ハードウェアに起因するパソコンの不具合と対処法
パソコンを自作する際に発生する パソコンが起動しないなどの不具合は、パーツの相性 や 初期不良より 差し込みが甘いなどの初歩的ミスが原因の場合が多く、不具合発生時は 思い込みにより 当たり前の事を見落としがちになる。
Windows の起動が異常に遅い
Windows の起動時間は 電源の状態 ( S1 ~ S5 ) のほか PC のスペック や 常駐アプリなどによって異なるが、Windows 10 の平均的な起動時間は 45 秒で、電源断 ( S5 ) の状態から 起動に 5分以上かかるような場合は、マルウェアの感染・SSD / HDD の異常 など PC に何らかのリスクが存在している可能性が高い。
マルウェアの感染
オンラインのパソコンは常に脅威に晒されている状態だが、個人利用の パソコンでのマルウェア感染は ユーザーの 過失に因るところが大きく、感染が疑われる場合は セキュリティベンダーから提供されている無償のツールを使用して マルウェアの駆除を実行。

パソコンのウイルス感染が疑わしい時の対処法
無料で出来る コンピュータウイルスの感染が疑わしいときの対処法 と マルウェアの基礎知識 セキュリティソフトの 二大機能は ウイルス対策 と ファイアウォール で、ウイルス対策 は 主に 予防・検疫・駆除 を行い、ファイ […]
ストレージの異常
SSD/ HDD の異常が疑わしい場合は 原因の切り分け を行って 故障箇所を特定する。
1. 異常ディスクの特定
増設している SSD / HDD をすべて取り外して システムドライブだけで起動し、問題なく起動するようであれば 増設ディスク を 1 台ずつ接続して 異常が発生しているディスクを特定。
2. ケーブルの交換
ディスクを特定したら SATAケーブル と 電源ケーブルを交換して 認識するか確認。
3. 接続コネクタの変更
ケーブルの交換や 接続し直しても問題が解消しない場合は 接続している マザーボードの SATA コネクタを変更。
SATA ケーブルの劣化などが原因で 増設した内蔵 SSD / HDD を システムが認識できなくなると、Windows が 増設ドライブを探しつつけるため 起動するまでに 20 分 ~ 30 分 要することがあり、起動後は 不具合が発生したドライブアイコンが消え アクセスできなくなる。
HDD / SSD の劣化状況
CrystalDiscInfo や FromHDDtoSSD は S.M.A.R.T の情報を取得して ディスク の健康状態を確認できる。
Seagate : システムがドライブの S.M.A.R.T. エラーを報告しました。
CrystalDiscInfoは 起動するだけで ストレージの 健康状態を確認できる

CrystalDiskInfo のインストールと使い方
RAIDもサポートしている SSD / ハードディスクの無料診断ツール CrystalDiskInfo は hiyohiyo 氏が開発している 無料のディスク診断ツールで、起動するだけで SSD/ HDD に搭載されてい […]
FromHDDtoSSD v3は S.M.A.R.T だけでなく シーケンシャルスキャン ( データの先頭から順番に読み書きを行うアクセス方法 ) で 不良セクタ や 安定性を確認でき、SSD / NVMe の故障予測 には 精度向上のため ブロックチェーン技術が使用されている。

FromHDDtoSSD のインストールと使い方
ハードディスク・SSD の劣化状況 無料診断アプリ FromHDDtoSSD v2 は データ復旧サービス会社 IUECデータソリューションセンター が開発している SSD / HDD の 劣化状態を診断する ユーティリ […]
Windows が起動しない
Windows が起動に失敗する場合は 起動ディスクの破損・MBR の破損・システムファイルの破損 などが主な原因で、システムイメージのバックアップがなく MBR を修復しても回復しない場合は クリーンインストールが必要。
Operating System not found…
Windows 起動時に Operating System not found… と表示されるのは システムが 起動ディスクを見失っている状態で、USB メモリ や 光学ドライブの中にディスクが入っていることで発生する場合はあるため、PC に接続している 記憶装置類を取り外し 光学ドライブの中も空にして再起動する。
UNDI , PXE-2.1 と表示される場合も 起動ディスクを 見つけることができない状態。
起動ディスクが見つからない場合は BIOS / UEFI の Boot オプションで Windows をインストールしている システムドライブが 1st Boot になっていることを確認。
起動ディスクの破損
Windows をインストールしている 起動ディスクが 劣化などによって破損している場合は ディスクの交換 と Windows の再インストールが必要になる。

