HandBrake(v1.3.3)はソースを MP4/ MKVファイルに圧縮・変換するトランスコーダー。
HandBrake v1.3.3 の特徴
- 低スペックのパスコンでも動作する旧バージョンの HandBrake
- コピーガードのない DVD/ Blu-ray/ UHD Blu-rayと主要なマルチメディアファイルをサポート
- プリセットを選択するだけの簡単操作で高度な設定も可能。
- オープンソースで開発
トランスコードはデータをアナログ信号にデコードせず、デジタル信号の状態でビットレートなどを変更する技術。
バージョン 1.3.3 では Blu-ray / UHD BD の ISOファイルやBDフォルダの読み込みができず、日本語も未サポート。
- 日本語をサポートした最新バージョンは HandBrake のインストールと使い方 を参照。
開発元
- 開発元:The HandBrake Team
- 開発元の拠点:グローバル
ダウンロード
システム要件
- バージョン:1.3.3
- OS:Windows 7(SP1)以降 64bitのみ
- CPU:Intel Core 2 Duo / AMD Athlon x2 以上
- RAM :
・SD 画質のトランスコードは 256MB 以上の空き容量
・HD 画質のトランスコードは 1GB 以上の空き容量
・4K 画質のトランスコードは 2GB 以上の空き容量 - 画面解像度:1024 x 768 以上
- .NET Framework:4.7.1 以降
Windows 10/ 11はデフォルトで .NET Framework 4.8が有効になっている。
32bit環境はバージョン 1.0.7を使用。
UHD Blu-rayを使用する場合
HandBrakeで UHD Blu-rayをリッピングする場合は UHD Friendlyドライブ と UHD Blu-rayのコピーガードを解除するアプリが必要。
- 詳細については UHD Friendlyドライブのファームウェアダウングレードの手順 を参照。
保護されたメディアの利用
コピーガードで保護されている DVD/ Blu-ray/ UHD BDは、DVDFab Passkey を使用するか、Make MKV で MKVファイルに出力してから HandBrakeでトランスコードする。
- DVDFab Passkeyについては DVDFab Passkey for DVD / Blu-ray のインストールと使い方 を参照。
- Make MKVについては MakeMKV Beta for Windows のインストールと使い方 を参照。
サポートしているビデオコーデック
- MP4
H.264 / H.264 10bit/ H.265/ H.265 10bit/ H.265 12bit/ MPEG-4/ MPEG-2 - MKV
H.264/ H.264 10bit / H.265 / H.265 10bit / H.265 12bit / MPEG-4/ MPEG-2/ Theora/ VP8/ VP9 - WebM
VP8/ VP9
インストール
ダウンロードページから HandBrake-1.3.3-x86_64-Win_GUI.exe をクリックしてインストーラーをダウンロード。
ダウンロードしたインストーラーを起動し、ユーザーアカウント制御のプロンプトが表示されたら「はい」で許可。
セットアップウィザードが開始するので「Next」。
使用許諾書に問題なければ「Next」。
インストール先を確認して「Install」。
「Finish」でセットアップ完了。
HandBrake の使い方
ディスクをドライブにセットしてから HandBrakeを起動して左サイドパネルから選択。
HandBrake を起動後にディスクをドライブにセットした場合は自動認識しないので、 Source Selection の下にある「Cancel」でメインウインドウを表示し、メニューの Open Source から選択する。
マルチメディアファイルは File 、 DVDフォルダは Folder(Batch Scan)から指定するか、HandBrakeの Or drop a file or folder here.. へドラッグして追加。
BDフォルダは読み込み不可。(バージョン 1.4.0からサポート)
HandBrakeで読み込めないファイルを選択すると No valid source or titles found(有効なソースが見つからない)と表示される。
新規にファイルやフォルダを読み込む場合は Open Source からホーム画面に戻る。
ディスクやファイルが 正常に読み込まれるとタイトルなどが表示され、プレビューで映像を確認できる。
DVDや Blu-rayで複数の動画ファイルが格納されている場合は Title のリストから変換するソースを指定。
ディスクを読み込むと本編が選択されるが、マルチリンガルの Blu-rayでは複数のメインムービーが収録されていることが多いため、音声や字幕の設定で日本語がない場合は Title を変更する。
4K UHD Blu-ray は本編が自動選択されないので出力するタイトルの選択が必要。
動画を抽出して変換する場合は Range の項目で Chapter・Seconds・Frame の 3項目から選択し、 Chapter はチャプター番号、 Seconds は時間、Frames はフレーム数の始点と終点を入力する。
プリセットの選択
プリセット はデフォルトで Fast 1080p30 が選択されており、変更する場合はリストから選択。
- General :
デフォルトでビデオコーデックに「H.264」を使用した MP4 ファイルで出力する 基本のプリセット。 - Web :
動作サイトへの投稿など ストリーミング再生に適した プリセット。 - Device:
