ヌメ革のエイジングと手入れ

原皮をタンニン鞣しで仕上げ、ほとんど加工していない、ナチュラルレザーとも呼ばれるヌメ革。そのデリケートさを含め、エイジングを楽しめる素材として人気だったりする。

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新品のヌメ革は色白の別嬪さんで非常に繊細。

皮膚には皮脂膜という皮脂と水分で構成された自然の防護膜があり、この膜が外界からの刺激から皮膚を守っているのだが、新品のヌメ革には皮脂膜がない感じ。
製品によっては皮脂膜の代わりにパラフィン加工(蝋引き)をしていたりするが、加工されているからと言って万全な防水・防汚効果が得られるものではない。




使用前の日光浴

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ヌメ革の鞣し剤として使用されるタンニンは、紫外線によって色が濃くなる性質があるので、製品に日光浴をさせることでベージュから茶褐色へと変色し、同時に革そのものに含まれている油分が表面ににじみ出てくる。

日光浴はヌメ革本来の防水・防汚効果を引き出すだけでなく、きれいなエイジングを行うためにも必須。
手間暇はかかるが、それもヌメ革の楽しみの一つだったりする。

日光浴の期間は日照時間や日差しにもよるが、およそ1ヶ月程度が目安。
当然ながら日光浴は均一にしないと水着の後と同じで、影になっていた部分だけが白く残ることになるのため、付属のパーツも含め焼き残しがないよう、日光が当たる面を変えながら全体的に万遍なく焼かないと残念な感じになってしまう。

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日光浴で良い色に焼けたら、濡れタオルで軽く水分を含ませる感じで手早く全体を拭き、完全に乾くまで半日ほど陰干し。

乾燥したら最後の仕上げにデリケートクリームを全体的に薄く伸ばして馴染ませ、後は表面を磨く感じで乾拭き。

水拭きもデリケートクリームを馴染ませる際も、ヌメ革が水もクリームも吸収し、シミができたようになるが、一箇所に大量の水やクリームを付けない限り、乾燥すれば自然に消えるので気にしなくてOK。

これでヌメ革に自然な光沢が出るだけでなく、皮脂膜と同じように製品自体に水や汚れに対する抵抗力が向上する。

ヌメ革の個性

nume003ヌメ革は日光浴をすることで、皮にある血管の跡(上図)や生前の傷、関節部のシワなどが目立つようになり、また、タンニンの発色も均一ではないため多少の濃淡(色ムラ)がでる。

日焼けする前のヌメ革と日焼け後のヌメ側を比較すると、良く言えば日焼けすることで革の個性が現れるわけだが、悪く言えば使用前なのに色ムラなどがあり、日焼け前の均一感はなくなる。
だからと言って日光浴をせずに使用しても、ヌメ革は確実に変色するので、茶褐色へと変色した部分と日焼けしていない部分が生じ、見た目に美しくなかったりする。

まだら模様や色ムラなどが気になる人は、ヌメ革製品は避けたほうが無難かも。
nume004ヌメ革はエイジングを楽しめる製品だが、経年変化と劣化は紙一重。
ヌメ革に限らず革製品は、メンテナンスをしないと確実に劣化していく。
ヌメ革の場合、小さな傷などは変色する過程で目立たなくなっていくが、雨など水滴の跡がシミになると消すことはほぼ不可能。
革の油分に注意して定期的にデリケートクリームなどでオイル入れをしていないと、防水・防汚効果が低下して、わずかな水滴でもシミになったりする。

ヌメ革の手入れ

革の表面がざらついてきたらオイル不足のサイン。
そのまま使い続けると表面がひび割れを起こす可能性もあるので要注意。

ヌメ革製品の手入れといっても通常のスムースレザーと同じで、注意が必要なのは使用するクリームがヌメ革に対応していること。

使用するのは主にブラシとデリケートクリームで、レザーソープは時々使う程度。

はじめに全体をブラッシングして表面をきれいにする。
革の表面に付着しているホコリを払うようにするのがポイント。

エイジングには手垢も一役買っていたりするが、見るからに手垢で赤黒くツヤっているのもちょっと微妙。
鞄も持ち手や財布、名刺ケース、パスケースなど、触る機会が多いものは手垢も付きやすく、使っていると次第に薄黒くなっていくので、気になるようならヌメ革に使用できる界面活性剤を主成分にしたクリーナーなどを使用するのもあり。

クリーナーはムース状のものが多く、ヌメ革が新しいうちはクリーナーを付けたところがシミのようになるが、乾燥すると消えるので気にしなくてOK。
ただ、クロスにとったムースを直接つけると、その部分だけが厚塗りになりシミの原因になりかねないので、クロスにムースをしっかり馴染ませてから拭いていく。

