Proton Mailはプライバシー保護を重視したセキュアな Eメールサービス。
Proton Mail の特徴
- ゼロアクセスアーキテクチャによってメッセージや連絡先を暗号化して保存
- Proton Mail間は E2EE(エンドツーエンド)でメッセージを暗号化
- スパムフィルタリングや PhishGuard機能で迷惑メールを自動的に分類
- メール受信時にスパイピクセルをブロック
- オープンソースで開発
- 無料で利用可能
ゼロアクセスアーキテクチャは Gmailなど E2EEをサポートしていないメッセージを受信した際にユーザーの公開暗号化キーで暗号化して保存する技術で、メッセージを復号化できるのはユーザーのみのため、サービスプロバイダでもメッセージを読むことができない
仕様
- 利用可能なストレージ容量(カレンダー・ドライブ共用):Free 1GB、Plus 15GB、Unlimited 500GB
- 送信数:Free は 1日最大 150通、Plus、Unlimitedは無制限
- 受信可能な最大サイズ:25 MB
- 1通のメールで送信可能な受信者数:最大 100件
- 1通のメールで送信可能な添付ファイル数:最大 100個
- 1通のメールで受信可能な添付ファイル数:最大500 個
安全性
Proton Mailは独立した第三者機関の監査を受けて安全性を証明しており、監査レポートも公開している。
Proton Mail は GDPRに準拠して改定されたスイス連邦独自の FADP(連邦データ保護法)によって 世界トップレベルで個人情報が保護されているスイスにサーバがあり、5 アイズ アライアンス(アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド)や 9アイズアライアンス(5アライアンス + フランス・デンマーク・ノルウェー ・オランダ)などの政府によるシギントの影響を受けず、プライバシーが保護された環境でメールの送受信ができる。
開発元
- 開発元:Proton AG
- 開発元の拠点:スイス
システム要件
ウェブアプリ
- バージョン:5.0.59
- OS:対応ブラウザがサポートしているバージョン
- Protonが推奨するセキュアなブラウザ:Firefox / Brave / Torブラウザ
- 動作テストが行われている他のブラウザ:Chrome / Edge / Safari / Opera
ブラウザは安定版の最新バージョンの利用を推奨。
デスクトップアプリ
- バージョン:1.6.1
- OS:Windows10/ 11、macOS 10.15 (Intel) 以降、macOS 11.0 (M1)以降、Ubuntu 20.04 LTS以降
プランの比較
Free | Plus | Unlimited | |
利用可能なメールアドレス | 1 | 10 | 15 |
フィルタ作成数 | 1 | 無制限 | 無制限 |
フォルダ作成数 | 3 | 無制限 | 無制限 |
短縮ドメイン | 受信のみ可 | ◯ | ◯ |
デスクトップアプリ | ✕ | ◯ | ◯ |
ゴミ箱・迷惑メールの自動削除 | ✕ | ◯ | ◯ |
カスタムドメイン(独自ドメイン)の利用 | ✕ | ◯ | ◯ |
フッターの編集 | ✕ | ◯ | ◯ |
メールクライアント(Thunderbirdなど)のサポート | ✕ | ◯ | ◯ |
キャッチオールメール | ✕ | ◯ | ◯ |
Dark Web Monitoring(メールアドレスやパスワードの漏洩を監視) | ✕ | ◯ | ◯ |
Proton Sentinel(高度なアカウント保護プログラム) | ✕ | ✕ | ◯ |
Protonカレンダーの利用 | 制限有 | ◯ | ◯ |
Protonドライブの利用(ストレージは ProtonMailと共用) | ◯ | ◯ | ◯ |
ProtonVPNの利用 | 制限有 | 制限有 | ◯ |
ProtonPassの利用 | 制限有 | 制限有 | ◯ |
キャッチオールメールは削除されたメールアドレスやアカウント部分が間違っているメールでも、ドメインが正しければ受信できる独自ドメイン設定時のオプション機能。
Proton Mailは スマートスパム検出システムを実装しているため、BCCを使用した一括送信や受信者の迷惑メール判定が多いと即座にアカウントが停止され、スパム行為と認定されるとアカウントが削除される。
アクセス/ ダウンロード
Androidアプリ
アカウントの作成と設定
公式サイト の「Create a free account」 をクリックし、サブスクリプションの期間と利用するプランを選択。
- Proton Free
機能制限のある ProtonMail・カレンダー・オンラインストレージ・VPN・パスワードマネージャーを利用できる。
使用可能なストレージ容量は 1GB。 - Mail Plus
ProtonMail・カレンダーのフル機能と、機能制限されたオンラインストレージ・VPN・パスワードマネージャーを利用できる。
