Androidデバイスのセキュリティ問題
- Android OSは Googleが開発し、デバイス製造メーカーやキャリア各社がカスタマイズする二重構造になっているため、セキュリティパッチの配信にタイムラグがある
- OSのアップデートが製造メーカーによって実施されるため、サポート期間が統一されていない
- OSのアップデートやセキュリティパッチのサポート期間が終了してもアナウンスがないため、セキュリティリスクのあるデバイスを使用し続けるユーザーが多く、OSのバージョンがフラグメント化している
セキュアな Androidの代替えOSについては LineageOS のインストールと設定 を参照。
Androidのバージョン一覧
バージョン | コードネーム | リリース日 |
Android 1.0 | Applepie | 2008年 9月 |
Android 1.1 | Bananabread | 2009年 2月 |
Android 1.5 | Cupcake | 2009年 4月 |
Android 1.6 | Donuts | 2009年 9月 |
Android 2.0 | Ekrea | 2009年 10月 |
Android 2.2 | Froyo(FrozenYogurt) | 2010年 5月 |
Android 2.3 | Gingerbread | 2010年 12月 |
Android 3.0 | HoneyComb | 2011年 5月 |
Android 4.0 | Ice Cream Sandwich | 2011年 10月 |
Android 4.1 | Jelly Bean | 2012年 7月 |
Android 4.4 | KitKat | 2013年 7月 |
Android 5.0 | Lolipop | 2014年 7月 |
Android 6.0 | Marshmallow | 2015年 10月 |
Android 7.0 | Nougat | 2016年 8月 |
Android 8.0 | Oreo | 2017年 8月 |
Android 9.0 | Pie | 2018年 8月 |
Android 10 | Android 10 | 2019年 9月 |
Android 11 | Android 11 | 2020 年 9月 |
Android 12 | Android 12 | 2021 年 9月 |
Android 13 | Android 13 | 2022 年 8月 |
Android 14 | Android 14 | 2023 年 10月 |
Android 9.0まではお菓子に因んだコードネームがアルファベット順で付けられていたが、バージョン 10で廃止された。
Android のサポート期間
Android OSを開発している Googleがセキュリティアップデートを提供しているのは、Googleからリリースされている Pixelなどの自社デバイスのみで、Google製デバイス(Pixel 6以降)のセキュリティアップデートはリリースから最低 5年間 保証される。
最近は 一部のベンダーで製品リリース時に OSとセキュリティパッチのサポート期間を公表するようになったが、未だアナウンスもなくセキュリティパッチの配信がフェードアウトし、脆弱性を抱えたデバイスを使用するのはユーザーの自己責任というスタンスのデバイスメーカーが多い。
リリース日 | モデル | Android バージョンアップ | セキュリティアップデート |
2023年 10月 | Pixel 8 | 2030年 10月 | 2030年 10月 |
2022年 10月 | Pixel 7 | 2025年 10月 | 2027年 10月 |
2022年 7月 | Pixel 6a | 2025年 7月 | 2027年 7月 |
2021年 10月 | Pixel 6 | 2024年 10月 | 2026年 10月 |
2021年 8月 | Pixel 5a | 2024年 8月 | 2024年 8月 |
2020年 10月 | Pixel 5 | 2023年 10月 | 2023年 10月 |
2020年 8月 | Pixel 4a | 2023年 8月 | 2023年 8月 |
2019年 10月 | Pixel 4 | 2022年 10月 | 2022年 10月 |
2019年 5月 | Pixel 3a | 2022年 5月 | 2022年 5月 |
2018年 10月 | Pixel 3 | 2021年 10月 | 2021年 10月 |
Pixel Phone ヘルプ – Android アップデートが提供されるタイミング
三大キャリアのアップデート情報
各キャリアの製品もリリースから 3年はセキュリティパッチを配信しているところが多く、セキュリティ面やバッテリーの劣化を考慮すると、デバイスの使用期限は製品のリリースから 3年が一つの目安になる。
アップデートの問題
Googleからは毎月セキュリティパッチが提供されているが、大手キャリアが提供しているデバイスや、SIMフリー端末のようにベンダーが直接販売しているデバイスは、各デバイス用にカスタマイズが必要なため、セキュリティパッチの提供が数ヶ月遅れになっている。
Googleが推奨しているエンタープライズ向けのデバイス要件には、常に最新の状態 として 90日以内にセキュリティパッチが提供 とあり、3ヶ月に1回 のセキュリティパッチ適用で及第点になり、デバイスによっては 3ヶ月以上セキュリティパッチが配信されていないケースもある。
Android Enterprise Recommended
