Android代替OSでPIN登録ができない場合の対処法

LineageOSiodéOS/e/OS などの Android代替OSでは、インストール後の初期セットアップ時の PIN登録時に、「画面ロックはすでに変更されています」とメッセージが表示されて PIN登録ができない既知の問題があります。

症状の概要

この問題が発生すると、OSのインストール後にセットアップを進めてPINを登録した際に「画面ロックはすでに変更されています。」と表示され、PINの登録画面が再度表示されます。

pin-error 003

ダイアログには「新しい画面ロックでもう一度お試しください。」と表示されていますが、パターンやパスワードを選んでも同じ挙動となり、登録はできません。ただし、PIN登録をスキップすればセットアップ自体は完了します。

しかし、セットアップ完了後も PINやパターンなどの登録はできず、生体認証も追加できないため、セキュリティが脆弱になるだけでなく、[開発者オプション]を有効にしても項目が表示されないなどの実害が生じます。

原因

この問題は、ブートローダーをアンロックして初期化した直後に、端末の暗号化設定やロック画面情報が正しくリセットされないことが主な要因です。
この不具合は特定の機種や条件に限定されるものではなく、広く発生する既知の問題で、具体的には以下のようなケースが考えられます。

  • Keyguard(ロック画面を制御するサービス)やロック画面設定のデータベース破損
    初回起動時に内部データベースが正しく初期化されず、不整合が生じて PIN情報を保存できない。
  • 暗号化の失敗
    デバイス暗号化の途中で処理が失敗し、暗号化キーが正しく生成されないため、ロック画面の認証情報を記録できない。
  • カスタムROMのインストール不備
    フラッシュ時に dataパーティション(ユーザーデータを保存する領域)が正しくフォーマットされず、システムとロック画面設定の整合性が取れない状態で起動している。

PIN登録の不具合が発生した場合は、まず PIN登録をスキップしてセットアップを完了し、デバイスを再起動してください。
改善しないときは[設定]の[システム]から[リセットオプション]を開き、[すべてのデータを消去]で初期化します。

Fastbootモードの起動

通常、カスタムOSのインストール時は[開発者オプション]で[USBデバッグ]を有効にし、ADB経由で操作しますが、PINが登録できない状態では[開発者オプション]を有効にしても[システム]メニューに表示されず、[USBデバッグ]を有効化できません。

そのため、この状況ではデバイスを操作して手動で Fastbootモードを起動する必要があります。

USBデバッグは OSが起動した状態で ADBコマンドを受け付けるために必要ですが、Fastbootモードは OSとは独立したブートローダーの機能です。
そのため、USBデバッグが無効でも PCとデバイスを直接通信させてROMを再インストールできます。
また、OSのインストール時に操作した[OEMロック解除]は、[USBデバッグ]のように OSを初期化しても無効にならないため、Fastbootモードに入ることができれば PCから操作できます。

fastboot

多くの Android端末では[電源]+[音量Down]キーの同時押しで Fastbootモードが起動します。
確実に起動する手順は次のとおりです。

  1. デバイスの電源を完全に切る
  2. 音量Downキーを押したまま、電源キーを押し続ける
  3. 画面に Fastbootモードが表示されるまで、両方のキーを押し続ける
iodeOS 020

Fastbootモードが起動したら、USBケーブルでパソコンに接続します。

pin-error 001

ターミナルを開き、以下のコマンドを実行して、デバイスが認識されているか確認してください。
正常に接続していれば、デバイスのシリアル番号が表示されます。

fastboot devices
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必要に応じて、ブートローダーのアンロックコマンドを実行します。

fastboot flashing unlock
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デバイスがブートローダーのロック解除画面になるので、音量ボタンでメニューを移動し、[Unlock the bootloader]を選択して、電源ボタンで確定します。

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ブートローダーがアンロックされます。

Format Dataの実行

ユーザーデータを格納している dataパーティションの不整合を解消するため、[Recoveryモード]で初期化を実行します。

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Pixelや Motorolaのデバイスは、Fastbootモードに入った後、音量ボタンで[Recovery Mode]を選択し、電源ボタンで確定することで起動できます。

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リカバリーモードが開いたら、音量ボタンで[Factory reset]を選択して電源ボタンで確定します。

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音量ボタンで[Format data/factory reset]を選択し、電源ボタンで確定すると /data 領域がフォーマットされ、端末内のすべてのユーザーデータが削除されます。

OSの[設定]にある[リセットオプション]の[すべてのデータを消去]は、ユーザーデータを削除して出荷時設定に戻しますが、暗号化キーや一部の管理領域は残ります。
一方、リカバリーモードから実行する[Format data/factory reset]は、/data領域を完全に再フォーマットし、暗号化キーも再生成します。
どちらの方法でも初期化されるのはユーザーデータ領域のみで、OS本体は削除されません。再起動後は同じ OSが起動しますが、端末は初期セットアップの状態に戻ります。

pin-error 007

ログに「Data wipe complete.」と表示されればフルワイプが完了です。
左上の矢印をタップしてメインメニューに戻ります。

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[Reboot system now]をタップしてデバイスを再起動します。
起動後に OSの初期セットアップが開始するので、PINが登録できるか確認してください。

純正ROMへのロールバック

Format Dataを実行しても PINが登録できない場合は、/system や /vendor の領域に起因する不整合が原因になっている可能性があります。
対処法としては、TWRPを導入して各パーティションを個別にフォーマットしてから再インストールする方法もありますが、処理の難易度が高く、失敗するリスクも大きくなります。

そのため、Pixel や Galaxy のように純正ROMへ戻せる機種では、Android Flash Tool(Pixel) や Odin(Galaxy) など、デバイスメーカーが提供しているツールを用いて公式ROMをフラッシュし、端末をクリーンな状態に戻してから、改めて iodéOS や LineageOS をインストールする方が安全で確実です。

TWRPを使ってOSを完全に削除する方法は、失敗すると文鎮化の危険があり、PixelなどSDカード非対応機種ではPC接続によるROM転送も必要になります。
一方で、公式ツールで純正ROMをフラッシュすれば /system や /vendor も含めて再構築されるため、不整合も確実に解消されます。

備考

Pixel 6a に iodéOS をインストールした際、PINを登録できない現象が確認されました。ただし、別の Pixel 6a では問題なく動作し、また Android 16 で発生していたバッテリーの発熱も iodéOS の導入で改善しています。
なお、Format Data の実行前後に Fastbootモードから iodéOSを再インストールしても状況は変わらず、/system や /vendor に起因する不整合は OSの再インストールでは解決できないことを確認したため、本文では割愛しています。

更新履歴

  • 2025-09-05:初版公開

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