4K UHD の特徴
- 解像度(3840 x 2160)が高く、精細な描画が可能
- 輝度・明度が高いハイダイナミックレンジ(HDR)を採用
4K で放送されているのは BSやスカパー のような衛星放送 と Amazonプライムや Netflixなど動画ストリーミングサービスの一部タイトルで、衛星放送の視聴には 4K専用のチューナーのほか視聴する番組によってはアンテナ等の交換も必要になるが、視聴環境を整えれば右旋の 4K BSは無料で視聴でき、ケーブルTVや光テレビのようにアンテナ不要で視聴が可能になるサービス もある。
画素数
モニタの解像度はピクセル(画素)が 1インチ(25.4mm)にいくつ並んでいるか(いくつのピクセルに分割されているか)を基本とした ppi(ピクセル・パー・インチ)を単位として使用し、一般的に解像度 と表記されているのは 画素数 を表している。
同一サイズのモニタで画素数が増加(高解像度)すると表示領域が広くなる。
画素密度は 横の画素数 ÷ モニタの横サイズ(インチ)で算出するので、アスペクト比が 16:9の 23インチモニタの場合、画素密度は HDが 64ppi, フルHDは 96ppiになり、フルHDは HDの 1.5倍の領域を表示できる。
パソコンのモニタの場合は数十cmの距離で見るため 、Windowsの画素密度は 96ppiが標準で、96ppiよりも極端に画素密度が高いと表示領域が広くなる反面、フォントなどの視認性が著しく低下する。
画面解像度
4Kの画面解像度は非常に高く精細な描写が可能になっているが、 画質は解像度 だけでなく輝度・コントラスト比・発色などの要素で左右される。
テレビと液晶モニタ
画面解像度はテレビと液晶モニタで表記が違っている。
テレビの解像度
- ハイビジョン:1280 x 720 以上(1388 x 768)
- フルハイビジョン:1920 x 1080
- 4K:3840 x 2160
ハイビジョンは日本国内の HDTVの愛称で、国内では解像度が 720p(1280 x 720)以上あれば ハイビジョン と表記でき、市販のテレビは 1388 x 768の製品が多い。
液晶モニタの解像度
- HD:1280 x 720
- Full HD:1920 x 1080
- 4K:3840 x 2160
液晶モニタは ITU(国際電気通信連合)の策定に沿って表記されている。
メディアの解像度
- DVD:720 x 480
- 地デジ放送:1440 x 1080
- Blu-ray:1980 x 1080
- 4K放送:3840×2160
- UHD Blu-ray:3840×2160
アップコンバート
4Kテレビで地デジ放送を視聴する場合など解像度が 4Kに満たないコンテンツは、メーカー独自のアップコンバート技術によって 4K相当の画質にまで引き上げられる。
フルHDを 4Kに拡大するのと異なり、SD画質の DVDは情報量が少ないため、アップコンバートしても 4K相当の画質が得られるわけではない。
画面解像度の規格
名称(通称) | 解像度 | 垂直解像度 |
VGA ・ SDTV | 640 x 480 / 720 x 480 | 480i |
HD(ハイビジョン) | 1280 x 720 | 720p |
HDTV(Full HD/ 2K/ フルハイビジョン) | 1920 x 1080 | 1080p /i |
2K | 2048×1080 | - |
4K UHD TV | 3840 x 2160 | 2160p |
4K | 4096×2160 | - |
日本では総務省が解像度 1920 x 1080の放送を 2K と定義しているが、ITU(国際電気通信連合)には フルHDを 2Kとするような勧告はなく、HDTV も ITUが 1920 x 1080としているのに対し、国内の規格では垂直解像度が 720p以上あれば HD(ハイビジョン)と表記できるため、規格と通称がカオス化している。
4Kの規格
4K には米国の 7大映画制作スタジオ(ウォルトディズニー , 20世紀FOX, MGM, パラマウント, ソニー・ピクチャーズ, ユニバーサルスタジオ, ワーナー)が 2002年に設立した DCI(Digital Cinema Initiatives)が策定した規格 と、無線や電気通信の国際的な標準化を策定している国連機関 ITU(国際電気通信連合)が 2012年に策定した規格が存在し、DCIと ITUで 4Kの解像度は違っている。
デジタルシネマの技術仕様と配給・上映方式の標準化の策定を行っている DCIでは 4Kの解像度が 4096 × 2160 で、ITUは超高精細テレビ放送 Ultra High Definition Television の環境として解像度 3840 x 2160(4K)と 7680 x 4320(8K)を策定しており、映像制作の 4Kは一般的に DCI の 4K 、コンシューマー向け製品などの 4K は ITU の 4K UHD TV を指している。
テレビの視聴距離
テレビには映像の細かなディテールが認識でき、迫力と精細さを最大限に実感できる 最適視聴距離 があり、最適視聴距離より視聴位置が伸びるのに比例して高解像度の持ち味は薄れていく。
フルHD 液晶テレビの最適視聴距離は一般的に 縦サイズの 3倍 が目安で、 4K の最適視聴距離 は 画面の高さの 1.5倍 になる。
最適視聴距離
- フルHD 32型(69 ppi): 1.2 m
- フルHD 43型(51 ppi): 1.6 m
- 4K 43型(102 ppi): 0.8 m
- 4K 55型(80 ppi): 1.4 m
最適視聴距離は視力 1.0で最もテレビに近い画素を感じない距離 で、 見やすさ の指標ではない。
3mルール