使用可能なストレージ容量は 15GB。 - Unlimited
すべてのモジュールをフル機能で利用できる。
使用可能なストレージ容量は 500GB。
Proton Freeを選択するとポップアップウィンドウが開くので Continue with Proton Free をクリック。
画面右上の言語リストから使用言語を選択し、希望のアカウント名とパスワードを設定して「アカウントを作成」。
ドメインは protom.me と protonmail.com が選択可能。
アカウントにはアンダーバー(_)、ハイフン(-)、 ドット(.) を利用でき、匿名性を優先させるのであれば氏名 など個人を特定できる情報の使用は避ける。
無料プラン選択時は認証コードを受信するメールアドレスを入力して「認証コードを取得」をクリックし、受信した認証コードを入力。
一度 Proton Mailの認証コードを受信したメールアドレスは使用不可。
有料プラン選択時は決済通貨を選択し、クレジットカード か PayPal で決済。
送信先に表示する表示名を設定。
デフォルトではアカウント名になっている。
パスワードを失念した際に使用する回復用のメールアドレスか、携帯電話番号を選択して入力し「保存」。
回復用のメールアドレスを登録しただけではデータを復旧できないため、必ず「設定」の「アカウントの回復」で アカウント復旧の設定 をする。
ウエルカム画面が表示されたら「始めましょう」をクリック。
デスクトップアプリを使用する場合は「デスクトップアプリをダウンロード」。
無料プランのユーザーは 14日間試用できるが、デスクトップアプリは有料プランで利用可能なので「後で行う」でスキップする。
モバイルアプリの紹介画面になるので「次へ」。
使用するテーマを選択。
登録アドレスの変更案内が表示されるので ログイン情報を Protonに移動しました をクリックして非表示にする。
受信トレイ を開いた状態でブラウザのブックマークに追加。
プライバシー
右上の 設定 から「すべての設定」を開き、左サイドパネルから セキュリティとプライバシー を選択し、プライバシーとデータ収集 でデータ収集に関する設定を編集。
セキュリティ
有料プランでは Proton Sentinel や Dark Web Monitoring やを有効にできる。
- Proton Sentinel(Unlimitedプラン以上で利用可)
高度な AIシステムと専門家による 24時間体制のアカウント保護プログラム。 - Dark Web Monitoring(Plusプラン以上で利用可)
ダークウェブを監視し、使用している Proton Mailのアドレスやパスワードがダークウェブで公開された場合に通知する。
メール通知
左サイドパネルの メッセージと組版 で 毎日のメール通知 を編集。
「毎日のメール通知」は新規メールを受信する度に回復用メールアドレスにメール受信の通知が送信される機能。
署名
署名は左サイドパネルの 署名とアドレス で設定。
有料版は モバイルフッター をオフにして署名の下に挿入される「安全なメール Proton Mail で送信されました。」を無効にできる。
リモートコンテンツや、メールのトラッキングはブロックされるので、無効にする場合は 左サイドパネルの メールのプライバシー で設定。
リモートコンテンツは メッセージを表示する際に送信者のサーバからダウンロードする画像や動画で、ダウンロードが実行されるとメッセージの送信者は IPアドレスやメッセージを表示した時間、使用している環境などの情報を取得できる。
フォルダーとラベル
Proton Mail はフォルダとラベル でメールを管理でき、左サイドパネルの フォルダーとラベル で作成。
作成したフォルダ/ ラベルは上下にドラッグして並び順を変更でき、フィルター設定時のメッセージ受信通知の切替もできる。
フォルダはサブフォルダの作成も可能。
フィルター
設定した条件を満たしたメッセージの自動仕分けは、左サイドパネルの フィルター を開き、「フィルターを追加」からウィザードに従ってフィルター名やフィルタの条件を設定。
仕分けフィルター は Sieveスクリプトをコマンドラインで編集するフィルタ。
メッセージに追加するラベルやメッセージの移動先フォルダを指定して「保存」。
短縮ドメイン
左サイドパネルの メッセージと組版 の「短縮ドメイン」は @pm.me の利用が可能になる機能で、有効にすると Proton Mailのアカウント名で アカウント名@pm.me のメールアドレスが使用できる。
無料プランでは受信のみ可能で、短縮ドメインでの送信は有料プランへのアップグレードが必要。
メールアドレスの追加
有料プランは複数のメールアドレスを追加でき、左サイドパネルの 署名とアドレス から「住所を追加」で Proton Mailや Proton Mailのサーバを利用しているカスタムドメインを登録できる。
他の Protonアカウントで使用しているメールアドレスは、サポートに連絡すればアカウントの統合に関する注意点と手順を案内してくれる。