Windows 10 の クリーンインストール
無償アップグレードした Windows 10 の クリーンインストール とライセンス認証の手順 Windows 10 は デジタルライセンス認証 と 従来の プロダクトキー による認証があり、パソコンのハードウェアと W […]
MBR の破損
マスターブートレコード ( MBR ) が破損している場合は 起動ディスクを使用して修復することができる。

GRUB エラーの対処法 – MBR の修復
MBR の修復による ブートローダー GRUB のエラー対応 GRUB ( ジーラブ ) は Linux を導入する際にインストールされることが多い 高機能なブートローダーで、MBR ( Master Boot Reco […]
システムファイルの破損
Windows のシステムファイルに異常がある場合は システムの復元 や システムイメージのバックアップ から回復できる。

Windows の バックアップ設定と復元方法
Windows が実装している バックアップ機能の違いと設定方法 Windows は 不測の事態に備え、システム や ユーザーファイルをロールバックできる 実用的なバックアップ機能 と 不具合を解消する 修復 や 初期化 […]
電源が入らない・電源が落ちる
パソコンの電源ボタンを押しても 電源が入らない場合は ハードウェアに問題がある可能性が高く、自作の場合は メモリ や ケーブルの接続ミスが多い。
・電源ユニットの接続が甘い
・メモリが完全に挿さっていない
・12V(田型)ケーブルの挿し忘れ
・CPUクーラーのファンが回っていない
・フロントパネルのケーブル配線が間違っている
パソコンが何の前触れもなく急に落ちてしまう場合は 初めにコンセントの挿し込みをチェック。
OA タップ では 別の挿し込み口に変えたり、タコ足配線になっている場合は 直接コンセントから電源を引くなどして 電力の安定化を図る。
自作の通電テストで電源が入らない場合 電源周りに問題がなければ メモリの挿し込みを確認する。
初期不良の可能性も考慮して 挿してある全てのメモリを一旦取り外し、1枚ずつきっちりと挿して起動確認。
万が一 メモリを挿して起動しなかったら 問題のメモリを別のスロットでテストし 起動確認ができたメモリを問題が発生したスロットへ挿すことで、メモリ側に問題があるのかスロット側の不具合かを特定できる。
自作ビギナーに多いのが 4pin 12V ( 田型 ) の挿し忘れ。
電源を入れた瞬間は動作するが すぐに落ちてしまう場合は CPU クーラーもチェック。
通電テストの場合 フロントパネルの配線は 電源スイッチの Power SW のみで良いが、挿し込むピンが違っていたり や プラスとマイナスを逆に挿していると 電源が入らない。
電源ユニット単体のテスト
接続が正しく行われているにも関わらず 電源が入らない場合は 電源ユニット単体でのテストもできる。
電源ユニットをマザーボードと接続している場合は 全てのケーブルを取り外し、電源ユニットのパワースイッチをオフにする。
24Pin ( 20Pin ) 主電源の 緑色ケーブル ( PS_ON ) と 黒色ケーブル ( COM ) をショートさせると通電する。
ゼムクリップなどで PS_ON と COM をつなげて 電源スイッチを ON にして ファンが正常に回転すれば 電源ユニットは正常と判断できる。
異音と熱暴走
長らく使用している PC が使用中に異音が発生する場合は PC 内部に溜まったホコリを除去するだけで改善することが多い。
ホコリにより CPU などの冷却効果が低下すると 熱暴走による保護機能が動作して、使用中に PC が突然落ちることもある。

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見た目と違って PC 内部はホコリが溜まりやすいので 定期的な掃除は不可欠。
モニタに映らない
通電テストの場合 電源を入れて電源ユニットのファンや CPU クーラーのファンが回転し、マザーボードに通電していることが確認できた状態で モニタに UEFI / BIOS が表示されない時も まずはモニタのケーブル接続を確認。
市販のマザーボードには D-sub・DVI・HDMI・Display port などグラフィック用のコネクタを実装しているが、各コネクタは CPU がグラフィック機能をサポートしていないと使えない。
通電 や CPU の仕様も問題なく モニタが No Signal になっている場合、D-Sub を使用していれば DVI や HDMI もしくは 別途用意した D-Sub のケーブルなどを使用するなど ケーブルを変える。
パーツの初期不良
自作 PC では マザーボードに CPU・CPUクーラー 。メモリ を設置後に 通電テストを実施するのがセオリーで、この時点で電源が入らない・モニタに映らない等のエラーが発生すると 問題を切り分けて原因追求することになるが、 個人的に初期不良に出会ったことは皆無に近い。
ネット上には初期不良の情報が多いので 不具合が発生すると初期不良 や 相性の問題だと思いがちだが、製品に由来するエラーよりも 初歩的なミスやパーツの仕様を把握していないことによる不具合のほうが圧倒的に多い。
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