電波法と技適マーク~海外スマホの利用


SIMフリースマホを購入する際、MVNOでSIMとセット販売されているようなモデルや、家電量販店で販売されているモデルは、ほぼ日本仕様になっており、国内での利用に問題はないが、AmazonなどのECサイトや一部の専門店で販売されている「並行輸入品」や、個人輸入で入手したスマートフォンの場合、国内での利用には注意が必要になる。



電波法

無線は総務省の管轄で、電波を発する無線機は、電波法令で定めている技術基準に適合している必要があり、審査に通ったものには個々に「技適マーク(技術基準適合証明等のマーク)」が付けられる。

〒マークのようなものが「技適マーク」。

総務省の電波利用ホームページのQ&A には以下の記載がある。

特定小電力のトランシーバー、家庭で使用する無線LAN、コードレス電話などは、技適マークが付いていれば、無線局の免許を受けないで使用できます。

本来は無線機の利用に際して免許が必要になるが、レジャー用のトランシーバーや家庭用の無線を発する一部の機器は、「技適マーク」を取得していることを条件に、無免許でも利用できる、というのが本筋らしい。

当然ながら、「技適マーク」を取得していない無線機を無免許で使用すると、電波法違反になる。

電波は多くの人が利用しており、現在の社会生活に欠かすことのできない重要なものですが、電波は有限希少ですので効率的に使って頂くために、使用するチャンネルや送信出力、無線機の技術基準など様々なルールが設けられています。
技適マークが付いていない無線機の多くは、これらのルールに従っていません。
このような無線機を使用すると、知らずに他人の通信を妨害したり、ひいては社会生活に混乱を来すことになりかねません。

飛行機や病院の中など携帯電話のマナーに関しては別の問題だが、国内でスマホを利用する場合は総務省のお墨付き「技適マーク」は必須というのが原則。

90日ルールとモバイル通信

インバウンド増加施策の一環として、訪日観光客の利便性向上を図るため、以前は禁止されていたWi-Fi・Bluetoothの利用が、2015年5月の法改正により条件付きで認められるようになった。

携帯電話端末・BWA端末

日本の技術基準に相当する技術基準(国際標準)に適合するものであり、海外から持ち込んだ者が国際ローミング又は日本国内の携帯電話事業者・BWA事業者のSIMカードにより使用するもの。

Wi-Fi端末等

日本の技術基準に相当する技術基準(国際標準)に適合するものであり、かつ、2.4GHz帯、5.2GHz帯、5.3GHz帯及び5.6GHz帯の周波数の電波を使用する小電力データ通信システムの無線局(Wi-Fi端末及びBluetooth端末)が対象。
なお、訪日観光客等の入国の日から90日以内に限って利用可能

上図は総務省が発行しているリーフレット

ここでポイントとなるのはモバイルネットワークとWi-Fi・Bluetooth接続が別物だといくこと。
海外から持ち込んだ技適マークのない携帯電話端末でモバイルネットワークを利用する場合の使用条件は2つ。

  • 日本国内の携帯電話事業者又はBWA事業者による国際ローミングサービスにより使用する場合。
  • 国際ローミング可能な端末において、海外から持ち込んだ者が日本国内の携帯電話事業者又はBWA事業者のSIMカードにより使用する場合。

一方、技適マークのないスマートフォン、タブレット端末、モバイルゲーム機等のWi-Fi機能を使用する場合は「FCC認証(米国)」「CEマーク(欧州)」があり、「Wi-Fi Allianceの認証」を確認できる無線機器であることが前提条件で、入国から90日間に限って次の使用のみ認められている。

  • 公衆無線LANスポットへのアクセス
  • 2.4GHz帯の無線によりテザリングを行う場合
  • 2.4GHz帯の無線により端末同士で直接通信を行う場合

同様にBluetoothを利用する場合は、「Bluetooth SIGの認証」を確認できる無線機器であることを前提条件として、入国から90日間に限ってワイヤレスイヤホン・自撮り棒・小型スピーカーなどの使用が認められる。