その他の設定
- メールのインポート
Gmail や Outlook.comのメッセージを Proton Mailにインポート。 - メールクライアントの利用(有料プランで利用可)
Proton Mailを Thunderbird などの IMAP/SMTPをサポートするデスクトップメールクライアンで利用。 - カスタムドメインの利用(有料プランで利用可)
独自ドメインのメールサーバを Proton Mailのメールサーバに切り替え。
アカウントの復旧は必ず設定しておく。
アカウントの削除 / サブスクリプションのキャンセル
サブスクリプションのキャンセルは 設定 の左サイドバーから ダッシュボード を選択し、サブスクリプションをキャンセル で 無料プランへダウングレード。
作成したアカウントの削除は左サイドパネルの アカウントとパスワード を選択して アカウントの削除 で実行。
デスクトップアプリのインストール
アカウント作成時にダウンロードしたデスクトップアプリのインストーラーを開くとインストールが自動実行されてサインイン画面になるので、作成した Protonアカウントでサインイン。
インストーラーをダウンロードしていない場合は 公式サイト からダウンロード。
ProtonMailと Proton Calendarの利用が可能になる。
Proton Mailのデスクトップアプリはウェブアプリの全機能を利用できるが、オフラインでの利用は不可。
Proton Mail の使い方
Proton Mail は IMAPでメールサーバを直接操作しているので、新着メッセージは大きなタイムラグなしに受信する。
受信が遅延しているようなら Proton Mail Status で障害状況を確認し、障害が発生していなければデバイスを再起動、それでも改善しない場合はアプリを再インストールする。
迷惑メール・ゴミ箱に移動したメッセージは 30日後に自動削除(有料プランのみ)される。
迷惑メールが受信トレイに振り分けられたら、メッセージを選択してツールメニューの 迷惑メールに移動 をクリック。
必要なメールが迷惑メールに振り分けられている場合は、メッセージを選択してツールメニューの 受信トレイに移動 をクリックして学習させる。
メッセージは 受信トレイ・フォルダ・アーカイブ に保存し、ラベル で管理する。
メールの送信
新規メッセージ は、サイドパネルの「新規メッセージ」をクリック。
宛先 にメールを送信する 相手のメールアドレス を入力。
複数アドレスへの同時送信は カンマ(,) で区切って入力。
メールを送信すると送信先のアドレスは自動的に連絡先へ登録され、次回以降はオートコンプリート機能が有効になるので、一度メールを送信した相手であればアドレスの先頭文字を入力すると候補が表示される。
Cc・Bcc は 送信先 の右にある CC, BCC をクリックすると入力ボックス が展開する。
返信・全員に返信・転送 は、メッセージの 右上に表示されるアイコンから選択。
送信メールのメール形式は、下部の 3 点リーダーから選択。
返信や転送は受信メールのメール形式を継承する。
宛先を入力したメッセージや返信・転送は自動保存されるため、破棄するメッセージはゴミ箱に移動する。
暗号化
メッセージが暗号化される場合はメールアドレスを入力した際に 南京錠アイコンが表示される。
- 青の南京錠
Proton Mail のメールアドレス間で送信されたメール。 - 緑の南京錠
Proton Mail のメールアドレス以外で PGPを設定したメールアドレス間で送信されたメール。
Proton Mail ユーザー間のメッセージは常時エンドツーエンドで暗号化される。
暗号化されるのは「メッセージ本文」と「添付ファイル」 で、メッセージヘッダーやメタデータは暗号化されない。
Proton Mail ユーザー 以外へ送信するメールの暗号化は、下部にある 南京錠のアイコンをクリックし、メールへアクセスする際に必要なパスワードを設定。
有効期限 を設定していないメールの保存期限は 28日で、期限を過ぎると自動削除される。
非 Proton Mail ユーザーにメールを暗号化して送信すると、メッセージは暗号化されて Proton Mail サーバに保存され、送信先へは暗号化メールへのアクセスリンクが送信される。
有効期限
3 点リーダーの 有効期限を設定 で有効期限を設定すると、期限が切れのメッセージが受信者の受信ボックスから自動的に削除される。
非 Proton Mailユーザー 宛のメールに有効期限を設定する際は 暗号化が必要 で、暗号化したメッセージは有効期限を設定しなくても 28日後には消滅する。
動画で見る設定と使い方
備考
ここ数年で Proton Mailの使い勝手は大きく向上しており、メールが滞ることもなく、プライバシーがしっかりと保護されるので、Protonは個人的に超絶オススメ。
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