LineageOS(リネージュオーエス)は、AOSPを基盤に開発されているオープンソースのカスタムROMで、不要なアプリや制約を排除し、自由度の高い環境の提供を目的とした Android代替OSです。
⚠️本稿では Windows 環境での手順を解説します。他のOS(macOS/Linux)については対象外です。
LineageOSの概要
LineageOSは、Googleサービスに依存せず、シンプルで自由度の高い環境を提供する Androidデバイス用の OSです。
デバイスの寿命を延ばしたいユーザーや、不要なアプリや広告を避けて軽量なシステムを利用したいケースに適しており、古いデバイスを再活用する用途にも利用できます。
また、root化やカスタマイズの自由度が高いため、セカンドデバイスとして多様な設定やアプリの動作検証を行う環境としても活用できます。一方で、端末やビルドによってはカメラや指紋認証などの機能に制限がある場合があり、FeliCaや一部の決済サービスも動作保証されていないうえ、Google Playストアや Play Protectは標準で含まれていないため、必要に応じて GAppsパッケージを導入する必要があります。
✏️GAppsの代わりに microGを使用したい(Googleサービスに依存したくない)場合は、LineageOSに microGを組み込んだカスタムROM LineageOS for microG を使用して下さい。
機能と特長
⚠️OTAで配信されるのは主にセキュリティアップデートや軽微な修正です。Android OSのメジャーバージョンアップは、デバイスに対応する最新ROMを入手して手動でインストールする必要があります。
ファームウェアの書き換えを行うため、メーカーや販売元のサポート対象外となり、インストール作業に失敗するとデバイスが文鎮化(ブリック化)するリスクがあります。
アプリ情報
開発元 40950_fab35a-be> |
LineageOS Project 40950_f356a1-e0> |
開発元の拠点 40950_da2da6-c6> |
グローバル 40950_0268d9-00> |
公式サイト 40950_d1a84d-d0> | 40950_c1115d-43> |
ダウンロードページ 40950_26ade4-3c> | 40950_fd8230-86> |
ベースOS 40950_683cc4-bd> |
Android Open Source Project(AOSP) 40950_0e70ae-18> |
提供形態 40950_a727cc-b7> |
オープンソースソフトウェア(OSS) 40950_a0ad13-39> |
ライセンス形態 40950_1a76a9-af> |
オープンソースライセンス(Apache License 2.0、GPLv2を中心に適用) 40950_546253-c1> |
サポートデバイス
LineageOSは、SIMロックが解除されている Google・Motorola・OnePlus・Samsung・SONY・Xiaomiなどのグローバルモデル(SIMフリー版)をサポートしています。
ただし、サポートしているメーカーでも対応モデルは限られているため、対応機種の詳細は、公式のサポートデバイス一覧 を参照してください。
⚠️Sonyのデバイスは、ブートローダーをアンロックする際に公式サイトからアンロックコードを取得する必要がありますが、実行するとDRMキーが失効し、カメラ画質や映像・音声補正機能が制限され、WidevineもL1からL3へ格下げされます。
Xiaomiは専用の Mi Unlockツールを用いてアンロックしますが、数日から数週間の待機期間が課されるうえ、一部機種ではブートローダー再ロック時に公式ROM以外を受け付けない制限があります。
メーカーやモデルごとにアンロック方法だけでなく、利用機能や再ロック可否に関する制限が異なるため、事前の確認が不可欠です。
インストールの手順
本稿の手順では Google Pixel 6aを使用しています。Google Pixel は AOSP に準拠したグローバルモデルで、販売地域による仕様差がほとんどありません。Google製デバイスであるにもかかわらず、ブートローダーのアンロックが容易で、カスタムROMのサポートが整っているため、De-Google OS導入に適しています。
ダウンロード
LineageOSをインストールするモデルに応じて、公式サイトのサポートデバイス一覧から ROMイメージと対応するリカバリイメージ をダウンロードします。

Androidの[設定]から[デバイス情報]を開き、[モデル番号]を確認します。

LineageOSの サポートデバイスリスト からモデル番号を探してクリックします。

デバイス詳細ページの[Download]にある [Get the builds here]をクリックして、ダウンロードページを開きます。

[Latest]に表示されている ROMイメージとリカバリイメージをすべてダウンロードします。
⚠️ファイルのダウンロード時にブラウザがブロックする場合があるため、確認して保存して下さい。

ダウンロードしたイメージファイルと LineageOSのパッケージファイルは、ターミナルを開くディレクトリと同じ階層に配置してください。なお、フルパスを指定すれば別のディレクトリからでも実行可能です。
通常は platform-toolsフォルダ内にコピーしますが、環境変数に platform-toolsのパスを追加していれば、デスクトップなど任意の場所からコマンドを実行できます。
ADBのセットアップ
ADB(Android Debug Bridge)は、パソコンと Androidデバイスを USBケーブルや Wi-Fiで接続し、コマンドラインから操作できる開発者向けツールです。
詳細な手順については、ADBのセットアップ方法 を参照して下さい。
ADBセットアップ後の確認事項
ブートローダーのアンロック
LineageOSを書き込むため、ブートローダーのロックを解除します。操作はターミナルからコマンド入力で行うため、ADBのセットアップ が完了し、パソコンから Androidデバイスにアクセスできる状態であることが前提です。

