動画編集と地デジ録画の基礎知識

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動画編集の用語

Container

動画ファイルは 映像音声 ファイルが コンテナフォーマット に入っており、MP4や MKVなどの映像・音声は H.264/AVCなどの コーデック で圧縮されており、動画や音声を扱うメディアプレーヤーや編集ソフトなどはファイルで使用されているコーデックで復元する。

  • ノンリニア編集 
    パソコンやスマホで動画編集ソフトを使用し、動画から任意のシーンの抽出や削除などをする編集方法。
  • リニア編集
    2台のビデオデッキを接続し、1台で再生しながら 1台で録画を行い、カットしたい部分は録画を一時停止して必要な部分だけを別のデッキで録画する編集方法。
  • オーサリング
    動画や画像などの素材を組み合わせてメディアコンテンツを作成する作業で、DVDや Blu-rayで再生できるディスクを作成する場合は、オーサリングツールを使用して編集が必要。
    動画編集ソフトには オーサリング機能を実装しているものも多く、オーサリングソフトには DVDオーサリングBlu-rayオーサリング があり、メニューの作成などができる。
  • リッピング
    ディスクのデータを抽出してファイルとして保存する処理。
  • コピー / バックアップ
    ディスクデータをブランクディスクへ複製、またはフォルダや ISOファイルで出力する処理。
  • ダビング
    録画したデータのブランクディスクへの書き込み処理。
  • コーデック
    圧縮/ 復元プログラム の総称で、動画の場合はビデオコーデックとオーディオコーデックがあり、コーデックによるデータの圧縮には圧縮したデータをオリジナルと同じ状態に復元できる「可逆圧縮」と、圧縮したデータを復元できない「非可逆圧縮」がある。
  • エンコード
    コーデックを使用して行う圧縮処理。
  • トランスコード
    ソースと同じコーデックで行う再圧縮処理。
  • ビットレート
    1秒間に送受信するデータ量(bit per second)で、ビデオとオーディオのビットレートを合算したものが総ビットレート(Overall Bit Rate)。
    ビットレートが高ければ 1秒間に多くの情報を送ることができるため描写の精細さが向上して高画質になり、オーディオビットレートが高ければ音質が向上する。
  • ビットレートモード
    ビットレートは「固定ビットレート(Constant Bit Rate)」と「可変ビットレート(Variable Bit Rate)」に大別され、VBRには「平均ビットレート(Averate Bit Rate)」や「 2パス可変ビットレート」など複数のタイプがある。
  • フレーム
    動画はカメラで連写した画像をパラパラ漫画のようにしたもので、動画を構成する 1枚 1枚の画像がフレーム。
  • フレームレート
    1秒間に表示させるフレーム数(frames per second)で、30fpsは 1秒間に 30フレーム表示される。
    フレームレートは数値が増えるほど動きが滑らかになり、DVDや Blu-rayのほか多くの地デジ放送も基本のフレームレートは 30fps(29.97fps)で、UHD Blu-rayや 4K放送では 60fps、8K放送では 120fps までサポートしている。
  • フレームレートモード
    フレームレートにはすべてのシーンでフレームレートが一定している「固定フレームレート(CFR)」と、動きの少ないシーンでフレームレートを減らす「可変フレームレート(VFR)」があり、CFRは安定しているが無駄が多くファイルサイズが大きくなり、VFRはファイルサイズを抑えられるが音ズレが発生しやすい。
  • インターレース
    走査線を奇数と偶数 で 2回に分けて送信して 1つの画像を描画する伝送方式(テレビなどで利用)で、
    奇数と偶数が揃ったものを「フレーム」、単独の走査線は「フィールド」と呼ばれている。

