Avidemuxのインストールと使い方


Avidemuxは動画の無劣化編集が可能なアプリケーションで、テレビ番組のCMカットなど単純な編集作業に適している。
AviUtlのように各種プラグインやコーデックを別途導入する必要もなく、インターフェイスも分かりやすく操作性に優れている秀逸なアプリケーション。

デフォルトでも微妙に日本語化されているが、TiltStrさんのサイトで完璧な日本語パッチが提供されてるため、日本語環境で安心して使用できる。

システム要件

バージョン 2.7.0現在(安定版)

システム要件の記載はなし。
※バージョン2.7.0はWindows7以降で動作確認済み

ソフトの入手先

Avidemux 公式サイト ダウンロードページlink

TiltStr Avidemux 日本語言語ファイルダウンロードページ



Avidemuxのインストール

セットアップは日本語化されていないが、アドウェアや無関係なプログラムのインストール項目はないので、基本的にデフォルトのままインストールして問題ない。

ダウンロードページにあるWindowsの項目から、使用しているWindowsのアーキテクチャに合わせて32bitまたは64bitの「FossHub」をクリックすると、インストーラーのダウンロードが開始し、FossHubへ移動する。

インストーラーが自動的にダウンロードしない時は、移動先のFossHubのページにある「Download Avidemux Win32(64)installer」をクリックすると、インストーラーをダウンロードできる。

インストーラーを起動し、ユーザーアカウント制御を「許可」するとセットアップウィザードが開始するので「Next」。

EULA(使用許諾書)が表示されるので、問題なければ「I Agree」をクリック。

追加コンポーネントの選択。
基本的にはデフォルト状態のまま「Next」。

「AviSynth」と「VapourSynth」はWindowsで動作する動画編集用のプログラムで、Avidemuxで使用するにはスクリプトの記述が必要になるので、スクリプト言語(簡素化されたプログラム言語)の知識があるなら、追加インストールしたら良いかも。

「SDK」はソフトウェア開発キットなので、こちらはプラグイン(拡張機能)を開発する場合に使用する。

ショートカットの作成。
デスクトップとスタートメニューにAvidemuxのアイコンを追加するので、不要であればチェックを外しておく。

スタートメニューに追加するフォルダ名を変更する場合は編集する。
基本的にはデフォルトのまま「Next」。

インストール先の指定。
特にこだわりがなければ、こちらもデフォルトのままOK。

設定できたら「Install」をクリックして、Avidemuxをインストールする。

「Finish」でインストールが完了し、Avidemuxが起動するので、起動を確認したらAvudemuxを終了させる。

Avidumuxは初期状態で微妙に一部分が日本語化しているものの、ほとんど文字化け程度なので、TiltStrさんのサイトから日本語パッチをダウンロードする。

「ver2.7.0」の「Download」アイコンをクリックして、ZIPファイルをダウンロード。

ダウンロードしたZIPファイルを選択し、コンテキストメニュー(右クリックメニュー)から「すべて展開」で解凍後、フォルダ内の「avidemux_ja.qm」ファイルを、Avidemuxフォルダ内にある「i18n」フォルダへ移動する。

「i18n」フォルダは、インストールがデフォルト設定の場合、Windows10なら「Cドライブ」→「Program Files」フォルダ→「Avidemux 2.7 – 64 bits」フォルダ→「qt5」フォルダ内にある。

「ファイルの置換またはスキップ」ダイアログがでるので、「ファイルを置き換える」を選択。

「アクセス拒否」のメッセージが出たら「続行」をクリック。

Avidemuxを起動して、日本語化されていることを確認したらセットアップ完了。

使用方法

Avidemuxで可能なのは「カット編集」「ファイルの結合」「エンコード」「各種フィルタの適用」で、無劣化での編集には当然ながらフィルタは利用できず、ファイルの結合も解像度が同一のものに限られる。

AviUtlOpenShot Video Editorのような動画編集ソフトと言うより、カット編集やフィルタ処理に優れたエンコーダーソフトと捉えたほうが良いかも。
実際、Avidemuxで可能な処理は、エンコーダーソフトXMedia Recodeでも可能だが、各種フィルタに関してはXMedia Recodeよりも優れている。

主要なビデオコーデックには対応しているので、AVI・MP4・MKV・WMV・FLV・MPEG TSなどのファイルを読み込むことが可能。
ただし、ビデオコーデックに「Windows Media Video9(VC-1)」を使用している場合、ファイルを読み込むことは可能だが、シークバーを移動させてもプレビュー画像が連動しないため、実質的にビデオコーデックにVC-1を使用したファイルの無劣化編集はできない。

ファイルはドラッグアンドドロップで追加が可能。
その他の方法としては上部メニューの「ファイル」から「開く」、または上部のフォルダアイコン(ビデオを開く)をクリックして、追加するファイルを指定する。