Googleと同様にキャリアやデバイスベンダーがリリースから最低 3 年間のセキュリティアップデートを保証したとしても、現状のように3ヶ月に1 回程度のアップデートでは、最新バージョンの Androidを使用していてもセキュリティホールが一定期間放置されることになる。
「Android」フォンの87%で脆弱性が放置–ケンブリッジ大調査
2015年に実施されたケンブリッジ大学の調査では、Androidデバイスの 87%はセキュリティパッチがタイムリーに配信されておらず、1 件以上の深刻な脆弱性に晒されているという結果が出ている。
Googleが Androidの脆弱性を修正しても、パッチが配信されるか否かはベンダー次第というのが Androidの抱えている最も大きなセキュリティ問題。
AndroidVulnerabilities.org に掲載されているグローバルベンダー別の 2015年度パッチ配布実績のスコア。
Google製の Nexusが最高スコアで、続いて LG・ Motorola・Samsung という順位になっており、Sony・Asus・HTCなど国内でも人気のあるメーカーのスコアが低い。
※ LG は 2021年 4月 にスマートフォン事業からの撤退を発表。
Motorola(Motorola Mobility)は 2011年に Googleが買収して 2014年にレノボ へ売却されており、レノボの 100%子会社になってからは、セキュリティパッチの配信が 2-3ヶ月に 1度の頻度になっている。
フラグメント化の問題
Androidはオープンソースのため導入コストが安く、スマホやタブレットのほかにもテレビ・デジカメ・ミュージックプレーヤー・IoT機器などのデバイスで使用されているが、セキュリティのサポート期間が終了している多くのデバイスが放置状態にある。
2015年にリリースされた Android 6.0(Marshmallow )からセキュリティアップデートの最終適用日を確認できるようになった。
- Android 9.0 / 10 / 11 / 12/ 13
設定 → システム → 詳細設定 → システム アップデート
- Android 6.0 / 7.0 / 8.0
設定 → 端末情報 → Android セキュリティパッチレベル
2023年 11月現在の Android OS 日本国内シェア
- Android 13.0:33.66%
- Android 12.0:17.76%
- Android 11.0:13.31%
- Android 10.0:11.05%
- Android 9.0:9.31%
- Android 14.0:5.85%
- Android 8.0 Oreo:2.65%
- Android 7.0:1.53%
- Android 5.1:1.47%
セキュリティアップデートの更新が停止していると思われる Android 11以前のバージョンで動作しているデバイスのシェアが約 39%と、4割近いデバイスが脅威に対して脆弱な状態で使用されており、総務省の施策によりデバイスの実質 0円販売が事実上禁止され、デバイスの買い替え周期が遅くなったこともフラグメント化に拍車をかける結果になっている。
2023年 11月現在の Windows 日本国内シェア
- Windows 10:59.66%
- Windows 11:37.46%
- Windows 7:1.77%
- Windows 8.1:0.74%
- Windows 8:0.12%
- Windows XP:0.11%
サポート期間が終了しているのは Windows7のほか Windows 8/ Vista/ XPで、サポートが終了している OSの稼働率は 2.74% 。
Microsoftはサポート終了前から執拗にアナウンスしてアップグレードを促すので新バージョンへの批判も多いが、バージョンのフラグメント化は最小限に抑えられている。
Project Treble
Googleも Androidのフラグメント化を懸念しており、Android 8.0(Oreo)から Project Treble を実装した。
Project Treble は Androidのシステム部分とベンダー独自の実装部分を切り離すもので、ベンダーが OSをアップデートしやすい環境に改善されている。
Android One
Androidのフラグメント化とセキュリティパッチの配布遅延問題に対する1つの対策として、Googleは Android One を展開。
Android One は 2014 年にAndroidデバイスの使用率が高く バージョンのフラグメント化が進行している インド で リリースされた後 東南アジアを中心に展開。
日本では 2016年 にソフトバンクからシャープの 507SHが発売され、以降はソフトバンクと Y Mobileからシャープ/ 京セラ/ HTC のモデルが発売されていたが、2023年にリリースされたモデルは京セラのみで、海外モデルもノキアのみになるなどフェードアウト気味になっている。
Android One は Google体験を中心に設計されたシンプルで使いやすい Androidデバイス で、最新バージョンの Androidで出荷され、毎月のセキュリティ アップデートと OSアップグレード提供 がコンセプトの商品だったが、2017年 11月末に Y Mobileからリリースされた HTC製の Android One X2では、セキュリティパッチ 2-3ヶ月間隔で配信されるなど、当初のコンセプトから乖離した運用になっており、現在は発売から2年間に最低1回以上のOSバージョンアップと、発売から3年間のセキュリティパッチ配信が保証されるだけになった。
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