PC や モバイルデバイス での VPNサービス 利用時の 注意点
通信のセキュリティは Google が ウェブブラウザ と サーバ間の通信を暗号化する HTTPS を 推進したことにより 2014年 に 50% 程だった HTTPS のトラフィックが 2017年には 90% を超え、HTTPS 接続 が標準になったことで HTTP 接続で問題だった 中間者攻撃 (Man-in-the-middle attack) による 盗聴リスクは大きく減少した。
Google 透明性レポート – ウェブ上での HTTPS 暗号化
仮想プライベートネットワーク ( VPN ) はインターネットに 暗号化というトンネルを作って 接続するもので、HTTPS をサポートしていない サイトへもセキュアな通信が可能になるが、 HTTPS が普及した現在では Wi-Fi のフリースポットを使用する際 に VPN の利用が推奨されている程度で、VPN は従来の 通信の安全性確保 から プライバシーを保護するツールへと使用目的が変わってきており、 リーズナブルで質の高いサービスを提供するプロバイダがある一方で、個人情報の収集 や 広告収入を目的にしたアプリも多く存在するため 利用するサービスの選定が重要になる。
VPN サービス を利用するメリット
VPN サービスは ユーザーの デバイス と VPNプロバイダ のサーバを 暗号化された トンネルで接続し、VPNプロバイダ のサーバを経由して 目的のウェブサイトのサーバに接続することで ユーザには 3つのメリットがもたらされる。
安全な通信
スマートフォンの普及により Wi-Fi のフリースポットが増えているが、セキュリティベンダーは 個人情報の入力を避けるよう呼びかけているように 安全性の低い フリー スポットは Wi-Fi ハッカー による「 盗聴 」や「 なりすまし 」のリスクが高い。
セキュリティベンダー「シマンテック」が発表した 2017年度の「ノートン Wi-Fi リスクレポート」では 国内でも70%以上の人が フリースポットで リスクのある行動をとっている実態が明らかになっているが、デバイス を VPN サーバに接続 することで Wi-Fi ハッカー の脅威から 通信を保護することができる。
IPAテクニカルウォッチ「公衆無線LAN利用に係る脅威と対策」
公衆無線 LAN などのフリーWi-Fi を利用する際、暗号化設定がされていない場合や不特定多数の利用者と同一の暗号化キーを共有する場合には、AP との通信内容が盗聴されるというリスクは避けられない。
そのため、ID、パスワードといったログイン情報やクレジットカード番号、個人情報など、重要な情報を入力が必要となる場合はもちろん、第三者に知られては困る情報をやりとりする場合は SSL 対応サイトのみに限定することが重要である。
ただし、すべてのサイトが SSL に対応しているとは限らず、また SSL 対応有無を判断しながらの利用は利便性を大きく損ねるため、VPN 通信を利用することを推奨する。
なお、VPN 通信を利用すると、万が一、悪意の AP に接続してしまった場合の盗聴にも有効となる。
通信内容の秘匿化
インターネットへは ISP ( インターネット・サービス・プロバイダー ) を通じて接続するが、VPN サービスを利用すると ISP を経由した接続先が VPN サーバになり、VPN サーバ と ユーザー間 の通信が 暗号化されるため ISP には VPN サーバに接続した ログしか残らない。
ISP によるログの保管 と 検閲
ISP は ISP の ネットワークを通過した通信に対してログを取っており、裁判所の令状など法的根拠に基づいた 個人情報開示請求が承認されると サーバにアクセスした IPアドレス から 契約者の氏名・住所などが開示される。
ISP には ユーザーの通信内容を監視して許可なく操作できる検閲所としての機能があり「 違法阻却事由 」がある認められると、 ISP を通信が通過する際に ISP のネットワーク内にある DNSサーバ や 専用装置 によって通信が遮断される「 ブロッキング 」が行われ、2018年 4月 政府は ISP に「 漫画村 」「 Anitube 」「 Miomio 」の 3 サイト を ブロッキングするよう要請したほか、警察庁などによって児童ポルノ関連のサイトの閲覧制限も実施されている。
シギント
エドワード・スノーデン氏が NSA ( アメリカ国家安全保障局 ) による国際的監視網 ( PRISM ) の実在を暴露したことで 都市伝説的だった 公的機関による シギント ( 通信の傍受 ) への警戒感が強くなり、個人レベルでもプライバシーの保護対策を講じる人が増加している。
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VPN サービスの ノーログポリシー
VPN サービスを利用すると ISP のログには ユーザーが VPN プロバイダ のサーバに接続したログしか残らず、ユーザー と VPNサーバ 間は 暗号化されているため 通信内容 が漏れることもないが、VPN プロバイダ は ISP と同じ ユーザーの行動履歴を 記録できるため、行動履歴を完全に秘匿したい場合は VPN プロバイダ の ログ 管理 が重要になる。
2016年 米 FBI は 爆弾脅迫の疑いで Preston McWaters が利用していた 米国 の VPNプロバイダ 「Private Internet Access 」に対してログ の公開を求めたが、「Private Internet Access 」は ユーザーのログを保存しない「 ノーログポリシー 」を採用しており FBI へ提出するログがなく 被疑者のプライバシーが守られる結果になった。
通信の匿名化
通信内容の秘匿化 に関連しているが VPN サービスを利用すると ISP を経由して VPN サーバに 接続して VPN サーバから 閲覧サイト へ接続するため、ISPだけでなく 閲覧サイトのサーバにも VPN サーバの IP アドレスしか記録されない。
VPN プロバイダ の多くは 世界各国に サーバを設置しているため、海外からの接続を受け付けていない サイトへは 対象国 の VPNサーバに接続することで アクセスが可能になる。
VPN サービス の リスク
VPN の信頼を損なう事案
VPN プロバイダ は ISP と同じく ユーザーの トラフィック情報を収集可能で ユーザーには VPN プロバイダ が データをどのように処理しているのか全く見えない。
PureVPN によるネットワークログの提供 問題
ログを一切記録しないとするVPNがFBIにログ提出 その内容とは?
