リッピングとコピーの違い
- リッピング
ディスクのデータを抽出して 動画・音声ファイルとして保存する処理。 - コピー/ バックアップ
ディスク データ をブランクディスク へ複製、または DVDフォルダやISOファイルでの出力する処理。 - ダビング
録画したデータのブランクディスクへの書き込み処理。
Blu-rayの規格
Blu-rayの規格には BDMV(Blu-ray Disk Movie)と BDAV(Blu-ray Disc Audio/Visual)があり、映画などの Blu-ray(BD-ROM)で使用されているのが BDMV、地デジ放送など Blu-rayプレイヤーなどでブランクディスクに書き込みを行う際に使用されるのが BDAV 。
- BDMV(Blu-ray Disk Movie)
コンテナフォーマット:Mpeg-2 TS
ビデオコーデック:MPEG-4/ AVC と MPEG-2をサポート
ビットレート:システム最大 54Mbps、ビデオビットレート最大 40Mbps
AAC 音声コーデック:未サポート - BDAV(Blu-ray Disc Audio/Visual)
コンテナフォーマット:Mpeg-2 TS
ビデオコーデック:MPEG-4/ AVC と MPEG-2をサポート
ビットレート:システム最大 28.8Mbps、ビデオビットレート最大 15Mbps
AAC 音声コーデック:サポート
リージョンコード
リージョンコードは指定された地域以外で再生できないように制限するもので、販売日や価格などの調整に使用され、プレーヤーに設定されているリージョンコードとメディアのリージョンコード が一致しなければ 再生できない仕組みになっており、Blu-rayのリージョンコードは A~C の 3地域に分類されている。
- 地域 A
日本・南北アメリカ・東南アジア、朝鮮半島、台湾 - 地域 B
欧州・中近東・アフリカ・オセアニア - 地域 C
中央アジア・南アジア・中国・ロシア・モンゴル
リッピングする際はデフォルトがリージョンフリーで、リージョンコードを設定することも可能。
同じリージョンコードでも国の情報設定 があり、国内の一般的な Blu-rayプレーヤーでは北米版の Blu-rayは再生できないケースが多い。
パソコンの場合でも Power DVDなどのメディアプレーヤーでは北米版 BDは再生できない。
Blu-ray の画質
Blu-rayの解像度は 1920 x 1080px の フルHD画質。
ピクセル(px)は画像を構成する最小単位 画素(色のついた点)のことで、フルHD画質の場合は横 1920個、縦 1080個の画素で画像が構成されている。
SD画質の画素数 | 720 * 480 px |
HD画質(720p)の画素数 | 1280 * 720 px |
フルHD画質(1080p)の画素数 | 1920 * 1080 px |
4K の画素数 | 3840 * 2160 px |
映画などの DVD-Videoの画素数が 345,600なのに対して、Blu-rayの画素数は 2,073,600 で、 DVDの 6倍の画素で構成されている。
動画の画素数がモニタの画面解像度より低い場合は画素を追加してアップスケーリング(拡大)処理が行われるため、DVDのような SD画質の動画をフルHDのモニタで再生する場合は画質の甘さが目立ってしまうが、Blu-rayは 解像度が高いため鮮明な画質で再生される。
Blu-rayのコピーガード - AACS
AACS(Advanced Access Content System)は、ワーナーブロス・ウォルトディズニー・マイクロソフト・インテルなどで創設された著作権保護団体 AACS LA (AACS License Administrator)が策定した Blu-rayのコピーガードで、MKB(Media Key Block)と呼ばれる暗号化キーを更新することで Blu-rayを保護しており、プレーヤーは MKBの暗号化キーを解除するための デバイスキー を更新して Blu-rayを再生する。
AACS は上位互換のため再生するドライブとソフトウェアの MKBのバージョンがディスクよりも高くないと再生できない。
AACSの保護を解除するリッピングソフトはデバイスキー を使用して暗号を解除しているが、AACS LAでは解除に使用されたデバイスキーを発見すると、MKBを更新( バージョンアップ )して該当のデバイスキーを使用できなくしており、MKB は年に1 ~ 2回程度更新されている。
AACSの更新期限
パソコンの場合はドライブのバージョンよりも再生する BDディスクのバージョンが高いと、ドライブのバージョンが自動的に更新されるが、有料のメディアプレーヤーや TVキャプチャカードに付属しているライティングアプリなどのソフトウェアには AACSの有効期限が設定されており、AACSの有効期限が切れると保護された Blu-rayは使用できない。