コーデックの種類

コーデックは国際規格に準じたものから独自仕様のものまで様々な種類と特色がある。

ビデオコーデック
  • MPEG-2
    下位規格の MPEG-1をベースに拡張されたコーデックで、DVDや地デジで使用されている。
    DVDと地デジでは同じ MPEG-2 を使用していてもビットレートが異なるため、DVDよりも地デジは高画質になっている。
  • H.264/AVC・MPEG4
    H.264/ AVCと MPEG 4は同じコーデックで、 Blu-rayのほかデジタルカメラやスマホの動画で使用され、MPEG-2コーデックの 2~3倍の圧縮率があり、画質は 2倍向上していると言われている。
  • H.265/HEVC
    UHD Blu-rayで採用されている次世代規格で、同画質であれば H.264よりもビデオビットレートが半分程度になるためファイルサイズを抑えることができ、Windows 10から正式にサポートされている。
  • AV1
    特許使用料 が高額な H.265/ HEVCの代替えとして開発されたロイヤリティフリーのコーデックで、Google が開発した VP9 がベースになっており、コンテナフォーマットは MP4・MKV・WebM が使用される。

AV1 (AOMedia Video 1)を開発しているのは Amazon/ Apple/ ARM/ CISCO/ Facebook/ Google/ HUAWEI/ intel/ Microsoft/ Mozilla/ NETFLIX/ NVIDIA/ SAMSUNG/ Tencent によって創設された 非営利団体  Alliance for Open Media 。

主なオーディオコーデック
  • MP3
    MPEG-1のオーディオ規格として開発されたコーデックで、現在でも汎用性の高い音声ファイルとして利用されている。
  • AAC
    MP3の後継フォーマットとして策定され、MP3よりも高音質・高圧縮になっており、iTunesストアや Apple Musicなどで使用されている。
  • FLAC
    可逆圧縮のコーデックで Windows 10から正式にサポートされている。

ビットレートモードの種類

  • 固定ビットレート(CBR)
    ビットレートが固定されてしまうため 転送データが少ないときは無駄が発生し データが多いときは不足する可能性がある。
  • 可変ビットレート(VBR)
    転送する情報量に合わせてビットレートを変化させるるため 無駄がない。
  • 平均ビットレート(ABR)
    VBR の一種で、ターゲットビットレートを設定し、指定した値が平均値になるようビットレートを変化させる。
  • 2パス可変ビットレート
    データを読み込んで解析(1pass)してからビットレートを可変させる(2pass)方式で、品質と圧縮率の向上を期待できるが、工程が増える分だけ処理に時間を要する。
  • Constrained VBR(CVBR)
    最大/ 最小ビットレートを設定し、指定したビットレート内で変化させる。

フレーム間予測

H.264/AVC など フレーム間予測 が使用されている コーデックは、フレームを IフレームPフレームBフレーム に変換してデータ量を削減している。

  • I フレーム(キーフレーム) 
    1つのフレームにすべての情報を保持しており 元のフレーム画像を復元できる。
  • Pフレーム
    Iフレームの画像との差分情報。
    Pフレームをデコードするためには 直前の Iフレーム の情報が必要となる。
  • Bフレーム
    前後のフレームとの差分を使って圧縮されたもので、Bフレームをデコードするためには 前後の Iフレーム と Pフレームの情報が必要となる。

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上がキーフレーム(I フレーム)、下が Pフレームのイメージで、Pフレームで緑色になっている部分が Iフレームのデータで補完できる(動きがない)ため削除(圧縮)されている。

フレーム間予測で圧縮された動画を無劣化でカット編集する場合には キーフレーム で区切るのが基本で、動画編集アプリでは出力する際のエンコードでフレームが再構築されるため、任意のポイントで動画のカット編集ができる。

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解像度と画素密度

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モニタの解像度はピクセル(点)が 1インチ(25.4 mm)にいくつ並んでいるか(いくつのピクセルに分割されているか)を基本とした単位 ppi(ピクセル・パー・インチ)を使用し、一般的に 解像度 と表記されている 1980 x 1080 などは 画素数 を表している。

同じ画面サイズであれば 画素密度(横の画素数 ÷ モニタの横サイズ)が高いほど精細な画質を得られる。

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SD画質の画素数 720 x 480 px
HD画質の画素数 1280 x 720 px
フルHD画質の画素数 1920 x 1080 px
4K の画素数 3840 x 2160 px