スマートフォンやタブレット など 使用するデバイスに最適化されているプリセット。 - Matroska :
MP4 よりも多くの 要素を格納できる「MKV」ファイルで出力するプリセット。 - Production :
プロ仕様のビデオ編集に適したファイルを生成するプリセットで、ファイルサイズが極端に大きくなるので 一般利用には不向き。
HandBrake公式では、画質・トランスコード処理の時間・ファイルの汎用性などのバランスが取れた General の Fast 1080p30 のプリセットを推奨している。
General には解像度別に Very Fast・Fast・HQ・Super HQ があり、ビデオサイズの変更はダウンスケーリングのみでアップスケーリングは不可。
画質は Very Fast = 並・Fast = 標準・HQ = 高画質・Super HQ = 超高画質 の分類で、トランスコードにかかる時間は画質に比例して遅くなり、画質に比例してファイルサイズは大きくなる。
UHD BD を2160p で出力する場合 General には 2160p の選択肢がないため Matroskaや Hardware を使用する。
プリセット別 ビットレートの目安
デフォルト設定では ビデオ品質 を基準に出力されるため、ソースによってビデオビットレートは異なり、映画の Blu-rayを出力した場合はおおよそ下記のような数値になる。
- Very Fast 1080p30:1500~2000 kbps
- Fast 1080p30:2500~3500 kbps
- HQ 1080p30 Surround:6000~6500 kbps
- SuperHQ 1080p30 Surround:9000~10000 Mbps
Sumally – 概要
選択したプリセットの詳細は Sumally タブで確認でき、ファイルフォーマットは Format のリストから MP4/ MKV/ WebMを選択できる。
- Web Optimized
ネットワーク上で動画が すぐに再生されるようになるオプション。 - Align A/V start
音ズレを防止するため フレームを調整してビデオ と オーディオの 初期タイムスタンプを揃えるオプション。
Align A/V start はデフォルトで有効になっているので、出力ファイルの動画と音声に問題が発生する場合は チェックを外してみる。
Dimensions – 解像度
Dimensions タブでは動画の解像度とクロッピングを編集できる。
- Anamorphic(アナモフィック)
アスペクト比 4:3の場合に入る黒帯(レターボック)を利用して縦伸びした画像を作り、ワイドスクリーンでの再生時に横へ引き伸ばして画面いっぱいに表示する、スクィーズ方式と呼ばれる技術。
Automatic:ソースの最大サイズで出力。
Custom:横幅(Width) 高さ(Height)を変更可能。
None:アナモフィック を無効にする。
- Modulus
横幅と高さは Modulusで指定した値で割り切れる数値に自動計算される。
デフォルトの設定値は 2 。
公式サイトでは Modulus を2 にすることを推奨しており、Modulusを2 にして再生できないプレーヤーがある場合は 16 に設定するよう記載されている。 - Cropping
動画の黒帯を検出して 削除する機能で デフォルト有効になっているため、トランスコードを実行すると自動的に黒帯が削除される。
自動検出でクロッピングに誤りがある場合や黒帯を残したい場合は Custom に変更して上下左右の数値を変更する。
Filter
Filter では 逆テレシネ・インターレース解除・ノイズ除去・グレースケール などを有効にできるが通常は設定不要。
- Detelecine – 逆テレシネ
テレビ録画などテレシネされたソースに対して有効で、テレシネで追加されたフレームを取り除き、元の24フレームに戻すフィルタ。
テレビ放送(NTSC)のフレームレートは毎秒 30フレーム、フィルム映像のフレームレートは毎秒 24フレームなので、フィルム映像をテレビで放送すると毎秒 6フレーム分の動きが早くなってしまうため、テレシネによってフレームが追加されている。
- Deinterlace – インターレース解除
インターレースを解除するフィルタで、インターレースになっている部分を検出してフィルタをかける Decombがデフォルトで有効になっている。
インターレースはアナログ放送などで使用されている走査線を奇数と偶数に分けて送信する方式で、デジタル化すると縞々になるため交互に欠けている走査線を補完(インターレース解除)することで ちらつきを押さえる効果がある。
- Denoise – ノイズ除去
ノイズを低減するフィルタでデフォルトは無効になっており、ソースにノイズがある場合は有効にすることで画質の向上を期待できるが、フィルタが強すぎると画質の劣化を招く可能性がある。
hqdn3d:ローパスフィルタで ぼかしてノイズを低減する。
NLMeans:類似したピクセルを平均化しノイズを低減するため hqdn3d のように高周波数範囲を壊さずノイズを低減できる。
- Sharpen – シャープ化
エッジや細部を強調して見栄えを向上させるフィルタで、フィルタが強すぎるとノイズが増大して画質が低下する可能性がある。 - Deblock – ブロックノイズ低減
デブロックを有効にするとブロックノイズを塗りつぶすような感じになるため、フィルタが強いとメリハリのない画質になる。 - Grayscale
映像をグレースケールに変換。 - Rotate
指定した角度で映像を回転。 - Flip
左右反転(ミラー)。
Video – ビデオ
Video タブでは選択したプリセットのコーデック・画質・フレームレート などを設定。
- Video Codec
選択したファイルフォーマットによって利用可能なビデオコーデックが異なる。
