オープンソースの Windows 用 多機能 Wake On Lan アプリ
Aquila Technology LLC が 開発している WakeOnLAN は Wake on LAN ( WOL )の設定を行っている PC を遠隔起動するフリーソフトで、GitHub でソースが公開されている。
日本語はサポートされていないが、インターフェイスがシンプルで操作性も良いので、それほど困ることもない。
Aquila WakeOnLAN は NIC ( ネットワークカード ) からの起動だけでなく、WOL で使用される Magic Packet の受信状況を確認できるため、WOL で起動できない場合の原因追求時に重宝する。
また、ローカルエリアのスキャン機能もあり、接続されているデバイスの MACアドレス や IP アドレスを取得可能。
Wake On LAN の設定
パソコンを遠隔起動させる WOL は NIC が実装している機能で、パソコンはシャットダウンしている状態でも電源ケーブルが接続されていれば マザーボードには 待機電源が供給されているため、WOL を有効にすることでネットワークアダプタからの起動が可能になる。
WOL は NIC に割り振られている 物理アドレス や MACアドレス , ノードID と呼ばれる固有の識別番号 宛に マジックパケット という信号を送信して起動させる仕組みのため、外部ネットワークから遠隔起動する場合は ルーターの設定も必要になる。
詳細は下記参照。

Windows10の Wake On Lan (WOL)設定
遠隔操作で Windows を起動させるための Wake On LAN 設定 Wake On LAN (WOL)はスリープ状態やシャットダウンしているパソコンに対して、マジックパケットと呼ばれる信号を送信して起動させる仕 […]
システム要件
バージョン 2. 12. 4 現在
OS:Windows XP / Vista / 7 / 8 (8.1) / 10 ( 32bit & 64bit )
※ Microsoft .NET 4.6 Framework ( Windows 10 は実装済 )
※ Wake on Magic Packet をサポートするネットワークカード
アプリの入手先
GitHub Aquila WakeOnLAN ダウンロードページ
Aquila WakeOnLAN のインストール
Aquila WakeOnLAN のインストールには アドウェアや サードパーティ製アプリのバンドルなどはないので、デフォルト設定のままセットアップウィザードを進めて問題ない。
Aquila WakeOnLAN のインストーラーは GitHub の basildane/ WakeOnLAN のページから最新版をダウンロードする。
ダウンロードしたインストーラーを起動して ユーザーアカウント制御のダイアログが表示されたら「 はい 」で許可。
日本語は未サポートなので「 English 」のまま「 OK 」。
プログラムのインストール先の指定。
特にこだわりがなければデフォルトのまま「 Next 」。
スタートメニューへの登録もデフォルトのまま「 Next 」。
デスクトップにショートカットアイコンを作成する場合はチェックを入れて「 Next 」。
インストールの準備ができたので「 Install 」。
「 Finish 」でセットアップ完了。
Aquila WakeOnLAN の使い方
起動する PC の登録が完了すれば 後は電源ボタンと同じ。
Maschine Search ( LAN上の PC を登録 )
Aquila WakeOnLAN が実装している機能で、LAN上にあるアクティブなデバイスをスキャンして MACアドレス や IPアドレス , NetBIOS名 などを取得し、検出されたデバイスはWOLのデバイスとして追加できる。
メニューバーの「 Tools 」から「 Search for Maschines 」を選択。
スキャン画面が開くので下部にある「 Search for Maschine 」の箇所で スキャンする IP アドレスの範囲を指定して「 Bigin Search 」をクリック。
デフォルトでは 1 ~ 20 になっており 動的IP ( DHCP )を利用している場合は対応できると思われるが、静的IP を指定している場合は使用している範囲を指定する。
LAN に接続している アクティブなデバイスが検出される。
「 Name 」には NetBIOS 名 , 「 Operationg System 」にはデバイスで稼働しているOS , 「Interface ID 」は デバイスが実装している NIC , 「 IP Address 」はデバイスが取得している IP アドレス , Mac Address は デバイスのMAC アドレス , 「 WOL 」は WOLをサポートしているかが表示されるが、Name , IP アドレス , MAC アドレス 以外は「 Unknow 」や空白でも問題はない。
検出したデバイスを WOL のデバイスとして登録する場合は チェックボックスにチェック(複数選択可)を入れて「 OK 」。
選択したデバイスが登録され、追加したデバイス側で NIC や BIOS / UEFI の設定が出来ていれば WOL で起動が可能になる。
グループ と 起動
登録したデバイスはグループ分けすることができ、グループ単位で一括起動ができる。
グループ設定するデバイスを選択してコンテキストメニュー(右クリックメニュー)から「 Properties 」を選択。
「 Display Properties 」タブの「 Group 」の項目に任意のグループ名を入力。
設定したグループは左ペインにフォルダとして表示され、グループを選択して右ペインに表示されている「 Hot Button 」の「 Start All 」をクリックすると グループに登録されているすべてのデバイスを一括起動できる。
個別にデバイスを起動する場合は 任意のデバイスを選択後 コンテキストメニューから「 Wake Up 」を選択。
