウェアをインストールした場合は、[ダウンロードモード]で音量UPボタンを長押ししてブートローダーをロックすれば警告が非表示になります。
ただし、/e/OSや LineageOSをインストールした場合は、ブートローダーをロックすると OSが起動しないので、ブートローダーはアンロックの状態で使用してください。

TWRPのフラッシュ

TWRPはカスタムリカバリツールで、LineageOSや /e/OSなど非公式のファームウェアやカーネルの導入、システム全体のバックアップ(Nandroidバックアップ)、特定パーティションの操作などが可能になります。

TWRP(Team Win Recovery Project)は、Team Winによって開発されているオープンソースのカスタムリカバリツールで、AOSPをベースにC++やJavaで開発されています。機種ごとに対応ビルドが用意されており、公式サイトやXDA Developersを通じて配布されています。

TWRPのダウンロード

TWRPは機種ごとにビルドが異なるため、必ず正しいモデル番号を選択する必要があります。
また、公式サイトに掲載されていない非対応機種については、XDA Developersでコミュニティビルドが配布されている場合があります。

Odin 035

TWRPのデバイスページ でモデル番号を検索し、リンクをクリックします。

Odin 036

モデルの詳細ページが開くので、[Download Link]の[Primary]をクリックします。

Odin 037

TWRPのダウンロードリンクが表示されるので、Odinで使用する場合は[.img.tar]の最新ファイルをダウンロードします。

AVB Disabled VBMETAのダウンロード

Galaxy S10以降のモデルでは、Android Verified Boot(AVB)が強化されており、TWRPを改変済みシステムとして起動をブロックするため、AVBを無効化する AVB Disabled VBMETAの導入が必須になります。

AVB Disabled VBMETAが必要なモデルに、TWRPのみでフラッシュすると、デバイスが再起動した際に TWRPが表示されず「ODIN MODE(AVB Fail)」と表示されてスタックします。
AVB Failになった場合は、公式ファームウェアをフラッシュ してください。

Odin 038

AVB Disabled VBMETAはファームウェアに依存しており、モデルごとに内容が異なるため、モデルに応じたファイルを選択するのが原則です。
ファイルは XDAで公開されているので、検索エンジンで下記のキーワードを検索します。

[モデル番号]+ XDA + AVB Disabled VBMETA
Odin 039

XDAの該当スレッドを確認し、AVB Disabled VBMETAをクリックします。
リンクをクリックすると別ページが開くので、Odin用の[vbmeta.tar]をダウンロードします。

TWRPのフラッシュ

Odin を使用して、ダウンロードした TWRPと AVB Disabled VBMETAをデバイスに書き込みます。
書き込み時のエラーを回避するため、以下の項目を確認してください。

Odinを使用する前の確認事項
Odin 017

Odinを管理者として実行し、ダウンロードモード(Odinモード)にした Galaxyデバイスをパソコンに接続します。
[ID:COM]が青色になって接続している COMポートが表示さていることを確認してください。

Odin 040

「AP」に twrp.xxxx.img.tarを、「CP」に vbmeta.tarを指定して「Start」で書き込みを実行します。

Odin 041

インストールが完了すると、Odinに[PASS]と表示されます。

Odin 043

デバイスが再起動して TWRPが起動したら「Select Language」をタップします。

Odin 044

言語を Japaneseに変更して「OK」をタップします。

Odin 045

読み取り専用の設定画面に戻ったら、[起動時にこの画面を二度と表示しない]にチェックを入れて、「スワイプで編集を許可」の矢印ボタンを右にスワイプして確定します。

Odin 046

メインメニューが表示されたら完了です。

備考

Odinや TWRPの利用は非公式の手順のため、原則としてメーカー保証は無効になります。また、作業を誤るとデバイスが文鎮化するリスクがあります。

更新履歴

  • 2025-09-06:サイトリニューアルに伴い、記事を再編集
  • 2024-09-25:初版公開

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