同一サイズであれば、ファイルを追加していくことで連結することもできるが、追加するファイルは場所を指定できず、後から順序の入れ替えも出来ないので、複数のファイルを追加する際には要注意。

また、無劣化(コピー)出力はできなくなるが、同一サイズであればJpeg画像の追加も可能。

追加した動画ファイルの操作は、基本的に「シークバー」とコントロールボタンで行う。

コントロールボタンは左から「再生」「前のフレームに移動」「次のフレームに移動」「前のキーフレームに移動」「次のキーフレームに移動」になっている。

フレーム移動はキーボードの矢印キーでも可能で、1フレーム毎に移動できる。

左から「黒ベタフレームの検索」「先頭・末尾のフレームへ移動」「60秒前・60秒後に移動」。

黒ベタフレームは、動画のフレームを分析して黒ベタになっているフレームを検索する機能で、普通に撮影している連続した動画では黒ベタフレームが存在しないので、検索したら動画末尾にシークバーが移動する。

シャトルリングは速度調整をしながら早送りと巻き戻しができる。

フレームの種類

フレームは動画を構成する1枚1枚の画像のことで、要はパラパラ漫画のようなもの。カメラで連写した画像をパラパラ漫画のようにしたもので動画は構成されているのだが、この状態だと画質が良い半面、ファイルサイズが非常に大きくなるため、コーデックを使用して圧縮されている。

圧縮されたフレームには「Iフレーム」「Pフレーム」「Bフレーム」の3種類がある。

  • Iフレーム:それだけで完結しており、元のフレーム画像を復元できる。
  • Pフレーム:Iフレームの画像との差分情報。Pフレームをデコードするためには、その前のIフレームの情報が必要となる。
  • Bフレーム:前後のフレームとの差分も使って圧縮されたもので、Bフレームをデコードするためには、前後のIフレーム、Pフレームの情報が必要となる。

全ての情報を保持している「Iフレーム」を「キーフレーム」といい、圧縮された動画を無劣化でカット編集する場合にはキーフレームで区切るのが基本。
ただし、再エンコードを実行する場合は、フレームが再構築されるのでキーフレームを気にする必要がない。

PフレームやBフレームは差分情報しか保持していないため、Pフレーム・Bフレームでカットして、再エンコードせずに無劣化(コピー)出力すると、上図のように破損したフレームが発生することになる。

Avidemuxではキーフレーム以外のフレームをマーカーして、無劣化(コピー)で出力を実行すると怒られる。

現在選択しているフレームは「フレーム形式」で確認できる。

Avidemuxに取り込んだ動画の情報は、上部メニューの「ファイル」→「インフォメーション」で確認できる。

無劣化のカット編集

Avidemuxの主要機能が再エンコードしない無劣化のカット編集。

カット編集は「開始フレーム」と「終了フレーム」にマーカーをする。

「A」アイコンが開始マーカー、Bアイコンが終了マーカーで、シークバーやコントロールボタンでカットするキーフレームに移動して、マーカーを行う。

前述の通り、無劣化(コピー)出力する場合は、キーフレームで区切ることになり、思い通りのシーンで区切れないケースも出てくる。
無劣化にこだわるか、再エンコードをして編集にこだわるかは悩みどころ。

マーカーした部分はシークバー上に青枠で表示される。

マーカーで囲んだ部分は「Delete」キーで削除。
マーカーをやり直す場合は、上部メニューの「編集」から「マーカーをリセット」または、「Ctrl + Home」キーを押す。

カットした状態はプレビューに反映されるので、再生してカット部分を確認できる。

カット編集した動画を「無劣化」で出力するには、「映像出力」と「音声出力」の項目を「Copy」にする。

「出力形式」はソース(素材)で使用しているコーデックを格納できるコンテナであれば、どれを選んでも問題ないが、ソースと同じファイル形式を選択するのが一般的。

「Muxer」とは動画と音声をコンテナフォーマットにまとめるプログラムで、「H.264/AVCとAACをMKVにMuxする」という場合、ビデオコーデックに「H.264/AVC」を使用し、オーディオコーデックに「AAC」を使用した素材を、Muxerを使用してMKVファイルに格納することを意味している。

編集と設定が完了したら上部のフロッピーアイコンをクリックして、保存先とファイル名を指定して「保存」。

エンコード処理がないので、ファイルは瞬時に保存される。

映像のみ出力

無圧縮出力では動画から音声を削除することも可能。

上部メニューの「音声」から「トラック選択」を選択。

「音声トラック構成設定」で有効になっている「トラック1」のチェックを外して「OK」をクリックだけ。

後はカット編集など必要な処理をして、「Copy」で出力すると瞬時に音声が削除された映像のみのファイルが作成できる。

同じ要領で、「音声トラックを追加」を選択して、MP3やAACなどの音声ファイルを指定すると、映像の音声を変更することもできる。
映像と音声の収録時間が異なる場合、映像が優先されるため、音声が映像より長いと途中で切れ、短いと無音状態になるので、事前にAudacityなどで音声ファイルを編集しておく必要がある。