動画の画素数がモニタの画面解像度より低い場合は画素を追加してアップスケーリング(拡大)処理が行われるため、DVDのような SD画質の動画をフルHDのモニタで再生する際などは画質の甘さが目立ってしまう。

動画編集では素材にする動画の解像度に合わせて作成するのが基本で、高画質な動画を作成するためにも動画は 高解像度で録画しておくと融通が利く。

地上デジタル放送(地デジ)の録画

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地上波のデジタル化により番組のコンテンツが無劣化で複製可能になったことから、著作権を保護するため放送されるコンテンツには コピー制御信号 が付加され、暗号化(スクランブル)して配信されている。

B-CASカードはスクランブルを解除するもので、地デジの録画はコンテンツに付加されているコピー制御信号の制限を受ける。

コピーワンスとダビング10

地デジは コピーワンス というコピー制御方式(CCI)を採用しており、地デジを録画した時点で 1 回のコピーとカウントされ、コピーした内容を DVDや Blu-rayに書き込むと元のデー タが消失する仕組みになっていたが、書き込みの成否に関係なく 1回のムーブとしてカウントするため非常に使い勝手が悪く、録画した時点ではカウントされず 9回までのコピーと 1回のムーブが可能 に規制が緩和された現行の ダビング10 になった。

多くの地デジ放送は ダビング10 で保護されているが、コピーワンス で保護されたものや録画が禁止された番組もある。

地デジ放送を録画したファイルは SeeQVault や EMPRなど認可された保護技術に対応したデバイスであれば HDDや SDカードへの移動やコピーが可能。

CPRM/ AACS

  • CPRMContent Protection for Recordable Media)
    地デジ録画を DVDにコピーする際に使用されるコピーワンスの制御信号を持つ日本独自のコピーガード。
  • AACSAdvanced Access Content System)
    地デジ録画をコピーした Blu-rayに使用される CPRMよりも高度なコピーガード。

地デジ番組の録画データを DVD-Rへ書き出すには CPRMに対応しているドライブと、CPRMに対応しているメディアが必要で、CPRMをサポートしているプレーヤーでなければ再生できず、地デジ録画をコピーした DVD/ Blu-ray は基本的に複製できない。

CPRM/ AACS の解除

録画した地デジ放送を DVDや Blu-ray にコピーしたものは、 DVDFab Passkey を使用してコピーガードの解除が可能で、コンテンツの編集やダビング10 の制限を受けずにコピーが可能になる。

メディアの録画用とデータ用

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DVD-R/ BD-Rには データ用録画用 の2種があり、DVD-Rの場合 CPRMをサポートしているのが 録画用 だが、BD-Rのデータ用・録画用に品質の違いはない。

録画用データ用 の区分は 1992年の著作権法改正によって導入された 私的録音録画補償金制度 によるもので、デジタルで録音や録画する場合に一定の補償金を徴収して著作物の権利者へ還元するため、 録画用 には補償金が上乗せされているだけで データ用も録画用も実質的には同じものだった。

地上デジタル放送が開始してコピーワンスやダビング10 によって私的複製が制限されることになり、東芝が私的録音録画補償金の支払いを拒否し、2012年 11月に最高裁で東芝の勝訴が確定したことで各メーカーがこぞって補償金の支払いを止め、補償金を管理していた SARVH(私的録音補償金管理協会)は財源を失い破綻、 2015年 3月末 に解散している。

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Windows Media Center(WMC)の録画ファイル

Windows 10で廃止された Microsoftの総合エンターテイメントアプリケーション Windows Media Center は、TVキャプチャカードを使用して地デジを録画すると暗号化された独自ファイル .wtv で保存し、コピーワンスやダビング10などのコピー制御信号とは別に録画ファイルの情報と再生する際に必要な 暗号の復号化キー を保持しており、コンテンツは移動できず、復号化キーはバックアップされないため、何らかの原因で情報が破損すると録画ファイルは視聴できない。

暗号複合化キーがバックアップされないことについてマイクロソフトは 日本における放送コンテンツ保護規定に遵守するための仕様 だとしており、システム復元 機能を利用しても暗号複合化キーは回復しない。

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