クリーナを使用しない場合も、クロスで乾拭きして表面をきれいにしておく。

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クリーナーを使用した場合は、クリーナーが完全に乾いてからデリケートクリームでオイル入れをする。

ポイントは「塗り過ぎない」こと
クリームをクロスに少量つけて、車のワックスと同じで円を描くように薄く伸ばすよう、全体的に均等に塗っていく。
ヌメ革も油分が不足している状態では、スポンジのようにオイルを吸収していくが、同じ箇所で重ね塗りせず、全体に薄く塗ってから、油分が足りないようなら再度、全体的にオイルを入れていく。

最後に布で浸透しなかったクリームを取り除きながら、表面の油膜を均一にするような感じで全体を磨いていく。
磨く際に力を入れたり、強くこすったりするのは厳禁。

磨き終えたらしっかりと形を整えて、乾燥するまで陰干しして終了。

ヌメ革のトラブル

ヌメ革は使い込むことで経年変化を楽しめるが、使用しているといろいろなトラブルが発生する。
もっとも多いのは雨と傷。

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鞄の場合、特に厄介なのが雨。
しっかりメンテナンスをして2年ほど使用していれば、革の表面に形成された油膜がある程度の水滴は弾いてくれるが、それまでは水分が革の内部に浸透して、輪染みなってしまう。
上図は水滴を放置してついた水滴の跡や汚れを取り除くため、サドルソープで全体を洗ってから、メンテナンスをした後の状態。
だいぶ薄くはなっているが、それでも水滴の輪染みは完全に消えてくれない。

雨などの水滴が革についてしまったら、できるだけ早く水滴を拭き取るのは当たり前として、濡れタオルなどで水滴が付いた付近を中心に水拭きする。
水滴が付いてから水拭きするまでの時間は、早いに越したことはないのだが、1時間程度ならシミにならずに処置できる。

経験則では水拭きが必要なのは日焼けしてから1年未満くらいで、1年以上しっかりとメンテしながら使い込んだヌメ革なら、水滴を拭き取るだけで事足りる。
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普段の使用によって付いてしまう小さな傷なら、経年変化による変色で目立たなくなるが、爪などによる引っ掻き傷は、しっかりと跡が残ってしまう。

染色されている革なら靴クリームなどで補色すれば目立たなくなるのだが、ヌメ革の場合は補色ができないので、傷も味だと思って諦める。

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黒く汚れているように見えるのはカビ。
使用頻度の低い製品に発生しがちで、一度発生すると除去するのは困難なので、湿気の多い場所での保管を避けるのはもちろん、月に一度くらいは陰干しするのが理想的。
また、過度にオイル入れを行っていると発生しやすくなるので要注意。

 

鞄の水漬け

先日、出勤してから鞄の中を見ると、底が水浸しになっていた。
原因はTHERMOSのケータイマグに入れていた水で、飲み口のパッキンがずれていたため、鞄が斜めになったときに漏れていたらしい。
また、そんな時に限って電車で座れたりするので、膝の上でしばらくは横倒しになっていた。
500mlの水が半分になっていたので、鞄が吸収したのはおよそ250ml。

水滴のように表面から水分が入るのではなく、内側から吸収して表面に出てきている。

取り敢えず、内側の水分をできるだけ取り除いたのだが、職場なのでそれ以上の処置もできず、帰宅するまで自然乾燥するしかない。

ほぼ乾燥した状態でも波状に水の跡がしっかりと出ていたので、取り敢えず鞄が完全に浸かる程度に浴槽に水を入れ、そこへ鞄を水没させる。
はじめは浮いてくるので時々裏返しながら水を吸うまで見守り、その状態で一晩寝かせてみた。

翌朝、湯船の水が薄茶に濁って、鞄は完全に水を吸収した感じ。
なんとなくシミの跡が分かるが、だいぶ薄くなった気もするので、鞄の水を切って表面を拭き、形を整えてから陰干しすること丸2日。
ちなみに濡れた革をドライヤーなどを使用して乾かすのは厳禁。

乾燥すると水漬けで油分が抜けて革が硬化するので、デリケートクリームでしっかりとオイル入れ。

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水漬けしたことで色が濃くなり、シミの跡は残っているが「なんとか使えるレベル」にはなった。

水漬けに関しては「革の硬化と型崩れ」のリスクがあるので、決して推奨はしないが、シミができて使わなくなるようなら、試してみる価値はあるかと思う。


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