映像フィルタの適用

Avidemuxは強力なフィルタ機能を実装しており、ノイズ除去や輪郭のシャープ化などソースを鮮明にするフィルタの他、グレースケール、インターレース解除、フェード処理、拡大縮小などの処理を行うことができる。

フィルタを使用する場合はエンコードが必須になるため、「映像出力」から「Copy」以外の使用するコーデックを選択する。

汎用性の高いのは「Mpeg4 AVC(H.264)」。

「映像出力」で「Copy」以外のコーデックにすると、「フィルタ」が選択可能になる。

フィルタは「トランスフォーム」「インターレース」「カラー」「ノイズ」「シャープ」「字幕」があり、それぞれに複数のフィルタが用意されている。
「OpenGL」には利用可能なフィルタがなく、「その他」のフィルタもダミーなので使用不可。

使用したいフィルタをダブルクリックすると、設定が必要なフィルタは設定画面が開き、「アクティブなフィルター」に追加され、複数のフィルタを併用できる。
追加したフィルタは「プレビュー」で効果を確認できる。

トランスフォーム

トランスフォームは「変形」のフィルタ。
フェードやFPSの変更、ロゴを追加などを駆使すれば、簡単な動画編集も可能。

・ASCII表示

いわゆるアスキーアートに変換してしまうフィルタ。
フィルタは映像全編に適用され、部分的な範囲指定はできない。

ここまで来ると芸術レベルだが、使用する機会は少ないかも。
「カラー」フイルタと併用するとマトリックスっぽい映像になったりする。

・FPSを変更

動画全体のフレームレートを変更するフィルタ。
「対象のFPS」を「カスタム」にして「対象のフレームレート」の数値をソースよりも減らすと再生速度が下がり(スロー再生)、増やすと再生速度が上がる。

ソースのフレームレートが30fpsのものを15fpsに変更すると、1秒間に30フレームあったものを15フレームにして、2秒で30フレーム表示することになるので、再生時間はソースの約2倍になる。
同様に30fpsを60fpsに変更すると、1秒に60フレーム詰め込むため、2倍速再生の状態になり、再生時間は約半分になる。

ソースのフレーム数を削減したり、追加するのではなく、フレームの表示数を変更するだけなので、画質には影響がない。

・クロップ/トリミング

クロップ/トリミングは映像を切り取って任意のサイズに変更するフィルタ。
フィルタは映像全編に適用され、部分的な範囲指定はできない。

左右や上下に入っている黒帯を消す場合などに有効で、黒帯を消す場合は右上の「自動クロップ」で選択できる。

黒帯を消すだけでなく、上部の数値を変更することでソースを任意のサイズに変更でき、スマホで撮影した縦長の1920px x 1080pxの映像を、同じ16:9の1080px x 608pxに切り抜いて横長にすることも可能。

「クロップ」の編集画面にある「再生」をクリックすると、赤枠の切り取り部分が再生するので、仕上がりのイメージを確認できる。

・フェード

フェードのフィルタは開始・終了の時間を設定するのだが、このフェードフィルタは開始時点のフレームが固定され、終了時点のフレームにフェードインする。

幽体離脱するときに使用されるような効果が得られるが、フェードイン・フェードアウトの指定が出来ないので、シーンチェンジには使用しにくいかも。

一般的なシーンチェンジには「黒色にフェード」を使用する。

・リサンプルFPS

「FPSを変更」のフィルタがフレームレートに合わせて再生時間も変化するのに対し、「リサンプルFPS」は再生時間を変更せずに、指定したフレームレートに合わせて、既存のフレームを削除もしくは複製を行うフィルタ。

「モード」にはDVDのフレームレートが登録されているので、フレームレートが異なる動画をDVD化する際などに使用することを想定しているらしい。

ソースよりもフレームレートを下げると動画の滑らかさが失われるが、フレームレートを上げた場合はフレームを複製しているだけのようなので、ソースよりも動きが滑らかになるわけではない。