左から米国の「FCC認証」、欧州の「CEマーク」、Wi-Fiの「Wi-Fi Allianceの認証ロゴ」、Bluetoothの「Bluetooth SIG認定ロゴ」。

総務省の電波通信課の話
総務省の技適マークQ&Aと電波通信課に問い合わせをしてみた。

技適マークのないスマホの利用については、やはり原則としては「禁止」。
個人見解としてという前置きがあり、施行された規制緩和は訪日観光客の利便性を図るためのものだが、実情に法整備が追いついていない印象はある。 90日を過ぎての技適マークのない端末の使用は、Wi-Fi・Bluetoothを使用せず、モバイルネットワークのみなら可能というのもグレーゾーンで、もし訪日観光客ではない人が技適マークのない端末を使用しているのを見つけたら「使用しないで下さい」と言うことになると思う。という内容の回答を頂いた。

緩和された電波法は、あくまで訪日観光客の利便性向上を目的としており、SIMカードによるモバイルネットワークのみなら「技適マークのないスマホの利用が認められた」というのは、ずいぶんとひねくれた拡大解釈。

電波法違反の罰則

電波法では「無線局」と表現されているので、アマチュア無線などをイメージしてしまうが、電波を発する電子機器であるスマホやタブレットも立派な無線局になる。

(定義)※抜粋
第二条 この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。
三 「無線電話」とは、電波を利用して、音声その他の音響を送り、又は受けるための通信設備をいう。
四 「無線設備」とは、無線電信、無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備をいう。
五 「無線局」とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。但し、受信のみを目的とするものを含まない。

(無線局の開設)
第四条 無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない

第四条に定められている「総務大臣の許可」が「技適マーク」で、スマホやタブレットの場合は、使用者に変わってメーカーやキャリアが認可を受けている。

罰則
第百十条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第四条第一項の規定による免許又は第二十七条の十八第一項の規定による登録がないのに、無線局を開設した者

要するに「技適マーク」のないスマホやタブレットを使用すると、「無線局」を無認可で開設したことになり、1年以下の懲役か100万円以下の罰金に処されてしまうということ。

技適マークの確認

海外からスマホやタブレット輸入する際、対象モデルの型番が分かれば、技適マークを取得しているのか確認することができる。

総務省 技術基準適合証明書等を受けた機器の検索

総務省の電波利用ホームページの「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」ページで検索する。

「型式又は名称」の欄にデバイスのモデルナンバーを入力して検索。

「技術基準適合認定」には「技術基準適合認定」「設計認証」「技術基準適合自己確認」があり、スマホやタブレットなど量産されるものはサンプルで認証を受けるため、「設計認証」によって総務省の認定を受けている。

上図の製品名は「ZenFone 3 Deluxe ZS570KL」。
検索の際に使用する型番は「Model Number」で、製品名ではないので要注意。

注意が必要なのはAmazonなどで販売されている「並行輸入品」と、EXPANSYSやETORENなどで販売されている海外モデルやグローバルモデル。

国内のキャリアで販売しているものと同じモデルでも、ほとんどの機種が技適マークを取得していない。

HTC U11は国内キャリアではauとソフトバンクで販売されているが、auのU11は型番が「 HTV33」、ソフトバンクのU11は「601HT」 で、当然だがいずれも技適マークを取得している。
一方、同じHTC U11の海外モデル「U-3u」は技適マークを取得していない。

同様にSamsung Galaxyのグローバルモデルや、Sony Xperiaなども技適マークを取得していないので、原則として国内での利用は不可。

Wi-FiやBluetoothを使用せず、モバイル通信だけで利用するのは、あまり現実的ではないので、技適マークのない海外モデルを利用する際は「違法行為」だという認識が必要。






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