デバイス詳細ページの[Guides]にある[Installation]を開きます。

インストールガイドが表示されるので、翻訳して必ず確認してください。特に Androidのバージョンには注意が必要です。
デバイスの Androidバージョンが LineageOSの対応バージョンより新しい場合、正常にインストールできない可能性があります。Pixelは最新バージョンの配信が早いため、タイミングによっては LineageOSよりも新しいバージョンが搭載されていることがあります。
その場合、Pixelであれば Android Flash Tool を使用して Androidのダウングレードしてください。その他の主要メーカーについても、公式ファームウェアが提供されている場合は、ダウングレードあるいはアップグレードを行う必要があります。

アンロックのコマンドはデバイスによって異なるため、インストールガイドを進めて[Unlocking the bootloader]で、手順とコマンドを確認します。

環境変数に platform-toolsのパスを追加していない場合は、platform-toolsフォルダ内でコンテキストメニューからターミナルを開きます。

ターミナルに下記のコマンドを入力し、[Enter]キーを押します。
adb reboot bootloader
✏️ターミナルでコピーしたテキストをペーストする場合は、貼り付けたい位置で右クリックするか、環境によっては Ctrl + V を使用できます。
インストールガイドには[adb -d reboot bootloader]のコマンドが使用されていますが、 -d オプションは、USBで接続されているデバイスを明示的に指定するものです。
複数のデバイス(USB接続とWi-Fi接続の両方など)が同時に認識されている場合に使用するもので、通常は[adb reboot bootloader]を使用して問題ありません。

Fastboot Modeが起動します。
⚠️Fastboot Modeに入れない場合は、ADB接続が確立しているか確認してください。デバイスの画面ロックを解除し、USBデバッグの許可ダイアログが表示されていれば承認します。それでも起動しない場合は、USBケーブルやドライバの認識状態を確認してください。

Fastboot Modeで正しく認識・接続されているか確認するため、ターミナルに下記のコマンドを入力し、[Enter]キーを押します。
デバイスが認識されていれば、シリアル番号が表示されます。
fastboot devices
⚠️シリアル番号が表示されない場合は、デバイスの USBドライバがインストールされていないか、USBケーブルの接続不良が原因として考えられます。
また、スマートフォンを2台以上同時に接続していると複数のデバイスが検出され、作業対象を正しく指定できない場合があるため、作業しない端末は取り外してください。

インストールドキュメントに記載されているブートローダーのアンロックコマンドを入力し、[Enter]キーを押します。
fastboot flashing unlock
⚠️Pixelは世代によってアンロックコマンドが異なる場合があるため、必ずインストールドキュメントの[Unlocking the bootloader]セクションを参照してください。

デバイスがブートローダーのロック解除画面になるので、音量ボタンでメニューを移動し、[Unlock the bootloader]を選択して、電源ボタンで確定します。
⚠️ブートローダーを解除すると、デバイス内のデータはすべて初期化されます。

ブートローダーがアンロックされたら、[Start]を選択した状態で電源ボタンを押します。
Androidが起動して初期セットアップが開始するので、セットアップ(すべての設定をスキップ可)を完了させます。セットアップ後に[開発者オプション]を表示して、[USBデバッグ]を有効にします。
⚠️[USBデバッグ]を有効にしていないと ADBコマンドが認識されず、LineageOSのインストールができません。
LineageOSのインストール
ターミナルを使用して、リカバリイメージをフラッシュし、その後に LineageOSの ROMパッケージをデバイスにインストールします。
インストール前の確認事項

リカバリに使用するファイルはデバイスによって異なるため、インストールガイドの[Flashing additional partitions]で必ず確認してください。

ターミナルを開き、下記のコマンドを順番に実行して、デバイスが認識されているか確認します。
adb reboot bootloader
fastboot devices

インストールガイドの[Flashing additional partitions]で確認したコマンドを入力して[Enterキー]を押します。
fastboot flash boot boot.img

同じ要領で必要なファイルをフラッシュします。
fastboot flash dtbo dtbo.img

インストールガイドの[Installing Lineage Recovery using]で、リカバリイメージをフラッシュするコマンドを確認します。

[Installing Lineage Recovery using]で確認したコマンドを入力して[Enterキー]を押します。
fastboot flash vendor_boot vendor_boot.img

リカバリイメージを書き込んだら、デバイスの音量ボタンでメニューを[Recovery Mode] にして、電源ボタン押します。
Google Pixelで[Recovery Mode]を選択すると、「No command」と表示されることがあります。これはエラーではなく通常の挙動です。
この画面が表示されたら、[電源ボタン]を押しながら[音量Upボタン]を一度押す と、リカバリーメニューが表示されます。

LineageOSのリカバリモードが開いたら、[Factory reset]を選択して電源ボタンで確定します。
⚠️[Factory reset]を選択した際に[Format data/ factory reset]のメニューに移動しない場合は、Recovery をリブートしてください。

