キャリアが使用している周波数帯(バンド)や 3G・LTE・4G・5G などの通信規格についての詳細。
携帯電話の通信規格
モバイルネットワークで使用される 3G、4G、5G などは通信規格の 世代(Generation)を表している。
通信規格の世代
- 2G - GSM(Global System for Mobile communications)
ドコモのサービス名:mova
- 3G - 第 3世代移動通信システム
ドコモのサービス名:FOMA - 3.5G - HSPA(High Speed Packet Access)
ドコモのサービス名:FOMAハイスピード - 3.9G - LTE(Long Term Evolution)
ドコモのサービス名:Xi - 4G - LTE-Advance
ドコモのサービス名:プレミアム4G - 5G - 第 5世代移動通信システム
ドコモのサービス名:5G
4Gは国内で 3.9G の LTEを 4Gと呼称する風潮が定着したため、4Gと 3.9Gの LTEが 4Gとして混在している。
世代 | 通信規格 |
3G・3.5G | W-CDMA / UMIT / HSPA |
3.9G・4G | LTE・LTE-Advance |
5G | 5G |
- LTE FDD(Frequency Division Duplex)
通信の際 に上りと下りで違った周波数を使用する通信規格。 - LTE TDD(Time Division Duplex)
上りと下りを同じ周波数を切り替えて使う通信規格 。
国内の 2Gは停波、もしくはサービスが終了しており、2022年以降 3Gも順次 停波、サービスが終了する。
3Gの停波・サービス終了予定
- NTTドコモ:2026年 3月末
- KDDI:2022年 3月 31日
- ソフトバンク:2024年 1月
モバイルネットワークの周波数帯(Band)
モバイルネットワークの 電波 は 周波数帯 (周波数の範囲)によって分類され、 周波数帯は バンド(Band)で表される。
バンドの表記は数字のみの場合と B1 / B19 のように数字の前にB を付けることもある。
キャリアが使用している周波数帯は総務省で割り当てられており、デバイスがキャッチ可能な周波数帯とキャリアが使用している周波数帯が一致しないと、デバイスはモバイルネットワークで通信できない。
ドコモの周波数帯とバンド
通信規格 | 周波数帯 | バンド |
LTE | 700 MHz 帯 | 28 |
W-CDMA / LTE | 800 MHz 帯 | 19 |
LTE | 1.5 GHz 帯 | 21 |
LTE | 1.7 GHz 帯 | 3 |
LTE | 2.1 GHz 帯 | 1 |
LTE | 3.5 GHz 帯 | 42 |
5 G | 3.7 GHz 帯 | n77 |
5 G | 4.5 GHz 帯 | n79 |
5 G | 28 GHz 帯 | n257 |
au の周波数帯とバンド
通信規格 | 周波数帯 | バンド |
LTE | 700 MHz 帯 | 28 |
CDMA2000 / LTE | 800 MHz 帯 | 18 / 26 |
LTE | 1.5 GHz 帯 | 11 |
CDMA2000 / LTE | 2.1 GHz 帯 | 1 |
LTE | 3.5 GHz 帯 | 42 |
5 G | 3.7 GHz 帯 | n77 |
5 G | 28 GHz 帯 | n257 |
ソフトバンクの周波数帯とバンド
通信規格 | 周波数帯 | バンド |
LTE | 700 MHz 帯 | 28 |
W-CDMA / LTE | 900 MHz 帯 | 8 |
LTE | 1.5 GHz 帯 | 11 |
LTE | 2.1 GHz 帯 | 1 |
LTE | 3.5 GHz 帯 | 42 |
5 G | 3.7 GHz 帯 | n77 |
5 G | 28 GHz 帯 | n257 |
楽天モバイルの周波数帯とバンド
通信規格 | 周波数帯 | バンド |
LTE | 700 MHz 帯 | 28 |
LTE | 1.7 GHz 帯 | 11 |
5 G | 3.7 GHz 帯 | n77 |
5 G | 28 GHz 帯 | n257 |
800MHz帯は 2026年 9月末まで auがローミング提供。
周波数帯と電波
周波数帯は値が大きいほど送受信できるデータ量が増加して高速通信が可能になる反面、電波の直進性も高くなるため、地下や高層ビルなどの近く、屋内などでは電波が届きにくい特性がある。
プラチナバンド
キャリア各社は電波の繋がりやすさを通信速度が遅く電波が回り込みやすい 700/ 800/ 900MHz帯でカバーしており、国内では 700~900MHz帯がプラチナバンドと呼ばれている。
ドコモの通信品質の問題
2023年春頃から指摘されているドコモのモバイルネットワークが都市部でつながらない現象は、屋内などでプラチナバンドを掴んで通信すると、デバイスがプラチナバンドで通信し続けるため、他の周波数帯が空いていてもプラチナバンドだけが逼迫している状態になっているのが原因で、ユーザーの増加によるトラフィック増大・基地局の移動などに起因して発生した。
キャリアのサイトでは利用可能な周波数帯を確認できるが、2.1 GHz帯をカバーしていても電波の状況によっては プラチナバンドに切り替わる。
屋外にいると B1(2.1 GHz 帯)をキャッチする。
屋内に入ると B1 の電波が建物に遮られるため プラチナバンドの B8 に切り替わる。
5G
モバイルネットワークで使用されてきた周波数帯は 3GHz以下の 極超短波(UHF)だが、第 5世代移動通信システム 5G で使用するのは 3.7GHz帯や 28GHz帯など 3GHzを超える マイクロ波 になる。
3GHzを超えるマイクロ波は大きなデータの送受信が可能な反面、電波の直進性も高いため、移動しながら 5Gを継続して利用するためには多くの基地局が必要で、電波が届かない場所は 4Gへ切り替えて通信を維持するのだが、5Gの電波を放さず 4Gへの切り替えができないと パケ止まり が発生する。
グローバルモデルのデバイス
海外の携帯電話販売サイトではデバイスのスペック表でサポートしているバンドを確認できる。
CDMA 2G や GSM 2G は第 2世代の通信規格のため日本国内では利用できず、GSM 3G/ 3.5G・4G LTE・5G でサポートしているバンドに契約キャリアが使用しているバンド がないと電波を受信できない。
GSM 3G/ 3.5G の 850MHz帯 は海外で利用されているプラチナバンド B5 で、国内で使用されている 800MHz帯の B19 / B18 / B26 とは別物。
音声通話
従来の電話(音声通話)で使用されているのは 回線交換式 と呼ばれる 3G の規格で、ドコモ・ソフトバンクは W-CDMA 、 auは CDMA2000 を使用していたが、音声をパケットに変換して通信する技術 VoIP(Voice over Internet Protocol)によって現在は VoLTE(ボルテ)が普及している。
- W-CDMA
IMT-DS 方式を採用している日本の規格、欧州の UMTS も IMT-DS方式を採用している。 - CDMA2000
IMT-2000 に準拠した規格で CDMA2000 を高速化したものが EV-DO Rev.A 。
- VoLTE
VoIP によって音声をパケットに変換して高音質な通話が可能。
VoLTEはパケット通信だが、キャリア各社は 音声通話 と見なしており、VoLTEで通話してもパケットは消費せず、各プランの通話料が加算される。
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