IObit の悪評の理由
- 一部のセキュリティアプリで PUPとして検出される
- IObitのインストーラーにはブラウザハイジャッカーがバンドルされていた時期があり、ユーザーの許可なくデータを収集していた事がある
- トロージャンダウンローダーのようにユーザーの指示なく、IObitの関連アプリを自動的にインストールしていた時期がある
- 米国のセキュリティベンダー Malwarebytes のウイルスデータベース定義を盗用していた疑いがある
- 企業情報が不明
近年はインストーラーにアドウェアやスパイウェアが含まれているとセキュリティアプリがブロックするため、以前のようなビジネスモデルが通用しなくなったこともあり、現在の IObit製品についてはアプリの性質による使用リスクが存在する程度で、マルウェアと断じるほどの脅威は存在しないが、IObitの製品は過去に何度も食中毒を起こしている飲食店がリニューアルしたようなもので、過去の実績が不安要素になっている。
開発元
- 開発元:IObit Information Technology
- 開発元の拠点:米国
IObitの公式サイトでは会社住所が米国サンフランシスコのチャイナ・ベイシンになっているが、IObitを所有している企業は中国成都市にある ZHENGXINDE(成都正信徳)で、開発も同社が行っていると思われる。
ダウンロード
データベース定義の盗用問題
2009年 11月に米国のセキュリティベンダー Malwarebytes は、自社のセキュリティソフト Anti-Malwareのデータベース定義を IOBit が盗んでいると告発。
Malwarebytesは盗用を証明するために Anti-Malware のデータベースに Rogue.AVCleanSweepPro という ダミーの定義を追加したところ、存在しないはずのマルウェアをIOBitの Malware Fighter が同名で検出。
IObit は事実を認めなかったが、最終的に Malware Fighterのデータベースから全体の 7割を占めていた Anti-Malwareの定義が削除された。
ブラウザハイジャッカー - IObit Apps Toolbar
IObit Apps Toolbar は IObit製品のインストーラーにバンドルされていた ブラウザハイジャッカーで、インストールすると ホームページの変更・検索エンジンの変更・潜在的なリスクのある広告ページへのリダイレクト などが実行されるほか、検索したキーワードやアクセスしたサイトなどのデータを収集するスパイウェアの性質も備えていた。
Windows XP全盛時はレジストリの肥大化やインターネットキャッシュ、システムの一時ファイルなどで パソコンのパフォーマンスが大きく低下したため、システムメンテナンスユーティリティソフトは人気があり、AdvancedSystemCare をインストールして IObit Apps Toolbar に悩まされた ユーザーは少なくない。
IObit Apps Toolbar は セキュリティアプリで PUP/ SUS(不審なプログラム)やアドウェアとしてブロックされ、現在は配布されていない。
VirusTotal のテスト結果
VirusTotal でテストすると IObit Uninstaller で Malwarebytesや Sophosが反応するが、ほぼグリーン判定になる。
VirusTotalで PUPとして検出するセキュリティアプリ
- IObit Uninstaller 13 Free
Antiy-AVL・Dr.Web・Malwarebytes・Sophos - IObit Malware Fighter 10 Free
Dr.Web・GData - Advanced SystemCare Ultimate 16
Dr.Web・GData
VirusTotal では検出しないが、Malwarebytes の Anti-Malware は、すべての IObit 製品を不審なプログラム(PUP)として インストールをブロックする。
インストール
現在 IObitの製品はインストーラーに iTOP VPN などの製品がバンドルされており、オプトアウトは可能だが、デフォルトでインストールが有効になっている。
- iTOP VPNについては iTOP VPN for Windows のインストールと使い方 を参照。
インストールを実行するとバンドルアプリのインストール画面になるのでオプトアウトが必要。
IObit の製品
- IObit Uninstaller Free
分かりやすいユーザーインターフェイス で IObit製品の中でも評価が高く、無料版でも十分に機能するが、スキャンは攻め気味で、Revo Uninstaller で除外されているファイルも削除対象になる。
- IObit Malware Fighter Free
独立したテストラボへの提供がなく、他のセキュリティソフトが ブロックするようなプログラムをスルーするためセキュリティソフトとしての信頼性は低い。
有料版 の IObit Malware Fighter Pro は BitDefender が開発しているスキャンエンジンを使用しているが、本家の BitDefenderとは実装方法が異なるため保護能力は不明。 - AdvancedSystemCare Free
機能制限がある無料版でもスキャンは攻め気味で、他のシステムメンテナンスアプリでは検出されないようなアプリのログファイルなども削除対象になる。
AdvancedSystemCareは安全性を疑問視する意見もあるが、同種のアプリは不要と思われるファイルやレジストリの削除を行うため使用にはリスクがあり、AdvancedSystemCareだけが特別危険なわけではない。
AdvancedSystemCare Freeで使用できるモジュールの一部はダウンロードが必要で、IObit Uninstaller・Driver Booster など IObitの他のアプリケーションも表記してインストールを誘導している。
IOBit/ iTOP のアンインストール
IOBit/ iTOP 製品は Windowsの プログラムと機能 からアンインストールできるが、レジストリやProgramDataフォルダなどにファイルが残るので、Revo Uninstaller などのアンインストーラーの利用を推奨。
有料の Revo Uninstaller Pro 版 では Windows の プログラムと機能 実行後でも、強制的にアンインストール で アプリ名を入力して 残存ファイルを強制的に削除する事も可能。
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