・ロゴを追加

指定した画像ファイルを動画に挿入するフィルタ。
表示範囲は指定できず、動画全編に表示される。

背景を透過しているPNGやGIFも挿入可能。ただし、画像のサイズ変更はできないので、事前にサイズ調整したロゴ画像が必要。

ロゴを表示したい部分をクリックすれば画像を移動でき、上部の「X・Y」の座標で微調整を行う。

・上下反転・回転・左右反転

動画全体を上下反転、回転、左右反転させるフィルタ。
回転のみ角度を設定する。

いずれも定番のフィルタだが、意外と使用頻度は低かったりする。

・境界を追加

ソースに黒帯を追加するフィルタ。

追加する黒帯のサイズを指定。

黒帯を追加しても元の映像は維持されるので、4:3 や 16:9 などのサイズ調整に使用するのが一般的。

・拡大縮小

拡大縮小の方法には、バイリニア・バイキュービック・Lanzcos3がある。

  • バイリニア:中間値をとるものでダウンサイジング(縮小)に適している
  • バイキュービック:バイリニアより滑らかな中間値をとるものでアップスケーリング(拡大)に適している
  • Lanzcos3:周辺の画素から値を算出する拡大法で、バイキュービックよりも高画質を得られる。

「アスペクト比を固定」にチェックを入れると「ソース」「対象」のアスペクト比が選択可能になり、「ソース」を4:3、「対象」を16:9にするなど、アスペクト比をソースと対象で変更すると、拡大縮小時に横伸びしたり、縦伸びするので要注意。

Mpegの圧縮方法では8×8のブロックが基本で、16×16のブロックで「動き」を認識しているため、画像や映像のリサイズは「16の倍数」にするとエンコード時のエラーが発生しにくいので、「16の倍数の最も近い値に切り上げ」にチェックを入れておく。

後は「X / Y エラー」が「0」になるように拡大・縮小率を設定して「OK」をクリック。
プレビューで拡大縮小した状態を確認できるが、画質に関しては実際にエンコードしたものとは異なるので、事前にテスト出力が必要。

・黒縞境界帯

「境界を追加」が黒帯を動画の外側に追加してサイズ調整を行うのに対し、「黒縞境界帯」は映像に黒帯を追加するフィルタ。

「クロップ/トリミング」と同じ要領で追加する黒帯の場所とサイズを指定する。

・黒色

映像を黒ベタにするフィルタ。

開始・終了の時間を指定し、その間が黒ベタに置き換わる。

・黒色にフェード

シーンチェンジで使用されるフェードイン・フェードアウトで、フェードインの場合は「黒色からフェード」、フェードアウトの場合は「黒色にフェード」する。

「フェード方式」で「イン・アウト」を選択して、フェードをかける部分を時間指定する。

開始から5秒のフェードイン。

インターレース

インターレースはアナログ放送やビデオで使用されている走査線を奇数と偶数に分けて送信する方式で、デジタル化すると縞々になる。

インターレース解除とは交互に欠けている走査線を補完して表示する技術で、ちらつきを押さえる効果がある。

Avidemuxには複数のインターレース解除方法を実装しているため、プレビューで確認しながら最適なものを選択する。

設定は各フィルタによって異なるが、取り敢えず初期設定で試してみる。
「KernelDeint」「Libavdecデインターレーサ」「Yadif」「逆テレシネ Decomb」あたりを試すと良いかも。

カラー

「カラー」ではコントラストの調整のほか、色相・彩度やグレースケールなどの調整が可能。

フィルタが複数あり、重複している項目もあるので、プレビューを見ながらイメージに近いものを使用。

ノイズ・シャープ

「ノイズ」は映像に含まれるノイズを除去するフィルタで、「シャープ」は輪郭を強調するようなフィルタ。

ソースの画質が悪い場合やインターレース解除した場合などは、ノイズ除去・シャープ化を併用すると良いかも。

字幕

ASS、SRTなどの字幕ファイルをインポートすれば動画に字幕を挿入することも可能。

予めAegisubなどで字幕ファイルを作成し、作成したファイルを取り込む。

ファイルを取り込むとフォントに関するメッセージが出て、処理にしばらくかかる。

プレビューで確認後、行間や文字サイズなどを調整する。

映像の構成設定

エンコードするコーデックにMPEGなど非可逆のタイプを選択した場合、構成設定が可能になる。

選択したコーデックによって内容は異なるが、エンコーディングモードやビットレートなどの設定が可能。
デフォルト設定で満足のいく画質が得られない場合に設定を変更する。

構成設定を変更する場合は「映像出力」の「構成」をクリック。

「エンコーディングモード」には「固定量子化」「平均ビットレート」「固定レート係数」など複数のモードがあり、品質やビットレートの調整が可能。

ただ、設定にはそれなりの専門知識が必要なので、ビギナーは取り敢えず初期設定での使用を推奨。

音声フィルタの適用

音声も映像同様に、「Copy」以外のコーデックを選択することで「フィルタ」と「構成設定」が使用できる。

「音ズレ」が発生する場合は、無劣化出力(コピー)でもエンコード時でも調整でき、「音声出力」の「シフト」にチェックを入れて、「ミリ秒(1000分の1秒)」単位で調整可能。






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