有効期限内であればインターネット経由で AACSは自動更新されているが、期限終了後は各メーカーによって対応が異なり、有償無償を問わず更新する方法がないケースや、期限切れになると更新料を請求してくるケースもある。
保護された Blu-rayは AACSの制限があるためパソコンでの取り扱いが面倒だが、ドライブにセットされた Blu-rayのコピーガードを解除する DVDFab Passkey for Blu-ray を使用すると、保護されていないディスクとして Blu-rayを利用できる。
Blu-rayのコピーガード - Cinavia
Cinavia(シナビア)は 映画館でのカムコーダーによる直撮り防止 や Blu-rayの AACSを回避したコピー防止 を目的として開発された DRM(デジタル著作権管理)で、人の耳では聴き取れない 不可聴のコード を音声に埋め込み、Cinaviaのコードによって指定された機器以外で録画や再生を行うと消音/ 再生停止などが発生して視聴できなくなる。
すべてのオーディオトラックが Cinaviaで保護されているわけではなく、国内でリリースされている Blu-rayで Cinaviaを使用しているのは限定的。
Blu-rayコピー/ リッピングの違法性
日本では著作権法で 私的使用の複製 が認められているため、保護されていないディスク に限ってコピー/ リッピングは合法だが、著作権法 第30条(私的使用のための複製)で 技術的保護手段の回避 が禁じられているため、自ら購入した Blu-rayでもコピーガードの解除は違法になる。
コピーガードの解除と複製に罰則はないが、著作権で保護されているコンテンツを公開すると公衆送信権を侵害し、刑事罰として 10年 以下の懲役 もしくは 1000万円以下の罰金 または 併科(著作権法 第 119条)になり 賠償請求などの民事が別に発生する。
地上デジタル放送(地デジ)の録画
地上波のデジタル化で 放送されるコンテンツが無劣化で複製可能になったことから、著作権を保護するため、放送される番組には コピー制御信号 が付加され、暗号化(スクランブル)して配信されている。
B-CASカードはスクランブルを解除するもので、地デジの録画にはコンテンツに付加されているコピー制御信号の制限を受ける。
コピーワンス と ダビング10
地デジは コピーワンス というコピー制御方式(CCI)を採用しており、地デジを録画した時点で 1 回のコピーとカウントされ、コピーした内容を DVDや Blu-rayに書き込むと元のデー タが消失する仕組みになっていたが、書き込みの成否に関係なく 1回のムーブとしてカウントするため非常に使い勝手が悪く、録画した時点ではカウントされず 9回までのコピーと 1回のムーブが可能 に規制が緩和された現行の ダビング10 になった。
多くの地デジ放送は ダビング10 で保護されているが、コピーワンス で保護されたものや 録画が禁止された番組もあり、Blu-ray にコピーした場合は AACS で保護される。
Blu-ray のブランクディスク
Blu-rayは記録型の BD-R と書き換え可能な BD-RE があり、録画やデータの保存用として使用されるが、経年劣化するためディスクの寿命は DVDや CDと同じ 10年程度だとされている。
- BD-R(片面 1層): 容量は 25GB
- BD-R DL(片面 2層): 容量は 50GB
- BD-R XL (片面 4層): 容量は 128GB
- BD-RE(片面 1層): 容量は 25GB
BD-REにはカートリッジタイプ(Ver1.0)が存在していたが、現行のプレーヤーでは非対応のものが多く、現在はカートリッジのない(Ver2.0)が主流。
パソコンの光学ドライブがサポートしているメディアは Speccy などで確認できる。
録画用 と データ用の違い
Blu-rayのブランクディスクには 録画用 と データ用 が存在するが、DVDの CPRMのような仕様はなく、Blu-ray の 録画用・データ用に違いはない。
録画用 と データ用 の区分は 1992年の著作権法改正によって導入された 私的録音録画補償金制度 から始まり、当時は 著作物の権利者へ還元するための 補償金が上乗せされたのが 録画用 で、録画用とデータ用は同じものだったが、地上デジタル放送が開始後 DVD は CPRM をサポートしたものが 録画用 になった。
地上デジタル放送が開始してコピーワンスやダビング10 によって私的複製が制限されることになり、東芝が私的録音録画補償金の支払いを拒否し、2012年 11月に最高裁で東芝の勝訴が確定したことで各メーカーがこぞって補償金の支払いを止め、補償金を管理していた SARVH(私的録音補償金管理協会)は財源を失い破綻、 2015年 3月末 に解散している。
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