[Format data/ factory reset] が選択された状態で電源ボタンを押します。

[Format data]を選択して電源ボタンを押し、ユーザー領域をフォーマットします。
画面下のログに「Data wipe complete.」と表示されたら、左上の矢印をタップしてメインメニューに戻ります。
ログに「metadata」パーティションに関するマウントエラーが表示されることがあります。これはデバイスに metadataパーティションが存在しない場合などに出る一般的なメッセージで、致命的なエラーではなく、通常は無視して問題ありません。

メインメニューで[Apply update]を選択して、電源ボタンを押します。

[Apply from ADB]を選択して電源ボタンを押すと、画面が[ADB Sideload]に切り替わります。

ターミナルに[adb sideload]+[LineageOSのパッケージファイル名]を入力して、[Enter]キーを押します。
処理が完了すると、ターミナル表示は 47%で停止しますが、残りの処理はデバイス側で進行しています。
adb sideload lineage-22.2-20250906-nightly-bluejay-signed.zip
✏️コマンドは先に[adb sideload]とターミナルに入力し、ファイル名をコピーしてペーストすると入力ミスがなくなります。ただし、ファイル名をコピーする際は、拡張子に注意してください。
何らかの理由でadbが切断してsideloadが実行できない場合は、リカバリモードで[Reboot system now]を選択して再起動してください。フォーマット後は OSが消去されているため、通常のAndroidは起動せず、Fastboot Modeに戻ります。
[fastboot devices]で接続を確認してください。シリアル番号が表示されたら、リカバリイメージや ROMのフラッシュ作業を再度実行してください。
また、再起動時にはキャッシュ構築やパーティションの最適化が行われるため、処理に10~20分程度かかる場合があります。

LineageOSのインストールが完了するとリカバリの再起動を求められるので「Yes」を選択して電源ボタンを押します。
⚠️リカバリを再起動するので、ターミナルに[adb: failed to read command: No error]と表示されますが、問題はありません。

リカバリが再起動してメインメニューが表示されます。
Gappsパッケージをインストールせず、LineageOSを使用する場合は[Reboot system now]を選択して電源ボタンで確定してください。
GAppsを導入する場合は、デバイスをパソコンに接続したままリカバリのメインメニューを表示させておきます。
GAppsパッケージのインストール
LineageOSにはアプリストアがプリインストールされておらず、デフォルトの状態では 位置情報など[Google開発者サービス]を利用するアプリを使用できません。
Playストアを利用したい場合は、 GAppsパッケージを追加します。
⚠️Googleサービスの利用を避けたい場合は、GAppsを導入せず、リカバリモードでフォーマット後に LineageOS for microGをインストールしてください。
インストールの詳細は「LineageOS for microGのインストール手順」を参照してください。

GAppsのダウンロードページ の[Mobile]から、インストールしたLineageOSに対応する Androidバージョンを確認 し、デバイスの CPUアーキテクチャ(arm64など) に合わせたリンクをクリックします。
✏️デバイスのアーキテクチャが 不明な場合は デバイス リスト で確認してください。

GitHubが開くので、[Assets]から Zipファイルをダウンロードします。

ダウンロードした Gappsのパッケージファイルは、ターミナルを開くディレクトリと同じ階層に配置します。

リカバリのメインメニューから[Apply update]を選択して、電源ボタン押します。
リカバリ画面でシステムを再起動して LineageOSが起動した場合は、以下の手順でリカバリに戻すことができます。
1.初期セットアップを[スキップ]で完了させます。
2.[開発者向けオプション]を表示して、[USBデバッグ]を有効にします。
3.ターミナルから adb reboot bootloader を実行してブートローダーを起動します。
4.デバイスの音量ボタンでメニューを[Recovery Mode]にして、電源ボタンを押してリカバリモードに入ります。

[Apply from ADB]を選択して電源ボタンを押すと、画面が[ADB Sideload]に切り替わります。

ターミナルに[adb sideload]+[Gappsのパッケージファイル名]を入力して、[Enter]キーを押します。
adb sideload MindTheGapps-15.0.0-arm64-20250812_214357.zip

Gappsのパッケージファイルは LineageOSの署名がないため、[Signature verification failed]と表示されます。
インストールを継続するので「Yes」を選択して、電源ボタンで確定してください。

インストールが完了するとメインメニューに戻るので、[Reboot system now]を選択して電源ボタンで確定してください。

LineageOSの初期セットアップ画面が開いたら、USBケーブルを外してインストール完了です。

Gappsパッケージをインストールすると、Playストア・Googleアプリ・Google Play開発者サービスが追加されます。
備考
LineageOSは、オープンソースで開発されていた CyanogenModの後継プロジェクトです。2016年に CyanogenModが商業化に失敗して開発が中止された後、フォークとしてコミュニティにより立ち上げられ、現在も開発が継続しています。
本稿で使用したPixel 6aは、すでに Android 16が配信されていましたが、[Android Flash Tool]には Android 15以下のバージョンが表示されず、ダウングレードできませんでした。
今回の検証では、デバイスの Androidバージョンが LineageOSの推奨要件より新しい状態でしたが、特に問題なくインストールできました。
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