グラフィックカードのハードウェアアクセラレータが利用可能な場合はリストに表示される。
- Framerate – フレームレート
デフォルト設定は 可変フレームレート(VFR)で、Peak Freamerateで設定した数値が 最大フレームレートになり、シーンに合わせてフレーム数が調整されるため、固定フレームレートに比べ効率的にファイルサイズを小さくできる。
VFR をサポートしていないプレーヤーでは音ズレが生じる可能性があるため、汎用性を高めるなら固定フレームレートでソースと同じ フレームレートに設定する。
- Quality – 品質
H.264/ H.265の品質はデフォルトでレート係数(RF)が使用されており、選択したプリセットによってレートも変動する。
レート係数ではトランスコードが完了するまでビットレートが分からないので、任意のビットレートで出力する場合は Avg Bitrate (kbps)でターゲットビットレートを指定する。
2-pass Encode
コンテンツをスキャンしてからトランスコードするため、時間はかかるが 品質の高いトランスコードが可能。
Turbo first pass
スキャンせず予測しながら変換作業を行うため、2パストランスコードに比べ作業時間は短縮されるが、品質が低下する可能性がある。
- Optimise Video
Optimise Videoは特殊設定のため通常は使用しない。
Encode Preset
トランスコードの速度調整で「Fast」に近いほどトランスコードは早くなり圧縮率が悪くなる。
Encode Tune
ベンチマークを目的として使用する。
Grain
フィルムグレイン(フィルム動画独自のノイズ)を保持する。
Zero Latency
X.265 の設定で レイテンシを除去する。
プリセットはデバイスとの互換性なども考慮した一般的に「最適」される設定になっており、公式サイトでは プリセットをデフォルト値で使用することを推奨している。
公式サイトで推奨されている x264/ x265のレート
- SD 画質(480p / 576p): RF 18-22
- HD 画質(720p): RF 19-23
- フルHD(1080p): RF 20-24
- 4K UHD(2160p): RF22-28
アニメは RFを1~2 引き上げる(低品質にする)ことで同等画質でファイルサイズを抑えられる。
RFは数値が小さいほど高画質になるが、無闇にレートを下げるとファイルが肥大化し、再生できないファイルに仕上がってしまう可能性がある。
Audio – 音声
Audio タブでは出力する音声・コーデック・オーディオビットレートなどを設定。
多重音声のソースはデフォルトで主音声のみ選択されているのでトラックの追加が必要。
ソースに含まれている全ての音声を追加する場合は「Clear」をクリックしてから「Add Track」のリストから Add All Remaining Tracks を、個別に追加する場合は Add New Track を選択。
トラックを無劣化でソースからコピーする場合は Auto Passthrough を選択。
オーディオトラックの設定は自動設定の値が適用されるので、設定値を変更する場合は「Selection Behavior」で変更して「Apply」で適用。
設定値は HandBrakeを再起動するとクリアされる。
Subtitle – 字幕
出力する字幕をリストから選択。
オープンキャプション(直接動画に焼付け)か クローズドキャプション(字幕の情報をコンテナに格納)を選択。
- Forced Only – 強制字幕のみ
強制字幕のみ追加。(通常の字幕を出力する場合は無効にする) - Burn In – 焼き込み
字幕をファイルに焼付ける(OC)。(無効にすると字幕をファイルに格納する CC) - Default – デフォルト
初期設定で表示する字幕を指定。(指定がない場合は 一番上の字幕がデフォルトで表示)
強制字幕が デフォルトで 有効になっているため 通常の字幕 を出力する場合は 「強制字幕のみ」のチェックを外して無効にする。
Blu-ray で使用されている字幕形式 PGSのクローズドキャプションをサポートしているのは MKVのみで、MP4 を使用すると設定に関係なく字幕は オープンキャプションになるため、複数の字幕をファイルに格納したい場合は MKVを使用する。
Preview – プレビュー
画像を確認する場合はツールアイコンから Preview を選択。
ソースが表示されるので、スライドバーを動かして予め区切られている任意の開始位置を決め、 Duration のリストからトランスコードする時間(秒)を指定し、Use system default Player にチェックを入れ「Live Preview」でトランスコード開始。
トランスコードが完了したらプレーヤーが自動起動して再生される。
トランスコード の実行
全ての設定が完了したらホーム画面 左下にある Save As の「Browse」をクリックして保存先を指定。
保存先にドライブは選択できないためフォルダの指定が必要。
デフォルトの保存先はメニューバーの Tool から Preferences を選択して、Output Files の Default Path で設定できる。
ツールアイコンの Add to Queueをクリックして現在のタスク をキューに追加。
Start Encode でトランスコードが開始する。
備考
DVDFab Passkey や AnyDVD HDのユーザー御用達の定番トランスコーダー。
プリセットの設定値が適切で画質も良く、マニアックな設定もサポートしているため、PCビギナーから上級ユーザーまで幅広い層にオススメできる逸品。
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