2017 年 ノーログポリシーを採用しているはずの PureVPN は 米国 FBI の要請に応じて ネットワークログ ( ユーザーが PureVPN に接続した記録 ) を提出して ユーザーの特定に協力。
PureVPN は 提出した ネットワークログ は トラブルシューティングなどで使用するために自動生成されるもので ユーザーのアクティビティは保存されていないと釈明しているが「 ノーログポリシー 」の 信頼性が大きく損なわれることになった。
Hotspot Shield Free VPN による 広告ネットワークへのルーティング問題
Hotspot Shield VPN’s Privacy and Security Promises Contradict Practices
米国に本拠を置く 非営利団体「 Center for Democracy & Technology 」は 2017年 「 Hotspot Shield Free VPN 」が ユーザートラフィックを広告ネットワークへルーティングしていることを指摘。
当時の「 Hotspot Shield Free VPN 」のプライバシーポリシーは ユーザートラフィックが保存され 第三者に開示できるという内容になっていた。
Onavo Protect による ユーザーデータ収集の問題
Facebook に買収された イスラエルのソフトウェアベンダー「 Onavo 」は、提供していた 無料 VPN アプリ「 Onavo Protect 」を 使用して送信されてきたトラフィックを分析し、Facebook が買収などの営業戦略に利用していたことが明るみに出て大きな問題になり、VPN アプリ が スパイウェア として機能することを知らしめる事になった。
FacebookのOnavoをアプリストアから削除、ユーザーデータの無断収集を処罰
Hola VPN による 出口ノード利用と トラフィック販売 問題
イスラエル の ソフトウェアベンダー「 Hola 」が提供していた「 Hola VPN 」では ユーザー のデバイスを「 出口ノード ( 最終的にサーバへアクセスする IP )」として使用していることが発覚し、VPN ユーザー の 帯域幅が 1GB あたり 20ドルで販売されていた。
Hola VPN turns your PC into an exit node and sells your traffic
DNSリーク(DNS漏れ)
DNS ( Domain Name System )は IP アドレス と ドメイン名 を紐づけするシステムで オンラインで行われるやり取りは DNS サーバ を 経由して行われている。
暗号化された DNS サーバへの接続が 切断されると DNSクエリは 暗号化されていない ISP の DNSサーバ などに転送されて 通信を維持するため、VPN サービスは 強制的にネットワークを遮断する「キルスイッチ」機能を実装して DNSリークを阻止している。
アクセス権限 と マルウェア
無料アプリ が 多数提供されている モバイルアプリでは VPN サービスには 不要な 「 アクセス権限 」を要求し「 広告表示 」や「 個人情報の収集 」に 利用しているほか、Google Play ストア で 公開されているアプリでも「 潜在的な脅威 」は存在しており Easy VPN , Secure VPN , Troid VPN , Zero VPN , Proxy Master , SlowDNS , AppVPN などの VPN アプリから マルウェアが検出されている。
法的強制力 と プロバイダの拠点
VPN プロバイダ を選ぶ際のポイントになるのが プロバイダの拠点で、ノーログポリシーを採用している プロバイダであっても 公的機関から法的に 特定 IP アドレスの監視 や アカウントのロギング を強制される可能性がある。
プライバシーヘイブン
ファイブアイズ などと異なり 「 イギリス領バージン諸島 」「 パナマ 」「 セイシェル 」「 ケイマン諸島 」「 マレーシア 」は法的に ユーザーのプライバシーが保護されており 大手 VPN プロバイダ が 拠点を置いている。
透明性レポート – 令状のカナリア ( Warrant Canary )
「 令状のカナリア 」は VPN プロバイダ など 個人情報 を取り扱う企業が 公的機関 から データ提出要求を受けていないことを表している。
「 令状のカナリア 」には 法的な根拠はなく 安全性を保証したものでもないが プライバシー保護 の 1つの指標になっている。
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