初回起動時にファイヤーウォールでブロックされるので「 アクセスを許可 」。
リモートデスクトップ
登録したホストはダブルクリックすると Windows 標準のリモートデスクトップ が起動するが、 Windows 10 Home エディション では リモートデスクトップはサポートされていないため、Chrome リモートデスクトップ や Splashtop などを利用する。
デバイスの新規登録 と 外部ネットワークからの起動
外出先から自宅の PC を起動したい場合など、外部ネットワークからの遠隔起動は、ルーターの設定が必要で、デバイスの登録も手動で行う。
起動するデバイスは NIC や BIOS / UEFI の設定をすれば良いのだが、Aquila WakeOnLAN は 前述のように MAC アドレスを取得できるほか、パケットの受信確認機能も実装しているため、起動する PC へインストールしておくと便利かも。
MAC アドレスの取得
遠隔起動するためには、Aquila WakeOnLAN では「 Host 」と呼称されている「 起動するデバイス 」の MAC アドレスが必要になる。
起動するデバイス に Aquila WakeOnLAN をインストールした場合は 前述の Maschine Search を実行して MAC アドレスを取得。
Aquila WakeOnLAN が未インストールの場合は「 スタート 」→「 すべてのアプリ 」→「 Windows システムツール 」から「 コマンドプロンプト 」を開き、「 C:¥User¥ユーザー名 > 」と表示されている後に 「 ipconfig /all 」 と入力。
表示された情報の中から使用している ネットワークカードの「 物理アドレス 」を控えておく。
WAN 側の IPアドレスの取得
パソコンはルーターを通じてインターネットに接続しており、ルーターはインターネットに繋がる ローカルエリアの玄関口のようなもので、WOL の信号は 玄関( ルーター )に届いた後、 目的の部屋番号 ( MAC アドレス ) に 送られるようなイメージのため、遠隔地から WOL で PC を起動する場合は ルーターの「WAN 側 IP アドレス」が必要になる。
勘違いしやすいが、デフォルトゲートウェイの「 192.168.x.1 」はルーターの LAN 側(Local Area Network)のアドレスで WAN 側 ( Wide Area Network )の IP アドレスではない。
ルーターによって異なるが、WAN側 IP アドレス は ルーターの管理画面にある「 WAN 側状態 」などの項目で確認できる。
ブラウザで Google Chrome を使用していれば、拡張機能で WAN 側 IP アドレスの確認が簡単に行える。
アイコンをクリックするだけで WAN 側 IP が確認できるので非常に便利だったりする。
ホストの新規登録
ホストの新規登録で必要なのは ルーターの WAN側 IP アドレス と 起動する PC に搭載されている ネットワークカード の MAC アドレスのみ。
ホストの新規登録は上部メニューバーの「 File 」から「 New Host 」を選択。
「 Name 」に 分かりやすい任意の名前を入力。
「 Group 」も同時設定する場合は任意で入力、空白のままでも問題ない。
「 Notes 」は備考欄なので空白でOK。
「 Wake Up 」のタブに切り替える。
「 MAC Address 」は取得した MAC アドレスを入力。
MAC アドレスは 00-00-00-00-00-00 という形式で表示されているが、入力はハイフンやなしの英数字のみでも問題ない。
「 Send WOL to 」を「 FQDN / IP 」に変更。
「 Broadcast IP 」は 取り敢えず デフォルトのまま。
「 FQDN / IP 」に ルーターのWAN側 IP アドレスを入力。
WAN 側のIP アドレスは動的で ルーターの再起動や一定期間で変化するため、定期的に IP アドレスをチェックして、 「 ホスト名/ IP アドレス/ブルードキャストアドレス 」を更新が必要。
「 UDP Port 」は 9番ポート、「 TTL 」は ブロードキャストパケットの存続時間で 128 のままで問題ない。
「 Repeat 」も取り敢えず 1回で良いのだが、正しく設定しているにも関わらず 頻繁に起動に失敗する場合は回数を増やす。
入力が完了したら「 OK 」で登録。
モバイルネットワークなどの 外部ネットワークに接続してから起動テストを行う。
外部ネットワークからの起動設定で LAN上にあるデバイスは起動できないので、外部ネットワークとローカルネットワークで遠隔起動する場合は、それぞれ登録が必要になる。
Pinger
Pinger は登録されている ホストのステータス確認をするための機能。
「 Pinger 」が有効 ( 青枠が表示 ) になっていると ホストの状態が「 オンライン 」「 オフライン 」「 不明 」で表示される。
「 Pinger 」が無効のときは ホストはすべて「 Unknown 」になる。
Listener
「 Listener 」はパケットが正しく受信されているか確認する機能。
メニューアイコンの「 Listener 」をクリックすると受信画面が開く。
受信するパケットは Aquila WakeOnLAN だけでなく、 Android Wake On Lan などサードパティ製のアプリのパケット受信も確認できるため、デバイス側で Wake On Lan の設定が正しくできているか( パケットを正しく受信できる環境にあるか )の判断ができる。
Shutdown
Aquila WakeOnLAN は 起動だけでなく シャットダウン(再起動・スリープ)も可能だが、利用が推奨されているのは「 ドメイン環境 」で、一般的な「 ワークグループ 」環境では動作の信頼性が低く、使用する場合は ファイヤーウォールの設定のほか レジストリの編集も必要になる。
設定の詳細は公式サイト参照
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