アナログテレビの時代には近距離で同じ箇所を見続けて発生する 偽近視 や 眼精疲労 などの健康面から 3mルール が提唱されていたが、ブラウン管テレビの画面解像度(640 x 480)は画素密度が低いため、推奨視聴距離は縦サイズのおよそ 5~7倍になり、25インチの場合 1.9~2.7mになる。
1997年には 光過敏性発作 を起こした ポケモンショック などもあるので、子供の 至近距離での視聴には注意が必要。
HDR 10・Dolby Vision
4Kに採用されているハイダイナミックレンジ(HDR)は、従来のスタンダードダイナミックレンジ(SDR)を大幅に拡張したもので、高輝度・高コントラストにより SDRの 100倍もの明るさを表現できるようになった。
明暗の差が大きいシーンが暗部で黒ベタになったり明部で白飛びするのは、ダイナミックレンジが狭く、ダイナミックレンジ外の部分が同じ輝度で表現されるために発生する現象。
HDRで指定されている輝度はシーンによってハードウェアで再現できる限界を超えている場合があり、ハードウェア側で画質を調整する トーンマッピング が行われるため、トーンマッピングの処理技術やモニタの最大輝度・コントラスト比などでによって画質は変わってくる。
HDR10/ HDR10+
ITUで勧告された HDR の国際規格には Hybrid Log-Gamma(HLG)と Perceptual Quantizer(PQ)があり、HLG は放送用に使用される HDR、 PQ は Dolby Visionで採用されている規格で、色深度を Dolby Visionの 12bit から 10bit にしたものが HDR 10、HDR 10を拡張したものが HDR 10+。
UHD Blu-rayでは HDR 10 が採用されており、Dolby Vision はオプション扱いになっている。
HDR10の色深度 10bit(約10億6433万色)は人の目で認識できる色数を遥かに超えており、スーパービジョン と 呼ばれる四色型色覚者でも約 1億色、一般人は好条件下でも 1000万色未満、通常は200万色程度しか識別できていない。
カラーチャート を表示して 33~39色を見分けられたら四色型色覚者、20~32色で三色型色覚者、20色未満は二色型色覚者で、四色型・二色型が25%、三色型が50%を占めている。
HLG
4Kテレビで HDR と表記がある場合は HDR 10/ HDR 10+をサポートしているが、HDRに対応した衛星放送を HDRで視聴する場合は HLGをサポートしている必要がある。
商品ページに記載がない場合はメーカーサイトで確認できる。
有機EL( OLED )と LED液晶
4Kテレビには 有機EL と LED液晶 があり、性能は有機EL 、コストパフォーマンスは LED液晶が優れている。
有機EL( OLED )
4Kテレビのハイエンドモデルで使用されている 有機EL(OLED)は、画素ごとに発光ダイオードや発光ポリマーなどの発光素子があるため色の再現性やコントラスト比が高く、応答反応も高いという特徴があり、 4Kテレビで HDRサポートする場合に適している。
有機ELは発光現象、OLEDは有機ELを利用した有機発光ダイオードのことで、テレビやモニタに表記される 有機EL と OLED は同じ。
LED液晶
有機ELと比較してリーズナブルな LED液晶 は、画面の上下または左右に LEDバックライトを配置している エッジ型 と、液晶パネルの後ろに LEDを配置している 直下型 があり、 直下型はエッジ型に比べ 輝度が高く、バックライトの部分駆動をサポートしているため高コントラストが得られる。
液晶ディスプレイは駆動方式 によって IPS・VA・TN などがあり、一般的に IPS方式は広視野角、VA方式は高コントラストが特徴。
UHD Blu-ray
Ultra HD Blu-ray は 4Kテレビの性能と精細さを最大限に発揮できる次世代メディアで、下位互換ではないため通常の Blu-rayドライブや Blu-ray プレーヤーでは再生できず、視聴には UHD Blu-ray専用のプレーヤーが必要。
Ultra HD Blu-rayの仕様
- 解像度:3840 x 2160
- 色深度:10bit
- フレームレート:60 fps
- ビデオコーデック:H.265
- HDR:サポート
- 容量:50GB / 66GB / 100GB
- コピーガード:AACS 2.0
再生環境は自動認識されるため、4Kや HDRをサポートしていない場合はダウンコンバートされて出力される。
パソコンでの視聴条件
UHD Blu-rayは AACS 2.0で保護されているため、パソコンでは特定の環境下でしか再生できない仕様になっており、最新の環境では UHD Blu-ray の再生はサポートされていない。
- モニタ:著作権保護技術 HDCP をサポートした HDMI ポートがあるモニタ
- ケーブル:HDMI 2.0
- ドライブ:HDCP をサポートした UHD BDドライブ
- CPU:Intel SGX をサポートしている Intel 第 7 ~ 10 世代 の Core i5/7 以降
- MB:Intel SGX をサポートした GPU を搭載
Intel SGX は 2020年にリリースされた 第 11 世代 Tiger Lake からサポートされていないため、最新のインテル CPUを搭載したパソコンでは UHD BDを再生できず、AMDの CPUを搭載したモデルでは 基本的に視聴できない。
AACS 2.0の回避策として UHD BD Friendly ドライブ を使用すれば 通常の Blu-rayと同じ環境でパソコンでの視聴が可能になる。
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